LGBTQという言葉が広まる前から、性的マイノリティーの先駆者として芸能界を生きてきたカルーセル麻紀さん。30歳を前に決断したモロッコでの性別適合手術について聞くと、「別に女になりたかったわけじゃない」と語り、その理由を話してくれました。 ──20代となった麻紀さんはテレビの世界にも進出。グラビアや日劇での出演のほか、店にも出続けるなど、売れっ子となった。その一方、街中で指をさされるようなことも多くなった。 悪口言われても、バカにされても、(全て腹に)しまっておけばいいと思っていた。 ワイドショーに出て、カーテンの下から足だけ出して、“この人は男でしょうか、女でしょうか”なんてやってたんですよ。「ヒールを履いているから女じゃないの?」「いや、男かもしれない」なんて。 街の歩いてる人たちに「カルーセル麻紀を知ってるか」とインタビューして、「知ってる。オカマだろ」と言わせるようなこともあった。
入った日からショータイムに出ていましたし、マンボもジルバも踊れた。「末恐ろしい子だね」ってママに言われたんだけど、1か月くらいして、中学校の時の友達に手紙を出しちゃって、札幌のゲイバーにいることがばれちゃった。札幌の警察に連れて行かれて、(釧路の)家に連れ戻されました。 学校にも行けないから、バーで働いていたんだけど、「ゲイボーイがいる」ってみんなが見に来るから、嫌になってすぐ辞めちゃった。 母親に「もう1年だけ(札幌で)やらせて」ってお願いしました。長男に「お前、出て行くなら二度と家の敷居をまたぐなよ」と言われ、口答えはできないけど、腹の中で「わかってるわよ。二度と来るかよ」と思って。ただ、母親は「しょうがないね。でもね、ちゃんと働いて一流になるんだよ」って送り出してくれましたね。 ──それから、旭川や室蘭、弘前や大阪など、様々な場所を転々とする。忘れられないのが、「師匠」とする青江ママ
性的マイノリティーという言葉が広まる前から、カルーセル麻紀さんは、そのパイオニアとして芸能界を駆け抜けてきました。昭和の時代から闘い続けてきた差別と偏見。ダンスとの出会いや、“周囲の男の子と違う”と感じた幼少期について、語ってくれました。 ■ダンスを教えてくれたのは漁師「あんた女の子みたいだね」──出身は北海道・釧路市だった あたしが子どもの頃、とてもにぎやかだったんですよ。遠洋漁業と炭鉱がありましたから、繁華街があって、そこにキャバレーやクラブが乱立していました。 家から歩いてすぐのところに、幣舞橋(ぬさまいばし)という橋があって、そこに着いた船によく遊びに行っていました。小学校2~3年の頃かな、ダンスを教えてもらいました。小学校の時に、マンボとかジルバを踊れたんですよ。漁師さんたちは男でしたから、“じゃあ女役やって”と言われて、「はーい!」とやっていました。「あんた女の子みたいだね」と
2024年05月18日10:00 カテゴリ自分史・男子時代のお話LGBTQの日常 【メディアでの扱い】少しはメンタルが強くなった?【LGBTQ】 メディアの取り扱い次第で自己を否定したりする人もいるよ、という話。 私が幼い頃はまだいわゆる「オカマ」や「ニューハーフ」と呼ばれる人たちが、メディアでは妖艶な一面もあったけれど、ほとんど罰ゲームの材料だったり、ゲテモノ扱いをされるなど、正直あまりいい印象はありませんでした。 しばらくして「性同一性障害」という言葉が世間に認知されだすど、今度は「可哀想」など哀れみや「性癖の正当化」などの無理解も加わりました。 ▼あわせて読みたい▼ ● 【元男子】性同一性障害を知った高校時代 ● 【男子時代】友達が「オカマ」と呼ぶ理由【性同一性障害/LGBTQ】 まだまだ子どもだった私は、こんな蔑み、哀れみ、否定、批判などを被るくらいなら、性別に違和感があるかもだけ
「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」の5月17日にペルーの首都リマで、保健省の前で抗議デモを行うLGBTQ+団体の人々(2024年5月17日撮影)。(c)Cris BOURONCLE / AFP 【5月18日 AFP】ペルー政府がトランスセクシュアリズム(性転換症)という言葉を用いてこの状態を「精神疾患」に分類する新たな法令を制定したことを受け、性的少数者(LGBTQ+)団体は17日、抗議デモを行った。 政府は10日、同法令で2021年から精神疾患治療に保険を適用している疾病のリストを更新し、トランスジェンダーの人々も含めた。 保健省は同法令で、「性転換症」を「精神疾患」と表現している。世界保健機関(WHO)は公式文書で何年も前からこの表現を使用していない。 「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」に当たる17日、首都リマでは政府への抗議デモが呼び掛
5月17日は、LGBT嫌悪に反対する国際デー(「多様な性にYESの日」)だ。トランスジェンダー女性を公表している日本テレビの谷生俊美さんは、会社に勤めながら性別移行を進める「在職トランス」を経験した。「人は分からないものを差別してしまうことがある」と話す谷生さんは、いかにして人生を切り開いてきたのか。本人と、会社の先輩と同僚に話を聞いた。(取材・文:長瀬千雅/撮影:鈴木愛子/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 谷生さんはもうすぐ5歳になる女の子の「ママ」だ。2014年に結婚したパートナーの女性は「かーちゃん」である。2人は女の子を「もも」と呼んで慈しむ。「ママ」と「かーちゃん」による子育ては、ほかの共働き家庭と変わらない。保育所の送り迎えも交代でする。 「ももが大人になっていくこの社会は、どんな人も差別されることなく、のびのびと生きられる社会であってほしいと思っています。LGB
2023年の本誌12月号に「手術無しで性別変更……割れる世論」という記事が掲載された。全国紙各紙でも、23年10月25日の最高裁大法廷での、戸籍上の性別変更に必要とされている生殖不能要件を憲法違反とした決定に対する性同一性障害者の見解などが特集され、合わせて世論の動向をかなり把握できる資料となった。著者は形成外科医として男女の性別に関する手術も行ってきた経緯もあり、この問題についての関心は決して小さくない。 男女の定義から考える最高裁の判決様々な意見が入り乱れる中で、置き忘れられている議論があることを私は指摘したい。それは男と女の定義は何かということである。 性同一性障害特例法は、男女の定義から外観的なものや機能的なものを除外していない。つまりこの法律は、古典的で世間的な男女の定義である身体的な特徴に基づいて戸籍上の男女を決めている。これに対して最高裁は、戸籍上の男女は本人の自己認識で決ま
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR=性と生殖に関する健康と権利)の確立へのバックラッシュ(反動)が世界各地で起きている。日本では2023年6月のLGBT理解増進法施行を機に、性的マイノリティ、特にトランスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性別と性自認が異なる人)への憎悪を煽る言説がSNSを中心に激化し、ヘイトが社会を分断する状況が生まれている。 このような現状を把握し、バックラッシュの傾向と連帯の手立てを考えるイベントが公益財団法人ジョイセフ、国際家族計画連盟(IPPF)の主催で4月22日に東京都内で開かれ、SRHRの推進に携わる登壇者たちが語り合った。 日本側の出席者。右から田代美江子さん、松岡宗嗣さん、高井ゆと里さん。(提供/ジョイセフ) 包括的性教育(CSE)の推進に長く携わってきた田代美江子さん(埼玉大学副学長)は、2000年代の「性教育バッシング」と2
「LGBTQ講師」として関西の学校を中心に講演活動を行っている東根歩夢(あゆむ)さん(31)と中川未悠(みゆ)さん(28)。二人はどちらも性別適合手術を受けた、トランスジェンダーの夫婦だ。昨年10月、戸籍上の性別を変えるのに生殖能力をなくす手術が必要と定めた「性同一性障害特例法」の要件が、最高裁大法廷により「違憲」とされた。二人の住む大阪を訪ね、本来の性別を取り戻し、互いに出会うことのできた半生と、今回の司法判断についての率直な思いを聞いた。(取材・文:堀 香織/撮影:松村シナ/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 「お綺麗ですね」「髭に見惚れ」から始まった出会いリビング中央にあるキャットタワーから、黒猫がこちらの様子をうかがっていた。「エンちゃん、映えショット、撮ってもらい~」。見上げる東根歩夢さんの目尻が下がる。コーヒーを入れ終え、別の猫を探しにリビングを出た中川未悠さんが「
米国で議論を呼んだノンフィクション『トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇』が4月、産経新聞出版から発行され、波紋を呼んでいる。 発売直前に「原著の内容はトランスジェンダー当事者への差別を煽る」として、書籍の出版中止を求め、発行元の産経新聞出版や複数の書店に放火予告までされるなど、大騒動に発展。一部の大手書店の店頭には置かれず、ネット上では「言論弾圧だ」との声も上がった。 本書の監訳者であり、精神科医の岩波明氏はあとがきで「現在のトランスジェンダーの問題は、差別と少数者の権利擁護の側面ばかりがクローズアップされているが、本来は医療の問題だ」と述べているように、これまでは精神医学や性科学の側面から扱われることが少なかった。 そこで今回は、本書の内容に関して性別不合(性同一性障害)の治療に多く携わる精神科医の針間克己氏はこの問題をどう捉えているのか、詳しい話を
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