伝説の物理学者フリーマン・ダイソン、37年前のインタビュー 96歳で逝去、量子電磁力学をつくり、核軍縮を語り、宇宙スケールの未来を見通した 高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター 人類が宇宙に広がっていく未来を構想し、核実験禁止より核兵器そのものの縮減を目指すべきだったと省み、現代物理学の屋台骨となる論文を20代で書いた「伝説の物理学者」フリーマン・ダイソン教授が2月28日に亡くなった。96歳だった。 1923年に英南東部バークシャーで生まれた。幼いときから数学の才能を発揮し、17歳からケンブリッジ大学の有名な数学者G.H.ハーディーのもとで数学を学んだ。英国の空軍で数学者として働いたあと米国のコーネル大学大学院物理学科へ。そこで、ドイツ生まれの核物理学者ハンス・ベーテの指導を受け、1949年に「トモナガ・シュウィンガー・ファインマンの放射理論」という歴史的な論文を発表