「時は満ちた」。脚本と演出を担う小池修一郎の言葉の通り、宝塚大劇場で上演中の花組「ポーの一族」は、トップスターの明日海(あすみ)りおを筆頭に、いまこのキャストだからこそ実現した耽美(たんび)な世界が繰り広げられる。永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)一族を描き、少女漫画の傑作といわれる萩尾望都(もと)の原作と同じく、完璧な再現度で伝説の舞台となる予感がする。 小池が宝塚に入団した40年前から上演を望んでいた作品。しかし、現実のスターと美少年の姿のまま生き続ける主人公エドガーら役の年齢を考えると実現困難、と思っているうちに時が過ぎたという。今回の劇化を「それもすべて、明日海がやるために、運命の神が上演させなかったということ。感無量です」と小池は語る。 青い瞳と金色の巻き髪。エド…