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アメリカの未解決事件の中で、1968年から1969年に発生した連続殺人事件の犯人ゾディアック・キラー(Zodiac Killer)は、少なくとも5人を殺害した。犯人は事件の中で、自身の犯行に関する手紙と暗号文のメッセージを4通、地方紙に送った。 最初の暗号文「Z408」は1週間で解読されたが、2番目の「Z340」は長年にわたり未解読になっていた。Z340は通常の文字、逆文字、図形、その他の記号が混在し、それらが格子状に配置されていた。これはZ408と似ていたため、当初は早期解読が期待されていたが、Z408には存在しないシンボルが含まれており、解読を困難にしていた。 しかし、事件から51年後の2020年12月、3人の専門家が暗号解読ソフトウェアを使用して、Z340の解読に成功した。その後3人は、暗号解読に至った過程の詳細をホワイトペーパーとして執筆し、2024年3月27日付けでリポジトリサイ
科学論文誌のNatureは、2024年4月6日、室温超伝導スキャンダルの渦中にある物理学者のRanga Dias氏についての調査結果を発表した。趣旨として同氏が、データの捏造、改ざん、盗用をしていたことを明らかにした。 今回の調査は、ロチェスター大学が採用した独立した科学者グループが10カ月にわたり実施した。同グループはDias氏に対する16件の不正行為の申し立てを調査し、それぞれのケースにおいて、科学的な不正行為があった可能性が高いと結論づけた。 この調査は、同誌に掲載された2件の論文において、Dias氏が室温超伝導を示すデータをどのように歪曲したか、また、それらのデータを学生たちに知られないかたちで、どのように操作したかという詳細を明らかにした。 Nature誌の論文でDias氏は、最初は炭素と硫黄と水素(CSH)、次にルテチウムと水素(LuH)による化合物で、室温で電気抵抗ゼロの室温
イギリスのYouTuber、James Bruton氏は2024年4月16日、メカナムホイールで全方向に走れる電動バイクを製作し、自身のYouTubeチャンネル「James Bruton」で「World’s First SCREW-BIKE」として公開した。 同バイクには、直径約360mmのメカナムホイールが、フレームに対して90度の角度で4本取り付けられている。各ホイールの外周には12個の樽型ローラーが、車軸に対して斜め45度の角度で連続して並ぶ。ホイールは自作で、ローラーとハブは3Dプリンターで作成された。 同バイクは、セグウェイのように自律的にバランスを取り、体重移動で左右方向に走れる。前進は、通常のバイクと同じく右側のスロットルをひねり、バックの際はトグルスイッチを切り替える。また、左側のスロットルをひねると回転も可能で、トグルスイッチにより右回転と左回転を切り替えられる。 同氏は
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、医療機器や家電製品など、電子機器の基本構成要素として広く使用されているソレノイドを3Dプリンターで造形し、従来の3Dプリント製ソレノイドより最大3倍大きな磁場を発生させることに成功した。この研究成果は、2024年2月20日付で『Virtual and Physical Prototyping』に掲載された。 3Dプリンターによるインダクター製造はこれまでにも実現しているが、MITの研究チームは複数の材料に対応するマルチマテリアル3Dプリンターを改造し、3つの異なる材料の層を精密に重ねることで、小型で立体的なソレノイドをワンステップで製造できるようにした。 ソレノイドは、電磁コイルと磁性コアで構成され、磁性コアに電流を流すと電磁石となって、電気エネルギーを機械的動作に変換するものだ。従来、クリーンルームで製造される電気回路にソレノイドを組み
塩分を含む水を新鮮な飲料水に変える、太陽光発電駆動の新しい淡水化システムが開発された。これは従来の手法よりも20%以上安価で、世界中の農村部で導入可能だという。この研究は英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)と米マサチューセッツ工科大学(MIT)らが共同で行ったもので、2024年3月26日付で『Nature Water』に掲載された。 世界の人口のおよそ4分の1は「極めて高い」レベルの水ストレス下にあり、水不足に陥る可能性が非常に高いという。水ストレスとは、淡水需給がひっ迫して日常生活に不便が生じている状態のことだ。 世界の農村人口のうち16億人は水不足に直面しており、その多くが地下水に依存している。しかし、世界の地下水のうち56%は塩分を含んでおり、飲用には適していない。この問題は特にインドで顕著で、国土の60%で塩水が存在するため、飲用に適さない水を抱えている。 しかし、従来の脱塩技
弾性熱量効果(Elastocaloric effect)を利用し、ニッケルチタン(NiTi)合金であるニチノールで作られた「人工筋肉」で冷却する世界初の小型冷却機が開発された。この研究は独ザールラント大学と独メカトロニクス・自動化技術センター(Center for Mechatronics and Automation Technology:ZeMA)によるもので、ドイツのハノーバーで2024年4月22〜26日に開催された国際見本市「Hannover Messe 2024」でプロトタイプが展示された。 弾性熱量効果とは、弾性体の形状が急激に変形する際に発熱や吸熱が起こるというものだ。円筒形のプロトタイプに組み込まれている新技術は、ワイヤーに力を加えて引き伸ばしてから力を取り除き、ワイヤーが元の状態になると、その際に空間から熱が取り除かれるという単純な原理に基づいている。 研究チームは、熱を
米コーネル大学の医学部と工学部の研究者らは、最新の組織工学技術と3Dプリンターを使って、見た目や感触が実物に近い移植用の耳を作製した。 この研究に取り組んでいるのは同大学で形成外科を専門とするJason Spector教授が率いるチーム。今回Spector氏らは耳のレプリカのために、構造を保持しながら細胞の増殖を促す足場となるスキャフォールドを、3Dプリンターを用いてプラスチックで作製した。 以前の研究では、コラーゲンで作られたスキャフォールドに動物由来の軟骨細胞を植え付けていた。この方法だと、初めはうまく成長するのだが、時間が経つにつれてタンパク質の網目構造に引っ張る力が加わり、形成された耳の大きさが半分程度に縮んでしまった。 この課題に対処するために3Dプリンターを導入し、移植対象者の一方の耳からデータを取り、精巧な耳の形のプラスチック製のスキャフォールドを作製した。 コラーゲンででき
ドイツのデザイナー兼職人のKevin Noki氏は、2024年3月18日、自身のYouTubeチャンネルで、Macintosh 128Kの外観を再現したPCを発表した。同氏は、自作PC「Homebrew」とMacintoshの名称を組み合わせて、「Brewintosh」と命名した。 Brewintoshのハードウェアは、プロジェクト始動時に半導体不足に遭遇したことでRaspberry Piが入手できなかったため、代わりに旧型のシンクライアントを使用した。 ソフトウェアは、OSとしてLinuxを搭載し、さらに、1984年から1996年までに販売された初期のMacintoshのソフトウェアを動かすためのエミュレータ、「Mini vMac」を改造して搭載した。 外装は、故障したMacintosh「Plus」の筐体を利用して、パーツを3Dプリントし、研磨してオリジナルと同色で塗装した。ディスプレイ
Illustration by Alex Shipps/MIT CSAIL using six AI-generated images develped by researchers. 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は2024年3月21日、画像生成ツールの研究成果を発表した。ツールの主な特徴は処理性能にあり、Stable DiffusionやDALL-E-3などの既存のモデルと比較して、30倍の高速化が期待できると説明している。 AIを利用した画像生成ツールは、いくつかの単語を与えると、拡散モデルによって独自の「アート」を生成する。この処理は、ノイズの多い初期画像データに繰り返して「構造」を追加し、画質を向上させるが、反復的なアルゴリズムの実行が処理時間を長引かせていた。 この課題について研究者らは、「教師モデル」と「生徒モデル」の関係で、拡散モデルの複雑な処理を単一ステップに簡略化
中国の清華大学と国立ナノ科学技術センターの研究チームが、フレキシブルなペロブスカイト太陽電池(PSC)の効率を向上させる成膜技術を開発し、最高水準の電力変換効率を達成した。 同研究成果は2024年3月22日、「iEnergy」誌に掲載された。 フレキシブルPSCは、航空宇宙やウェアラブルエレクトロニクスなどの分野で応用が期待されている。しかし、ペロブスカイト膜の下地となるポリエチレンテレフタレート(PET)基板が柔らかく不均一なため、ガラス基板を利用するリジッドPSCに比べて、フレキシブルPSCの電力変換効率は低い。また、リジッドPSCとは異なり、フレキシブル基板には水や酸素の侵入する穴が空きやすく、ペロブスカイトの劣化原因となる。 PSCにとって電子輸送層は効率に影響を与える重要な要素であり、酸化スズ(SnO2)は有望な電子輸送材料とされている。SnO2の成膜にはさまざまな方法が開発され
CREDIT: ADAPTED FROM ACS ENERGY LETTERS 2024, DOI: 10/1021.ACSENERGYLETT.4C00072 中国中南大学の研究チームが、水の波エネルギーを電気に変換する環境発電装置の電極配置を最適化し、発電効率を増大させる方法を見いだした。同研究は波力や海流発電など、海の力である「ブルーエネルギー」を利用する環境発電の基礎になるという。 同研究成果は2024年4月3日、「ACS Energy Letters」誌に掲載された。 波を利用した管状の環境発電装置は「摩擦電気ナノ発電機(TENG)」と呼ばれている。管の中に銅電極を配置した装置で、管と水の界面接触による帯電電荷を電極から取り出して発電する。低周波で高エントロピーの電力源による発電が可能なため、波力や海流発電などのブルーエネルギー発電技術として注目されている。 研究チームは、TEN
フランスのスタートアップ企業であるSpare Parts 3Dが2024年3月19日、部品の2D図面から3Dモデルを自動作成するAIソフトウェア「Théia」を発表した。 通常、3Dプリンティングに必要な3Dモデルを2Dの図面から変換するには時間とコストがかかるが、Théiaは、変換過程を自動化して変換期間を数日から数分に短縮することができる。同社の3Dプリンティングソフトウェア「DigiPART」と組み合わせることで、部品をタイムリーに大量生産できるため、世界中の実物在庫を持つ必要がなくなり、年間340億ドル(約5兆2468億4600万円)のコスト削減が可能だという。 開発にあたり同社と提携したパリ・サクレー大学のNabil Anwer教授は、「Théiaは、AIと既存のコンピュータービジョン技術、図面の意味解析を組み合わせて開発されました」と説明した。同技術により、Théiaは図面上に
豪アデレード大学は2024年3月14日、次世代のリチウム硫黄電池は、5分未満でフル充電できる可能性があるとする研究を発表した。この研究は、同大学を中心とした研究チームによるもので、2024年2月16日付で『Nature Nanotechnology』に掲載された。 リチウム硫黄電池はエネルギー密度が高く、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車などさまざまな機器で使用されているが、充放電速度が遅いという問題を抱えており、一般的に1回のフル充放電サイクルでおおむね1~10時間を要する。今回の研究は、この問題に取り組む初の包括的アプローチであり、電極触媒材料を設計する科学者やリチウム硫黄電池の反応メカニズムを研究する専門家に大きな影響を与えるものだという。 研究チームは、リチウム硫黄電池の充放電速度を制御する極めて重要なプロセスである硫黄還元反応に注目し、硫黄還元反応が進行している間の鉄、コバルト
アメリカのドレクセル大学の研究チームが、コンクリートに相変化材料「PCM(phase change material)」を導入することによって、温度が氷点下に近づくとコンクリート自体を自発的に暖めて、表面上の雪や氷を溶かすことのできるコンクリートスラブを製作することに成功した。PCMとして凝固温度約5.6℃の液体パラフィンをコンクリートに混合し、液体から固体になる際に発生する凝固熱を利用する。大学キャンパスに設置した実環境試験によって、気温が氷点下になってもコンクリートの表面温度を5.5~12.8℃に最大10時間維持できることを確認した。冬季に寒冷な気候に曝され、除雪や融雪塩散布が欠かせない北西部の歩道やハイウェーに活用できると期待している。研究成果が、2024年3月18日にアメリカ土木学会の『Journal of Materials in Civil Engineering』誌に公開され
英サリー大学とケンブリッジ大学、中国科学院などの共同研究チームが、太陽光を両面から取り込んで発電できる、両面太陽電池パネルを開発した。両面パネルは、コストをかけずに既存片面パネルより効率良く発電可能だ。 同研究成果は2024年3月12日、「Nature Communications」誌に掲載された。 コンクリートや草地などの表面からの反射光が、太陽光の20%以上を占めると従来の研究で報告されている。両面パネルは、周囲の反射光を含んだあらゆる方向からの太陽光エネルギーを取り込んで発電できる。 今回開発された太陽電池パネルはフレキシブルなペロブスカイトでできている。これまでの太陽電池パネルは、前面に透明電極、背面に金属電極を張り合わせた構造を持ち、前面からしか光を取り込めなかった。 研究チームは、ペロブスカイト型太陽電池の基本構造である、電子輸送層/ペロブスカイト層/ホール輸送層の両面に、単層
プリンストン大学は2024年2月21日、超高温プラズマが突然安定生を失って核融合炉の磁場から逃げ出す問題を、人工知能(AI)を活用してリアルタイムで予測/回避することに成功したと発表した。 核融合反応を引き起こすには1億℃を超える超高温のプラズマを使用し、強力な磁場を使ってドーナツ型の核融合炉内に閉じ込めておく。しかし、超高温プラズマは瞬く間に安定性を失い、磁場から逃げ出すことがある。するとプラズマの磁力線が裂けてバランスが崩れ、核融合反応が終わってしまう。この現象は、核融合炉を開発する上で大きな課題となっていた。 同大学を拠点とする研究チームは、カリフォルニア州サンディエゴにあるDIII-D国立核融合施設での実験で、過去の実験データだけで訓練したモデルによって、ティアリングモード不安定性と呼ばれる潜在的なプラズマ不安定性を、300ミリ秒先まで予測できることを実証した。ごく短い時間だが、A
学術出版社の英Taylor & Francisは2024年2月12日、「広範な調査から、AIを安全に制御できるという証拠は今のところない」とする、AIの安全性に関する専門家の著書を紹介した。 米ルイビル大学准教授のRoman V. Yampolskiy博士が記した『AI: Unexplainable, Unpredictable, Uncontrollable』によると、AIの制御は人類が直面する最も重要な問題の1つであるにも関わらず、理解も定義も研究も不十分なままだという。そして、AIが社会を劇的に作り変える可能性があるが、必ずしも私たちの利益になるとは限らない、という事態について考察している。 Yampolskiy氏がAIの科学文献を広範に調査したところ、AIを安全に制御できるという証拠は何も見つからなかった。AIを作り出す人間の能力は、AIを制御/検証する能力をはるかに凌駕していると
米テキサス大学オースティン校は2月29日、同大学を中心とする研究チームが、安価で豊富にある材料を使用して、火災の危険性を大幅に減らした新しいナトリウム電池を開発したと発表した。スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車(EV)などに電力を供給するリチウムイオン電池の代替品として期待できる。この研究の詳細は、2024年2月19日付で『Nature Energy』に掲載された。 電池による火災はまれだが、電池の使用量が増えていることから発生件数は増加傾向にある。電池の電解液に含まれる複数の液体溶媒は、時間の経過とともに他の部品と反応して電池を劣化させ、危険につながる。また、リチウムの代替物質として使われるナトリウムは反応性が高く、この種の電池に採用するには大きな課題がある。デンドライト(樹枝状に成長する結晶)が析出成長することで、電池のショートや、場合によっては発火や爆発を引き起こす可能性があ
日本ゼオンは2024年3月14日、透明でありながら裏表で異なる図柄が見えたり、図柄が浮き上がったり消えたりする特殊な視覚効果を持つ新素材を開発したと発表した。中南米に生息するプラチナコガネの生体構造から着想を得た素材で、新しいデザイン素材や偽造防止への応用が期待できる。 新素材は広帯域化コレステリック液晶で、光の反射を利用して、さまざまな視覚効果を実現できる。同社が独自に設計した液晶材料や特殊な塗工プロセスによって、コレステリック構造のらせんピッチをナノオーダーレベルで制御し、フィルムに成形。このフィルムや、これを粉砕しフレーク化して印刷したものを使って、特徴的な視覚効果を持つ3つのシートを開発した。 1つ目は表裏反転タイプで、透明なシートでありながら、表面と裏面で別の図柄が見える。2つ目は潜像タイプで、スマートフォン画面の光を当てたり偏光機能を持つビューワーで見たりすると、図柄が浮かび上
モバイルソリューション企業の米Orbicは、2024年2月26日、AIによる物体検知や衝突回避のための技術、5G通信機能を搭載した電動バイク「5G e-Bike」を発表した。また、発表と同日に、実車をMWC(Mobile World Congress)Barcelona 2024で公開した。 5G e-Bikeは、複数の役割をもつカメラを装備する。走行シーンをライブストリーミングする6400万画素の前方カメラ、ビデオ通話用の800万画素のカメラのほか、物体検知や衝突回避といった安全対策用の200万画素のカメラが対向車などを検出し、音声と視覚でライダーに警告する。 また、7インチのタッチスクリーンディスプレイを持ち、バッテリーの状態、速度、距離、地図、走行軌跡などを表示する。同バイクはWi-Fiアクセスポイントの機能もあり、ピクニックやトレイル、バーベキューなど、どこでもネット接続を利用でき
オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の研究チームは2024年2月26日、3Dプリンティングを使い、一般的なチタン合金を素材として、これまでになく強固な性質を有する、人工材料「メタマテリアル」を作製することに成功したと発表した。管状中空支柱を格子状に組んだ構造に、薄板を格子状に組んだ構造を統合した二重格子構造体を考案したもので、極めて高い重量比強度を達成した。3Dプリンティング技術は「レーザー粉末床溶融結合法」を採用し、数mmから数mサイズまでスケールアップが可能だ。チタン合金の有する優れた比強度および生体適合性、耐食性、耐熱性を活かして、骨インプラントなどの医療デバイスから航空機やロボットの部材まで多くの用途に適用できると期待している。研究成果が、2023年12月31日に『Advanced Materials』誌に公開されている。 3Dプリンティングなど積層造形技術の発展
マクニカは2024年3月5日、次世代技術「ペロブスカイト太陽電池」と「半固体電池」を実装した新型の空気質センサーを発表した。2023年6月より実施してきた屋内でのペロブスカイト太陽電池の有効性実証事業から得た知見を活かし、開発した。 ペロブスカイト太陽電池(Perovskite Solar Cells:PSCs)は、薄く、軽く、曲がり、材料によって半透明にできる次世代太陽電池の技術として注目されている。少ない光量でも発電でき、身の回りの小型電子機器や、これまで太陽光パネルを設置できなかった場所などで独立電源を得られ、大面積塗布技術で大幅なコスト削減が期待されている。 開発した空気質センサーは、大面積で、従来製品よりさらに発電効率を高めたペロブスカイト太陽電池を実装し、発電量を増加させた。また、IoTセンサーに必要な長寿命と安全性確立のため、センサー内に、微弱な電力での細かな充放電ができるこ
ニューヨーク大学は2024年2月1日、幼児の頭に取り付けたカメラで収集したデータを使って、マルチモーダルAIを訓練するという研究を発表した。この研究の成果は、2024年2月2日付で『Science』に掲載された。また、その内容について、研究者がニューヨーク大学の公式YouTubeチャンネルで解説している。 OpenAIのGPT-4のような最先端のAIシステムは、人間のように言葉を使いこなすことで話題になっている。これが可能なのは、インターネットから集められた天文学的な量のデータを学習しているためだ。その量は、1人の人間が一生のうちに受け取るものの100万倍にもなるという。 一方、人間の幼児は、自分の環境にあるものを吸収するだけで、より少ないインプットで言語を学習する。控えめに言っても、子供たちが自然な環境の中だけで耳にする単語の量が、AIが受け取るデータ量に達するには10万年もの経験が必要
ペンシルベニア大学は2024年2月16日、電気の代わりに光波を利用して、AIの学習に必要な数学計算を行う新しいコンピューターチップ「シリコンフォトニック(SiPh)チップ」を開発したと発表した。コンピューターの処理速度の向上と同時に、エネルギー消費量の削減が見込まれる。 今回の研究では、ベクトル行列乗算を実行できるチップの設計を目指した。この数学的演算は、現在のAIツールの原動力となっているニューラルネットワークの開発と機能の中核をなす。 開発されたSiPhチップは、光波と物質との相互作用を利用するものだ。チップの設計では、ナノスケールで材料を操作し、最速の通信手段である光を使って数学的計算を行うという先駆的な研究と、大量生産のチップに使用される安くて豊富な元素であるシリコンを用いるSiPhプラットフォームとを、初めて組み合わせた。 このチップの特徴は、均質な厚さのシリコンウェハーを使うの
ノルウェー科学技術大学が2024年1月26日、手書きとキーボードタイピングとの学習効果の違いを、脳波検査により比較した研究結果を発表した。昨今のデジタルデバイスの普及により、手書きの機会は大幅に減少しており、ペンを執った時、漢字やスペルが出てこないという経験に身に覚えがある人も多いのではないだろうか。研究結果によると、手書きの方が記憶の形成や情報のエンコード、つまりスペルを正確に覚えることに役立ち、学習効果が高いという。 今回の研究では36人の大学生に256個のセンサーを搭載した脳波測定用ネットを頭に装着してもらい、表示された文字をデジタルペンで画面に手書きする時とタイピングした時の脳波を比較した。手書きした場合はさまざまな脳の領域で接続性が増加したが、タイピングした場合は増加が見られなかった。ペンを使用する際の正確に制御された手の動きによって得られる視覚情報と運動情報が、脳の接続性を促進
通常のスプリンクラーでは装置の中から外へ水が流れ出るが、逆に装置の外から中へと水が流れ込むスプリンクラーはどのように機能するのかという、いわゆる「ファインマン・スプリンクラー」(あるいは「リバース(逆)スプリンクラー」とも呼ばれる)問題に対する答えが、実験によって判明した。この研究は米ニューヨーク大学を中心とした研究チームによるもので、2024年1月26日付で『Physical Review Letters』に掲載された。 ファインマン・スプリンクラー問題とは、典型的には、水のような流体がS字型の管(アーム)から排出されるときに回転するタイプのスプリンクラーについての思考実験として定義されるものだ。この問題は、流体がS字型のアームを通して吸い込まれた場合に何が起こるのかを問う。 研究チームは、実験室での精密な実験と、リバーススプリンクラーがどのように作動するかを説明する数理モデリングを組み
米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームであるKIMLAB(Kinetic Intelligent Machine LAB)は、2024年2月7日、2本の脚でバランスをとる一輪車ロボット「Ringbot」の動画を、YouTubeで公開した。 Ringbotは、スポークがない車輪と、リムに相当する内周に沿って自由に移動する2つの駆動モジュールで構成される。駆動モジュールはそれぞれに、一輪走行に必要なバランス、操舵、脚部の動作を行う「3自由度」の脚に相当する機構を持つ。走行時には、速度制御と操舵制御は独立して行われる。 Ringbotは、駆動モジュールが発する動力で走行する。走行中、2本の脚部分は、一輪車に乗る人が両手を広げてバランスをとるように動作し、旋回や直進を制御しているように見える。動画によれば、Ringbotの最高速度は時速5kmだ。 倒れた場合、2本の脚が地面を押して、自
スコットランドのGravitricityは、ヨーロッパで最も深い亜鉛と銅の鉱山である、フィンランド中央部ピハサルミ鉱山に自社で開発した重力蓄電技術を導入する予定だ。 Gravitricityは、高出力で高効率、長寿命のエネルギー貯蔵システムの高い需要を認識し、従来電池に代わって再生可能エネルギーを蓄電する、重力を利用したシンプルな蓄電システム「GraviStore」を開発した。 GraviStoreは、既存の坑道を利用して深い立て坑でウインチに取り付けたケーブルで重りを吊り下げる。再生可能エネルギーの過剰電力で重りを持ち上げ、必要なときに重りを下して発電する仕組みだ。素早く下すと大量の電力を素早く発電し、ゆっくりと下すと小さな電力を長期に放出する。 同システムは、50年以上の長寿命かつ1秒未満の高速応答、80%の高い往復効率という性能を有し、可燃性化学物質を使用しない安全なエネルギー貯蔵シ
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者たちは、液体金属を使った高速プリントを可能にする積層造形技術を開発し、テーブルの脚や椅子のフレームのような大型部品を数分で製造できることを実証した。 液体金属造形(LMP:Liquid Metal Printing)と呼ばれるこの技術は、微小なガラスビーズを敷き詰めた床に、あらかじめ決められた経路に沿って溶融アルミニウムを滴下させるものだ。アルミニウムは短時間で凝固し3D構造を形成する。研究者らによると、LMPは同等の金属3Dプリントプロセスよりも少なくとも10倍速く、金属を加熱して溶かす手法は他の手順よりも効率的だという。 LMP方式は、造形速度と造形サイズを優先し、解像度を犠牲にしている。LMPは他の低速な積層造形技術で製造される部品よりも大型の部品を低コストで造形できるが、高い解像度は望めない。そのため、LMPで製造される部品は、建築、建設、
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