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国文学の検索結果121 - 160 件 / 488件

  • [10]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 當時天下の愊將軍、水戸 従三位《じゆさんみ》、前《さき》の中納言 光圀《みつくに》、是へ来たるに、社壇に一人眼を閉じ、我へ対して無礼な奴。 さあ、先《ま》づ直《す》ぐに性名を名乗り、是なる死骸の有様も定めて存じつらん。 一/\此の黄門に語り聞かすべし。 異義に及ハゞ、一刀の下《もと》に命を立たん。 返答致せ」 と仰セ有り、御柄に手を掛け給へバ、彼の翁、ちつとも動ゼづ、経文を読ミ終《しま》、暫《しばら》く有つて目を開き、 「黄門、然《さ》のミ強氣を出し給ふな。 元より汝が来ることハ疾《と》く知りたり。 此所《ここ》ハ元、天にも地にも無く、中宙《ちうう》ニ無く、世界にも無

      [10]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
    • [11完]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は女の墓に引きずり込まれて、、、~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

      『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 始めハ君が心ざし浅からざる故にこそ、我が身を任せて、暮に行《ゆ》き、朝《あした》に帰り、何時迄草《いつまでぐさ》[植物のキヅタのこと。「何時迄も」という言葉を導くために使われている]の何時迄も絶えせじとこそ契りけるを、卿公《きやうのきミ》とかや情け無き隔《へだ》ての禍《わざハひ》して、君が心を余所にせしことよ。 今、幸《さいわ》ひに逢ひ参らせしこそ嬉しけれ。 此方《こなた》へ入り給へ」 とて、荻原《おぎハら》が手を取り、門より奥に連れて行《ゆ》く。 召し連れたる荻原が男《おとこ》ハ肝を消し、恐れて逃げたり。 家に帰りて人/\に告げゝれば、人皆驚き、行きて見るに、荻原は既に女の墓《はか》に引き込まれ、白骨《はくこつ》打ち重

        [11完]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は女の墓に引きずり込まれて、、、~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
      • 十三日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

        (空から真っ赤な石が落ちて来る) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 十三日の夜は、心易き同士《どし》集まり、語りける様《やう》は、「西江寺《せいごうじ》の什物《じふもつ》、佛判《ぶつはん》と言へる者有り。諸/\の災難の払いになる由、借り持て居間に掛けばや。如何に」と申し合わせ、取りに遣はしける。 使ひにハ出で行くに、何とやらん、足の縮む様《やう》にて、到る事叶わざりけれバ、平太郎、「自《ミずか》ら参らん」とて、集まりし人〻にハ、「留主《るす》し給はれ」と頼ミて出で行きけるに、其の中に有りし平五郎と言へる者、氣強き男なれバ、「供《とも》セん」とて、同じく出で行きぬ。 然《しか》るに、道なる薮の傍《かたへ》を行きけるに、空より稲妻の如くに光りて、真赤き石

          十三日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
        • [1]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

          [まとめ]江戸時代に読まれた一寸法師 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~ いやっふー! 妖怪だ妖怪だ。水戸藩は妖怪と縁があったとかいうウワサを聞いたことがあるのですが、どこを調べたら出てくるのか分からないのです。ご存じならぜひ。 2022/10/24 18:16 b.hatena.ne.jp ご質問の答えにはなっていないのですが、水戸藩と妖怪の関わりと言って、ふと思い出したのが、水戸黄門が八幡の藪知らずに入ったエピソードです。 八幡の藪知らずは、千葉県市川市に今でも存在する禁足地です。 このエピソードは『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]が初出だと思われます。 『義公黄門仁徳録』は、現在の『水戸黄門漫遊記』のベースになった作品です。 この作品は、徳川家の人物のことを書いているので、当然江戸時代には出版する

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          • 二十一日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

            (壁に映った人影が意味不明な講釈をする) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿一日の夜は、ふと影の如く人の形壁に映り、顔形《かほかたち》鮮やかに見へけるが、見臺《けんだい》を前に置きつゝ、高らかに書物を講じける。 然れども、言葉の訳も詳《つまび》らかならず。 可笑《をか》しく怪しき事也。 【現代語訳】 七月二十一日の夜は、ふと影のように人の姿が壁に映り、顔もはっきりと見えました。 その人影は、見台《けんだい》を前に置きながら、高らかに本を読み上げました。 しかし、何と言っているのかさっぱりわかりません。 ヘンテコで不気味な出来事です。 【解説】 今回は変なだけで、特に被害があったわけでもないですから、どうってことないですね。 平太郎の反応すら書かれて

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            • 十八日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

              (天井に糸でくくられる畳 と 飛び歩く錫杖) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 十八日朝、権八来たりし故、平太郎申す様《やう》ハ、「奥の間に行きて見給へ」と権八を誘《いざな》ひて見るに、居間の畳を悉《こと/\》く糸 以《も》て天井に括《くゝり》上ゲ置きしと也。 両人申し合はセ、「其の畳を下ろさん」とて、梯子《はしご》など設けし処に、其の畳、忽《たちま》ち一度に落ちける。 危うき事にて限り無く、驚きしとぞ。 その後ハ、敷物元の如くに敷き直して、権八ハ興を醒《さ》ましつゝ、帰りぬ。 夜に入りて、納戸の内より大い成る錫杖《しやくぢやう》、自《おの》づから出て、居間の内を彼方此方《あちこち》と飛び歩きけると也。 【現代語訳】 七月十八日の朝、権八が来たので、

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              • 「銀だこ×鬼滅の刃コラボ」ド派手に復活!2月3日は節分! #運活 #食活 #滅活 - #楽活!収入増やして人生を楽しく!

                文芸評論家の馬場あき子は5種類に分類している。 民俗学上の鬼で祖霊や地霊。 山岳宗教系の鬼、山伏系の鬼、例:天狗。 仏教系の鬼、邪鬼、夜叉、羅刹。 人鬼系の鬼、盗賊や凶悪な無用者。 怨恨や憤怒によって鬼に変身の変身譚系の鬼。 「鬼」(キ) という漢字の原義は「死者の魂」である。例えば、餓えた死者の魂を「餓鬼」、死者の魂が泣き喚くことを「鬼哭」という。現代日本語の「オニ」も、「鬼」の原義である「死者の魂」として用いられる例もあり、海外で死ぬことを「異国の鬼となる」「異境の鬼となる」と表現する。 馬場によれば、元々は死霊を意味する中国の鬼が6世紀後半に日本に入り、日本に固有で古来の「オニ」と重なって鬼になったという。ここでいう「オニ」とは祖霊であり地霊であり、「目一つ」の姿で現されており、隻眼という神の印を帯びた神の眷属と捉える見方や、「一つ目」を山神の姿とする説(五来重)もある。いずれにせよ

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                • 九日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                  何故か、九日目はこれまでに比べて記述が長いので、覚悟して読んでください(笑) (切腹したニセ亮太夫) (ニセ亮太夫の幽霊) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 九日の夜ハ、四つ頃迄も何事無かりしに、ふと誰やらん訪れし故、「誰ぞ」と問へバ、「亮太夫《りやうだゆう》」と答《こと》ふ。 其れより戸明ケて、内に誘ひけり。 扨、亮太夫申す様ハ、「今宵ハ此の家の化け物退治すべしと思ひ、兄影山彦之助、家に持ち傳へし有名の刀取り出し、持参せし」由、語りし内に、何やらん円《まど》かなる物転び入りし故、亮太夫、右の刀にて追ひ詰め/\せしが、終《つひ》に切り附けしと見えて、忽《たちま》ちに火花を散らしぬ。 其れより平太郎ハ灯り持ち行き見れば、石臼《いしうす》也。 然れバ、刃

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                  • 八日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                    (暴れまわる塩俵と足駄) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 翌、八日の夜は、一家の者両人来たり、俳諧の物語などし居けるに、其の折しも、塩俵弐ツ三ツ席中を立ち廻り、はら/\塩を降らしける。 三人は目も離さで見る内に、足駄《あしだ》一足急に[飛び]来たり、襖《ふすま》を突き破り、外に[飛び]出ぬ。※[脱字]を補いました。 両人は氣を失ひし心地せしが、やがて暇《ゐとま》を乞ひ帰りけるとなり。 【現代語訳】 翌、七月八日は、平太郎の一族の者が二人来ました。 俳諧の話などをしているちょうどその時、塩俵が二つ三つ現れ、その場を暴れまわって、パラパラと塩を降らせました。 三人が目も離さずにその様子を見ていると、今度は足駄《あしだ》[高下駄《たかげた》]が一足、急に

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                    • 四日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                      (舞い散る鼻紙) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 四日の夜は、水瓶《みずがめ》に入れ置きし水凍り、又ハ茶釜《ちゃがま》の蓋《ふた》開き難《がた》く、火吹竹《ひふきだけ》吹きても風通わざりける。 斯様《かよう》の怪しき事、品/\有りしが、後は違ひ棚に置きし鼻帋《はながミ》、次㐧/\に一枚ヅヽ散り上がりて、蝶の飛ぶ様《やう》に見えしとぞ。 是《これ》などハ明くる日も散りて有りしまゝにて、その跡のまざ/\と残りて有りハ夢とも覚えず、確かなる事どもなりける。 【現代語訳】 七月四日の夜は、水瓶《みずがめ》に入れておいた水が凍り、茶釜《ちゃがま》の蓋が開かず、火吹竹《ひふきだけ》を吹いても息が通りませんでした。 このような怪奇現象が色々ありましたが、最後は違

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                      • [6]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原の家から毎晩若い女の声がする~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                        『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 名乗るに付けてハ、恥づかしくも悲しくも侍る也」 語りける言葉優しく、物腰 清《さや》かに、愛敬《あいぎやう》有り。 既に横雲棚引きて、月、山の端《は》に傾《かたぶ》き、灯火《ともしび》白《しろ》う微《かす》かに残りければ、名残《なごり》尽きせず起き別れて帰りぬ。 其れよりして、日、暮《く》るれバ来たり、明け方にハ帰り、夜毎《よごと》に通ひ来る事、更に其の約束を違《たが》えず。 荻原《おひハら》ハ心惑ひて、何はの事も思ひ分けず、只、此の女の理無《わりな》く思ひ交して、 「契りハ千世《ちよ》も変ハらじ」 と通ひ来る嬉しさに、昼《ひる》と雖《いへど》も又、異人《ことひと》に逢ふ事無し。 廿日《はつか》余りに及びたり。 隣《とな

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                        • 六日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                          (木部屋の戸口を塞ぐ老婆の顔) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 六日の夜ハ、庭の前に有りし木部屋《きべや》に行かんとせしに、部屋に当たり大いさ戸口を塞《ふさ》ぎし程の老婆の顔有り。 平太郎ハやがて思ひ付き、小柄《こづか》提ゲて其處《そこ》に到り、婆《ばゞ》の眉間《みけん》に打ち込みしが、稀有《けう》成るかな、婆は痛める色も無く、平太郎興を醒《さ》まし、其の侭《まま》に捨て置き、帰りける。 明ケの朝に到りて、是を見れば、婆の顔は無くて、小柄は彼の眉間と見て突き立てしと思ひける所に、斯《か》ゝる如く[空《そら》]に成りて有りしとぞ。※脱字を補いました。 「珎《めづ》らしき事かな」と善《よ》く/\見て後ハ、小柄は地上に落ちにける。 是らは一入《ひとしお》

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                          • [1]茗荷宿 ~『しみのすみか物語』より~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                            姉妹ブログのこの方から、 「そろそろミョウガの話を取り上げなさいよ!」 と圧力がかかりましたのでヾ(๑╹◡╹)ノ" 石川雅望『しみのすみか物語』(文化2[1805]年刊) 国書データベース ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 【原文】 田舎渡らひして、絹《きぬ》を商ふ商人《あきびと》、日暮れぬれバ、或る家の戸を叩きて、 「宿借りなむ」 と言へバ、承《う》け引きて、開けて入れけり。 主《あるじ》の妻は、恐ろしき心持ちたる者にて、此の旅人の包みの重りかなるを見て、 「如何《いか》で此の包み忘れて行《ゆ》けかし。我が物にしてむ」 と思ひて、主に囁《さゝや》き言へバ、 「茗荷《ミやうが》を食ひたる人は、心呆《こゝろぼ》けて、物忘れする物なり」 と言ふを聞ゝて、菜《あはせ》の実の、皆、茗荷《みやうが》を入れて食はせつ。 扨《さて》、商人は、明け暗《ぐ》れの空に起き出でゝ、立ちて行きぬ。 妻

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                            • [3]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女に心を奪われたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                              『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 芙蓉《ふよう》の眥《まなじり》、鮮やかに、楊柳《やうりう》の姿、嫋《たを》やか也。 桂《かつら》の眉墨《まゆずミ》、緑の髪、言ふばかり無く艶《あで》やかなり。 荻原、月の下《もと》に是《これ》を見て、 「是ハそも、天津少女《あまつをとめ》の天下《あまくだ》りて、人間に遊ぶにや、龍の宮の乚姫《をとひめ》の渡津海《わだつうミ》より出て、慰《なぐさ》むにや、誠に人の種《たね》ならず」 と覚えて、魂飛び、心浮かれ、自ら抑《おさ》へ留《とゞ》むる思ひ無く、愛《め》で惑《まど》ひつゝ、後ろに従ひて行《ゆ》く。 前《さき》になり、後《あと》になり、艶《なま》めきけるに、一町《いつちやう》バかり西の方にて、彼の女、後ろに返り見て、少し笑

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                              • 台風で図書館、文化財に被害 困難な修復保存作業 「優先順位が必要」(1/2ページ)

                                東日本を襲った台風19号で、浸水や雨漏りがあった図書館では書籍のかび被害などが発生。修復に時間がかかったり、そもそも修復自体が困難なケースが相次いでいる。文化財の被害も国指定のものだけで250件を超えた。専門家は国民の共有財産の修復や保存について、「優先順位」をつけていく必要性を強調した。 文部科学省によると、19号で浸水や雨漏りなどの被害が報告された公立図書館は、13都県で計108施設に上った。大学などの学校図書館を含めれば、さらに多数に上る。 多摩川に近い東京都市大世田谷キャンパス(東京都世田谷区)では、図書館棟の地下1階がフロアごと水没。被害を受けた蔵書は約8万3千冊に上った。 地下1階から水が引き、職員が書庫には入れたのは台風通過の1週間後。書棚はゆがみ、書籍は床に散乱し、泥だらけに。かびが生えているものも多かった。 同大では図書館に水が流れ込まないように、玄関辺りから道路側に向か

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                                • [6]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                  『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 御家臣の面〻、何《いづ》れも「如何なり給ふ事や」と、心も心ならず、差し控へ居たりけれども、何れも評義して申す様《やう》、 「たとへ御𠮟りを被《かふむ》るとも、此の侭《まゝ》に打ち捨てゝおくべき事に非ず。 我/\御跡を従ひ奉り、御様子を見届けずんバ、臣たる者ゝ道、立つべからず」 と申しけれバ、何れも「尤《もつと》も」と同意して、藪の中へ入りしに、巡り/\てハ元の處へ出たり。 「是、如何なる事ぞや」と、又、藪の中へ入りしに、巡り/\てハ元の所へ出たり。 此の事、都合 四度《よたび》に及びけれバ、何れも目と目を見合わせ、呆れ果てたる計《ばか》りにて、 「詮方《せんかた》無

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                                  • ②五つの女のドクロの謎 ~②井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                    井原西鶴『本朝桜陰比事』元禄二[一六八九]年刊 新日本古典籍総合データベース ※この記事では国文学研究資料館所蔵品のデジタル公開画像を適宜加工して使用しております。 【原文】 何の御僉議《ごせんぎ》も無く、 「此の長櫃《ながひつ》ハそも/\、壹人《ひとり》して見付けし事か。 又ハ大勢して見し事か」 と御尋ね遊バされし時、 「是に罷有候《まかりありさうらふ》何がし、一人して見付け候」段、申し上げる。 「己《おのれ》、無用《むやう》の物を見付け、其の一里の者どもに難義《なんぎ》を掛《か》けたる過怠《くハたい》に、是よりすぐに四条川原《しでうがはら》に行きて、今度《こんど》桂川《かつらがは》を流《なが》れし長持《ながもち》の噂《うハさ》を、浄溜利《じやうるり》・狂言《きやうげん》に取り組《く》ミ仕《つかまつ》る事、堅く曲事《きよくじ》の由《よし》、芝居中《しばゐぢゆう》へ急度《きつと》触《ふ》れ

                                      ②五つの女のドクロの謎 ~②井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                    • (たぶん)報道されなかった日本の闇ニュース[27]【『利権にまみれた大阪万博』役員報酬、最高月額200万円 大阪府知事・吉村洋文氏、経団連会長・十倉雅和氏、経済同友会理事・新浪剛史氏など34人に賞与も支給 学生はボランティア】 - ioritorei’s blog

                                      (たぶん)報道されなかった日本の闇ニュース[27] (たぶん)報道されなかった日本の闇ニュース[27] (たぶん)報道されなかった日本の闇ニュースとは 【利権にまみれた大阪万博】役員報酬、最高月額200万円 大阪府知事・吉村洋文氏、経団連会長・十倉雅和氏、経済同友会理事・新浪剛史氏など34人に賞与も支給 学生はボランティア (たぶん)報道されなかった日本の闇ニュースとは 最近、テレビでニュースをご覧になりましたか? 久しぶりにテレビのニュースを見て驚愕した。 トップニュースがメジャーリーグでの日本人選手の活躍、もしくは芸能人のゴシップだと? どこまで平和ボケすれば気が済むんだ、日本人。 それもこれも本分を忘れたマスコミが、権力に丸め込まれているからに他ならない。 情報の捏造なんかは御茶の子さいさい。 国民の怒りの矛先を、巧みな情報操作で別のところへ向けてしまう。 それ自体がすでに忌忌しき問

                                        (たぶん)報道されなかった日本の闇ニュース[27]【『利権にまみれた大阪万博』役員報酬、最高月額200万円 大阪府知事・吉村洋文氏、経団連会長・十倉雅和氏、経済同友会理事・新浪剛史氏など34人に賞与も支給 学生はボランティア】 - ioritorei’s blog
                                      • 今度刊行する『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』について(岡田圭介)

                                        文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社 日本語・日本文学の研究書を中心に、人文学書全般を刊行する出版社、文学通信のブログ。 文学だけにこだわらず周辺領域も含め、意欲的に刊行していきます。 出版活動と同様に、webでも積極的に活動することで、多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出していきたいと思います。 〒114-0001 東京都北区東十条1-18-1 東十条ビル1-101 電話03-5939-9027 FAX03-5939-9094 info@bungaku-report.com インボイス登録番号:T4011501023591 今度刊行する『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』について 岡田圭介 この本、当初単行本化には後ろ向きでした。 勝又さんからシンポをやると聞いたとき、未だ実現出来ていない小社刊行予定の国文学研究雑誌『文学

                                          今度刊行する『古典は本当に必要なのか、否定論者と議論して本気で考えてみた。』について(岡田圭介)
                                        • 『張赫宙日本語文学選集』――魯迅と並んだ〈世界的〉作家はいかに忘却され隠蔽されたのか?(南富鎭)|じんぶん堂

                                          記事:作品社 『張赫宙日本語文学選集 仁王洞時代』(作品社) 書籍情報はこちら 魯迅に相並んだ「世界的」作家 今はほとんど忘れられているが、張赫宙(ちょう・かくちゅう 1905-1997)は、かつては魯迅と相並ぶアジアを代表する作家と称された。朝鮮人として初めて日本文壇にデビューし、宗主国の言語であった日本語で植民地期朝鮮の悲惨な現実と多様な人間群像を、自然主義リアリズムで巧みに描き出した。 張赫宙のいくつかの作品は、当時としては珍しく、世界的な広がりを見せていたエスペラント語をはじめ、中国語やポーランド語やチェコ語などにも翻訳紹介された。そうした張の活躍は、第二次世界大戦前のグローバルな連帯の中にいた「弱小民族文学」の朝鮮代表として評価され、「世界文学」の代表格という名声と勢いさえあった。 非難と排除と隠蔽と忘却の朝鮮人作家 第二次世界大戦の終結後、旧弱小民族はそれぞれ自前の近代国民国家

                                            『張赫宙日本語文学選集』――魯迅と並んだ〈世界的〉作家はいかに忘却され隠蔽されたのか?(南富鎭)|じんぶん堂
                                          • ①五つの女のドクロの謎 ~①井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                            今回取り上げるお話は、以前、こちらの本で小説化したものを書かせていただいたお話です。 気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴 発売日: 2018/01/26 メディア: 単行本 その時、ちょっとモヤモヤが残りましてね、そのモヤモヤを解消するために、今回取り上げたく思いますので、しばしお付き合いくださいませ。 モヤモヤの内容は次回以降にちゃんと言いますのでヾ(๑╹◡╹)ノ" 井原西鶴『本朝桜陰比事』元禄二[一六八九]年刊 新日本古典籍総合データベース ※この記事では国文学研究資料館所蔵品のデジタル公開画像を適宜加工して使用しております。 【原文】 七「仕掛物《しかけもの》ハ水に為《な》す桂川」 昔、都の町、静《しづ》かにして、珍しき取沙汰《とりざた》絶《た》へて、「何がな」と聞き耳《みゝ》立つる折節、五月雨の濁り水に、桂川《かつらがは》の瀬々《せ/゛\》を不思議なる物の流れ来たれり。

                                              ①五つの女のドクロの謎 ~①井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                            • [2]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                              『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 其の事の元を尋ぬるに、古《いにしへ》、鎌倉天下の時分に諸國行脚《しょこくあんぎや》の僧に釈《しやく》の浄念《じやうねん》と言ふ者有り。 此の者、元来、大和の國、添《そう》の上郡《かみこおり》春日《かすが》の里の生まれにて、幼《いとけな》きより佛道に心ざし、十八才の時剃髪して、諸国の霊場を巡礼し、三十一才の時、此の八幡《やはた》に来たり。 八幡宮《はちまんぐう》を伏し拝ミ、其の頃ハ一向《いつかう》道も無く、彼方此方《あなたこなた》と竹藪の間を通り抜《ぬ》け、鉦《かね》打ち鳴らしけるに、僅《わづ》かに半道《はんみち》ばかりの竹藪の内を、日数十五日の間、経巡《へめぐ》り歩き

                                                [2]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                              • 岡田一祐『近代平仮名体系の成立 明治期読本と平仮名字体意識』(文学通信)

                                                文学通信|多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出す出版社 日本語・日本文学の研究書を中心に、人文学書全般を刊行する出版社、文学通信のブログ。 文学だけにこだわらず周辺領域も含め、意欲的に刊行していきます。 出版活動と同様に、webでも積極的に活動することで、多様な情報をつなげ、多くの「問い」を世に生み出していきたいと思います。 〒113-0022 東京都文京区千駄木2-31-3 サンウッド文京千駄木フラッツ1階101 電話03-5939-9027 FAX03-5939-9094 info@bungaku-report.com インボイス登録番号:T4011501023591 Tweet Share on Tumblr 2月末刊行予定です。 岡田一祐『近代平仮名体系の成立 明治期読本と平仮名字体意識』(文学通信) ISBN978-4-909658-48-7 C0081 A5判・上製・

                                                  岡田一祐『近代平仮名体系の成立 明治期読本と平仮名字体意識』(文学通信)
                                                • 梶井基次郎が好きな国文学教授、講義の持ち物にとんでもないもの指定してしまう「大学を木っ端微塵にする気か?」

                                                  F9D @F9DF9D 「やっとそれは出来上った。そして軽く跳りあがる心を制しながら、その城壁の頂きに恐る恐る檸檬を据えつけた。そしてそれは上出来だった。」 pic.twitter.com/As7qVa6rxW 2021-03-29 20:43:42

                                                    梶井基次郎が好きな国文学教授、講義の持ち物にとんでもないもの指定してしまう「大学を木っ端微塵にする気か?」
                                                  • 日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』 - HONZ

                                                    日本でもオーロラが見えていたことをご存じだろうか。しかも、直近では昭和33年、約60年前で、これは写真での記録もバッチリあるという。 この本は、タイトルこそ『日本に現れたオーロラの謎』だが、サブタイトルに「時空を超える」や「赤気」という言葉が入り、著者名も片岡「龍峰」さんで、とどめにカバーのイラストで、山から赤いオーラみたいなものが出ている。ぱっと見「スピリチュアルの本なのかな?」と思ったが、本を開くと宇宙空間物理学が専門の、オーロラの科学者による科学の本だった。 しかも、ただの科学の本ではない。著者が在籍している国立極地研究所(南極の昭和基地を 運営しているところらしい)は、国文学研究資料館と同じ場所にあるそうで、つまり物理的な距離も近いので理系と文系の研究者で、オーロラの共同研究をしたそうなのだ。 日本の文献には「オーロラっぽい」記述がいくつかあるという。 この本で取り上げているのは、

                                                      日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』 - HONZ
                                                    • 「使えない文化財」は後世に残さなくていいのか - 西村慎太郎|論座アーカイブ

                                                      「使えない文化財」は後世に残さなくていいのか ネットオークションによる散逸に加え、観光振興に役立つ文化財が優先される時代に 西村慎太郎 国文学研究資料館准教授、NPO法人歴史資料継承機構代表理事 戦国武将や幕末の志士といったヒーローたちの古文書が発見されたという新聞やテレビの報道などをよく見かけるのではないだろうか。ぐにゃぐにゃな「くずし字」で書かれ、専門的な訓練を受けていなければ読めない代物であるが、「歴史ロマン」の一断章として興味深いためか、大きく報道され、注目を集める。 一方で、古文書は、ヒーローが登場しなくても地域の歴史と文化を明らかにするための重要な歴史資料のひとつだ。近年では過去の災害の記録を分析することで、ハザードマップの充実化を図り、地域の防災・減災の一助にしようとしている。歴史好きや歴史研究者のためだけではなく、古文書は社会にとって重要なツールであるといえよう。 その古文

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                                                      • 二十日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                        (中村平衛門からの使いの美女に化けた妖怪) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿日の夕方、中村平右衛門が家よりの使ひとて、美敷《うつくしき》女来りて、餅菓子を贈りける。 賤しき女なるに、物 嫋《たを》やかに麗《うるは》しき事、いと言ふべからず。 「誠に斯ゝる女も有りける物か」と心も惑ばさるゝばかり也。 然れば、平太郎、ふと心附き、然《さ》有らぬ躰《てい》に持て成しけるが、一ツ二ツ話し、やがて心無げに帰りける。 平太郎も其の跡を見送りしに、門に出て後ハ見失ひしと也。 跡にて調べけるに、隣に餅菓子を拵《こしら》へしが、重一つ見えざりける。 果たして、その重の内にて有りけるとぞ。 化け物の恐ろしくも巧みし事とて、ます/\慎ミ恐れける。 其の後も少しハ変わり

                                                          二十日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                        • 図書館も新常態 電子書籍貸し出しなどで脱「来館」 - 日本経済新聞

                                                          新型コロナウイルスの感染拡大で休館が相次いだのを機に、各地の図書館や資料館がサービスを充実させている。デジタル文献をオンライン上で公開したり、ドライブスルー方式で貸し出しをしたり。コロナ後の「新常態」を見据え、利用者の来館や滞在を前提とした機能の見直しが進む。「今だからこそ、私たちのウェブサイトへ。様々な資料で学べます」。国文学研究資料館(東京都立川市)は閲覧室が閉館中だった4月、ロバート・キ

                                                            図書館も新常態 電子書籍貸し出しなどで脱「来館」 - 日本経済新聞
                                                          • 発端『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                            今回から、ももはな (id:however-down) さんのリクエストにお応えして、『稲生物怪録《いのうもののけろく》[「いのうぶっかいろく」とも]』を読んで行きたいと思います。 とは言っても、『稲生物怪録』は出版されたものではなく、書き写されて伝わったもので、色々なパターンの写本が存在します。 『稲生物怪録』というのも、あくまでもこの系統の作品の統一書名で、タイトルも写本によってマチマチです。 今回紹介するのは、絵本系と呼ばれる系統の一冊で、タイトルは『稲生平太郎妖怪記』となっています。 今回紹介する写本は、絵も字も下手であまり出来が良くないのですが、ブログに載せても大丈夫なのがこれしかなかったのでヾ(๑╹◡╹)ノ" なお、【原文】では、誤字脱字はできる限り修正しています。 挿絵の位置も本文と合っていないので、合わせました。 (左下に蓑笠で比熊山を登る平太郎の姿) 新日本古典籍総合デー

                                                              発端『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                            • [8]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~翁の話を聞いて荻原は恐ろしくなりました~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                              『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 今、汝《なんぢ》ハ、幽陰氣《ゆういんき》の霊と同じく座して、是を知らず。 穢《けが》れて邪まなる妖魅《ばけもの》と共に寝《ね》て、悟《さと》らず。 忽《たちま》ちに真精《しんセい》の元気《げんき》を耗《へ》らし盡しくして、性分《せいぶん》を奪《うバ》ハれ、禍《わざハひ》来たり、病《やまひ》出侍らバ、薬石《やくせき》鍼灸《しんきう》の及ぶ所に非ず。 傳尸癆瘵《でんしろうさい》の悪証《あくしやう》を受け、まだ萌え出る若草の年を老《を》い先長く待たずして、俄《にハ》かに黄泉《よみぢ》の客《きやく》となり、苺《こけ》の下に埋もれなん。 諒《まこと》に悲しき事ならずや」 と言ふに、荻原初めて驚き、恐ろしく思ふ心付きて、有りの儘《ま

                                                                [8]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~翁の話を聞いて荻原は恐ろしくなりました~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                              • サビは地上のオーロラや

                                                                サビに特化した写真展、その名も「いいサビゆめきぶん」を見に、茂原市立美術館へ行ってきた。 コンテナやドラム缶、ガードレールなど様々な場所に浮いたサビを切り取った写真展だ。 長生フィルム会さんの写真展で何枚かは見たことはあったものの、今回枚数を集め、個展を開催した。 コンテナやガードレール等、それそのもの自体は人工物でも、朽ちていく様は千差万別で美しくすらある。 それは人生の教訓のようでもある。 サビを撮るなんて簡単じゃんと思われるかもしれない。 確かに簡単なのだけども、実はとても難しい。 というのは、それを主目的にしないと目に入らない、目に入っても認識しないからまず撮れないからだ。 たぶん人間は何でもできるようにはできていないのだと思う。 一念岩をも通す。 他の人が目を向けない所に興味を持って撮ることで、個展を開くことができた。 素晴らしいと思う。 人生のように思ったのは、撮影者の吉田さん

                                                                  サビは地上のオーロラや
                                                                • [5]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女と契りを交わしたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                  『伽婢子《おとぎぼうこ》』[浅井了意作、寛文六(一六六六)年刊]巻三の三「牡丹灯籠」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 女、取り敢《あ》へず、 「夕《ゆふ》な/\ 待つとし言ハゞ 来ざらめや 託《かこ》ち顔なる 兼ね言はなぞ」 と返しすれバ、荻原、愈《いよ》/\嬉しくて、互ひに解くる下紐《したひも》の、結ぶ契りや新枕、交わす心も隔て無き、睦言《むつごと》ハまだ尽き無くに、早や明け方にぞなりにける。 荻原、 「其の住み給ふ所ハ何処《いづく》ぞ。 木の丸殿にハ有らねど、名乗らせ給へ」 と言ふ。 女、聞きて。 「自《ミづか》らハ、藤氏《ふぢうぢ》の末、二階堂政行《にかいだうまさゆき》の後也。 其の頃ハ、時めきし世も有りて、家栄え侍りしに、時世《じせい》移りて、有るか無きかの風情にて、微《かす》かに住み侍り。 父ハ政宣《まさのぶ》、京都に打ち死に

                                                                    [5]怪談「牡丹灯籠」(『伽婢子』より)~荻原は美女と契りを交わしたのでした~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                                  • 【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第72回 日本最大の出版社KADOKAWA勃興秘話、編集人たちが創り上げたメディアミックス経営 | gamebiz

                                                                    【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第72回 日本最大の出版社KADOKAWA勃興秘話、編集人たちが創り上げたメディアミックス経営 角川書店とは捉えがたい会社である。国史国文の出版社として始まった国文学者角川源義の時代から、映画業界に旋風を巻き起こした長男:角川春樹の時代、そしてラノベやアニメ業界を創出していった次男:角川歴彦の時代。ここまでトップの経営ビジョンで大きく変化した出版社でありながら、2000年代にアニメ・ゲーム事業が広がり、2010年代にニコニコ動画のドワンゴまで経営統合し、その軌跡のなかで「メディアミックス」というマーケティング手法自体は学問の世界でも確立した一つのテーマにもなっている。その進化の過程を半世紀にわたって渦中でまわしてきた角川グループホールディングス(現KADOKAWA)元社長の佐藤辰男氏に話を伺った。 ■文芸・俳句短歌の中堅出版社角川が第二の雑誌ブ

                                                                      【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第72回 日本最大の出版社KADOKAWA勃興秘話、編集人たちが創り上げたメディアミックス経営 | gamebiz
                                                                    • [9]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                      『義公黄門仁徳録《ぎこうこうもんじんとくろく》』[江戸中後期成立か。呑産通人(呑産道人)作]巻二十七「下総国八幡宮藪を八幡知らずと申す事」 ※国文学研究資料館所蔵 (CC BY-SA) 新日本古典籍総合データベース 【原文】 傍らを御覧有るに、人の屍《かばね》山の如く積ミ上げ、中にハ未だ生/\しき有れバ、曝《しや》れたる骨等 夥《おびたゞ》しく、手足を引き抜きたる様《やう》なる死骸有れバ、首の無き骸《むくろ》も有り。 其の臭き事、例ふるに物無し。 義公様も其の臭気の甚《はなハ》だしきに、御鼻を覆ひ給へ、彼方此方《あちこち》と御覧有るに、此方《こなた》にハ女子の骸ばかり累《るい》/\と積ミ上げ有り。 又、正面宮居の前《まい》にハ、凡《およ》そ長さ壱尺弐三寸も是有ると思しき剱を飾り、征代将軍万代不易《せいだいしやうぐんばんだいふえき》と言ふ八字の大額を掛け、左右に供物を供へし躰《てい》、宛《さ

                                                                        [9]水戸黄門、八幡の藪知らずへ!~江戸時代に書かれた水戸黄門漫遊記~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                                      • ③五つの女のドクロの謎 ~③井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                        kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com それでは、まず、昔の京都の地図を見て、「仕掛物は水になす桂川」の舞台がどこだったかをさぐってみます。 [京大絵図] - 国立国会図書館デジタルコレクション ※この記事では国文学研究資料館所蔵品のデジタル公開画像を適宜加工して使用しております。 ちょっと小さくて分かりにくいのですが、オリジナルの画像は大きいので興味がある方はリンク先からご覧くださいませ。 ①の箇所のアップです。 左の方に桂川が流れています。 黄色い丸で囲ったのが村があった場所です。 一応、原文では「里人」とあったので、「桂の里」を第一候補としておきますが、おそらく特定の村をモデルにしたわけではないと思います。 右上の二条城の周辺に行政機関が集まっています。 東奉行所と西奉行所がありますが、管轄で分けられていたわ

                                                                          ③五つの女のドクロの謎 ~③井原西鶴「仕掛物は水になす桂川」『本朝桜陰比事』~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                                        • はあちゅう、リアル校閲ガールの方からのDMを大公開し、無関係な同業のウォッチャーを晒してしまう

                                                                          「今週は誹謗中傷関連の動きがいろいろある」としたはあちゅうこと伊藤春香、 「リアル校閲ガール」の牟田さんから誤送信されたDMを大公開、 さらに同業の別のウォッチャーを晒しイケハヤとグルで悪人呼ばわりします。 牟田さんからはDM誤送信の謝罪と、ウォッチャーの方とは無関係である旨の弁明がありましたが完全スルーし、 更に自己中心的な自己肯定論を披露します。 今週は誹謗中傷関連の動きがいろいろあります今週は誹謗中傷関連の動きがいろいろあるので、それについて考えたりつぶやいたりが多くなるかもです!🙏 — はあちゅう (@ha_chu) October 13, 2020今週は誹謗中傷関連の動きがいろいろあるので、それについて考えたりつぶやいたりが多くなるかもです!🙏 「リアル校閲ガール」の牟田さんから誤送信されたDMを大公開し、無関係なウォッチャーを晒します「北欧、暮らしの道具店」で仕事論について

                                                                            はあちゅう、リアル校閲ガールの方からのDMを大公開し、無関係な同業のウォッチャーを晒してしまう
                                                                          • 五日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                            (大指のような足とカニのような目を持った石) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 明くる五日の夜ハ、権八も来たり、咄《はな》しつ「中/\刃物術《はものわざ》には及ばざりし化け物、誠に怪敷次㐧《あやしきしだい》」など申しける處に、やがて米三斗ばかりなる石壱つ走り来たりける。 是を見るに、大指の如き足有りて這《は》ひ、蟹《かに》の如く成る眼《め》有りて睨《にら》み、権八が方に向かひて走り来たる。 権八ハ慌《あは》たゞ敷《しく》刀取りて切らんとせしが、平太郎が押し留めし故、すべき様《やう》無くて帰りける。 扨《さて》、夜明けて後、臺所に有りしを見れバ、近所に有りける車留めの石成りしが、「嘸《さぞ》な、化け物ゝ取り来てかくは仕立てたる成るべし」と申しける。 【

                                                                              五日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                                            • 十二日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                              (葛籠が化けたヒキガエル) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 十二日には化け物の仕業と見へて、居間の四角の柱に貼り置きし祈祷札《きとうふだ》に輪の如く墨を塗りて消しけるとぞ。 扨、夜に到りてハ、物置の中より大いなる蟇蛙《ひきがへる》飛び出て、平太郎が寝《いね》て有りし上に飛び上がりける。 其の蛙の胴を見れば、組紐《くみひも》の結びて有りし故、平太郎も「葛籠《つゞら》の化けし物よ」と心得、そのまゝ此の紐を捕らへて離さず臥せけるが、夜明けて見れバ、臥したる腹の上に葛籠を乗せて、紐を捕らへて有りけるぞと。 【現代語訳】 七月十二日には、居間の四角の柱に貼っておいた祈祷札《きとうふだ》の文字が、輪のように丸く、墨で塗りつぶされて消してありましたが、化け物の仕

                                                                                十二日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                                              • 十一日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                                (勝手に動き出す、すり鉢とすりこ木) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 明くる十一日の夜は、一族の者、咄《はなし》に来たりけるが、一人の刀の鞘《さや》を化け物に隠され、皆〻尋ねし處に、更に見へず。 平太郎、やがて其の事を高く云ひて怒りけれバ、鞘、天井より落ちにける。 「実に化け物も平太郎にハ恐るゝなるべし」と申しける。 扨、鞘を得て後ハ、何《いず》れも喜び帰りしに、跡にて臺所の方に擂鉢《すりばち》、擂粉木《すりこぎ》、我と我が出でゝ、擂り廻り/\、間の内を廻りけるとぞ。 是は又、珎《めず》ら敷《しく》、可笑《おか》しき事にこそ。 【現代語訳】 翌、七月十一日は、親戚の人たちが話しにやって来たのですが、一人の刀の鞘《さや》を化け物に隠され、みんなで探し

                                                                                  十一日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
                                                                                • [1]累ヶ淵~『新著聞集』より~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

                                                                                  「累ヶ淵」のお話の初出は、椋梨一雪《むくなしいっせつ》作『古今犬著聞集《ここんいぬちょもんじゅう》』[天和四(一六八四)年成立]巻十二「幽霊成仏之事」です。 『古今犬著聞集』は、出版されたものではなく、写本で伝わったものですが、この『古今犬著聞集』に記載された話を元に脚色して、仮名草子として出版された、残寿《ざんじゅ》作『死霊解脱物語聞書《しりょうげだつものがたりききがき》』[元禄三(一六九〇)年刊]によって「累ヶ淵」のお話は世間に広まりました。 今回、読むのは、『新著聞集』[寛延二(一七四九)年刊]巻十三「絹川の二霊念仏生を転ず」です。 『新著聞集』は『古今犬著聞集』などを再編集した説話集なので、『古今犬著聞集』「幽霊成仏之事」と『新著聞集』「絹川の二霊念仏生を転ず」はほぼ同内容です。 つまり、今回読むのは、脚色されたものではなく、ほぼオリジナルに近い「累ヶ淵」のお話です。 別に『古今犬

                                                                                    [1]累ヶ淵~『新著聞集』より~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~