昨今、「服の生地がペラペラになってきた」という声をよく聞く。多くの人は、アパレル側のコスト削減の結果とみる向きが多いが、実はそれほど単純な話ではない。社会、経済、業界慣習、そしてトレンドが複雑に絡み合った結果なのである。どういうことか? Lemon Pie/istock 女性の社会進出と服の「軽量化」の関係性 1kg=1000円の糸があったとする。ここでニットの目付(めつけ:重さのこと)が300グラム(肉厚で重いニット)だったものが200グラムになると、素材のコストは300円程度から200円程度に落とすことができる。原価で34%のコストダウンの実現である。このことから「昨今の原料高を吸収するために目付を軽くしているのだ」と言う向きがあり、それは正しいことではあるが、実はそれはいくつもある要素の1つに過ぎない。 ファッション衣料の原料が軽くなったのは、「トレンド」だからである。コストダウンは