武士道には、「最も剛毅(ごうき)なる者は、最も柔和なる者なり。最も勇気ある者は、最も愛ある者なり。驕(おご)れし者を打ち砕き、敗れし者を慈しみ、失われぬ他者への哀れみの心。平和の道に立つること、これすなわちもののふの道、武士道なり」という言葉があるのですが、これこそ本多忠勝の人物像に重なります。演じるというよりも、“忠勝になりきりたい”と常に思いながら、撮影に臨みました。 大小合わせて57回にも及ぶ合戦に加わっても忠勝が無傷であったのは、敵方の武将までも魅了するほどの忠義の精神を体現した無私の雄姿と、また、その姿を追う家臣達が「この殿に死んでほしくない」と必死で共に戦い守りぬいたおかげかもしれません。単に強いというだけではなくて、分け隔てなく人を心から思いやる人情、すべてを消化しようとするような人間臭さを、きっと持ち合わせていたのでしょう。『真田丸』で本多忠勝を演じる機会をいただいたことは