四半世紀前、ジャーナリストの大熊一夫氏に弟子入りした。彼は『ルポ・精神病棟』をはじめとした、福祉や医療現場の構造的な「闇」をえぐり出す、優れたジャーナリストである。彼が僕に教えてくれたジャーナリストの極意には、以下のようなものがあったた。 ・わかったふりをしない ・自分の足で稼ぐ ・対象にギリギリ迫る ・なぜそうなるのかを自分の頭で徹底的に考え続ける 取材相手が「説明」したことを鵜呑みにして、わかったふりをしない。何だか変だな、おかしいな、と思ったら、自分で動いて関係者を徹底的に取材する中で、事実を積み上げていく。そうやって、しつこく対象への「問い」を深めていくなかで、ことの本質にギリギリ迫っていく。そのプロセスを通じて、その問題構造がどのように構成されているのか、を仮説を立てながら自分の頭で考え続け、足で稼いで検証し続ける。それが、構造的問題の本質に迫るアプローチだと教わった。 今回ご紹