大河ドラマ「光る君へ」で時代考証を担当する倉本一宏さんにインタビューしました。史実の忠実な再現と、「もしかしたら」という想像力を働かせたフィクションのはざまで作られていくのが歴史ドラマの魅力でしょう。その舞台裏を知る人ならではの興味深いお話が伺えました。(聞き手・美術展ナビ編集班 岡部匡志) 道長が頼んで書いてもらった『源氏物語』 Q まひろ(紫式部)が道長の娘である藤原彰子に女房として仕え、『源氏物語』を執筆する、という局面がだんだん近づいてきます。紫式部は宮中でどういう仕事をしていたのでしょう。 A 女房は基本的には雑用や、公卿との取次をするなどします。上臈、中臈、下臈と序列があり、紫式部は「中の上」ぐらいかと。彰子に教養をつけたり、和歌を教えたり、漢詩を教えたりすることが重要なミッションです。中でも『源氏物語』を執筆する、というのが最も重要な仕事でした。普通の女房のようには、雑用はあ