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あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 ティム・クレイン 著 土屋賢二・金杉武司 監訳 『心は機械で作れるか [原著第3版]』 →〈「第一章 「機械としての心」という見方を導入する」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「第一章」本文はサンプル画像の下に続いています。 第一章 「機械としての心」という見方を導入する 1 機械的世界像 本書は、心的表象に関する哲学的な問題についてのものである。心はどのようにしてものを表象することができるのだろうか。思考、経験、欲求、意図、その他すべての心的状態は、どのようにして他のものを表象することができるのだろうか。たとえば、
本書は、そのものズバリのタイトルが示すとおり、ここ数年、著作権業界を大いに賑わせている「AIと著作権」について網羅的に分析した書籍である。 もっとも、「書籍」といっても、本書はいわゆる法律実務書ではなく、現在の学会を代表する研究者たちによる最新論文が収録された珠玉の論文集である。 本書には、上野達弘教授による「『AIと著作権』の過去・現在・未来」と題する序論(PartⅠ)に続き、PartⅡとして、「日本法における権利制限-著作権法30条の4を中心に」(愛知靖之)、「諸外国における情報解析規定と日本法」(上野達弘)、「アメリカにおけるフェア・ユース該当性」(奥邨弘司)というAIによる学習段階における侵害の成否に関する論文が、続くPartⅢには、AIによる生成段階における侵害の成否に関する論文として、「類似・依拠」(奥邨弘司)、「行為主体と準拠法」(横山久芳)が、PartⅣには、AI生成物の著
あらま、顔がヴァイオリンに…… この春ヴェルサイユ宮殿で、19世紀に活躍したフランス人画家オラース・ヴェルネの展覧会が開催されていた。ヴェルネは、オリエンタリズムや歴史画を手がけたアカデミズムの画家として語られることの多い画家だ。しかしこの展覧会は、意外にもロマン主義と古典主義をつなぐような革新的潜在性を秘めた画家であったことを示す点で、実に発見の多い企画だった。なかでも興味深かったのが、最後の部屋にひっそりと展示されていた風刺的自画像(図1)である。ここでヴェルネは、60歳を迎えた自己の頭部を、ヴァイオリンに見立てている。 図1 オラース・ヴェルネ《ヴェルネ自身によるオラース・ヴェルネ》1850年ごろ、フランス国立図書館 出典:Valérie Bajou (dir.), Horace Vernet (1789-1863), cat. exp., Château de Versailles
筆者はいわゆるロースクールに所属している。法曹養成を任務とするロースクールでは、ソクラティック・メソッドと呼ばれる問答を通じた教育が推奨されている。アメリカのロースクールでは、そうした教育方法がとられているらしいので*1、それを輸入しようということのようである。 ロースクールで行われるはずのソクラティック・メソッドが、ソクラテスが行ったと伝えられる問答法(dialectic)とどのような関係にあるかは、判然としないところがある。ロースクールの教員のすべて(あるいは大部分)が、ソクラテスの問答を描いたプラトンの著作の熱心な読者かと問われると、はなはだ心許ない。 とはいえ、ソクラティック・メソッドを標榜する以上、ソクラテスの問答法との関係について、全く無関心というわけにはいかないであろう。プラトンの描くソクラテスは、たしかに問答を通じて「徳とは何か」「知とは何か」等の深遠な問題を探究しているよ
気候変動は年々深刻化し、昨年にはついに「地球沸騰化」という言葉まで登場しました。人新世、SDGs、生物多様性の価値といった言葉を耳にすることも多くなるなか、環境問題に対する倫理的な考察を行う「環境倫理学」に注目が集まっています。 現在、環境問題についての個別の処方箋がたくさん提案されていますが、それらをどう評価したらよいか迷うことも多いことでしょう。環境倫理学を学ぶことで、論点が整理でき、環境問題に対して社会がどう対応すべきなのかを、具体的に考えることができるようになると思います。 ここでは、環境倫理学を学ぶにあたって参考になる勁草書房の本を10冊紹介します。これらはいずれも環境倫理学ならではの論点を扱っていますので、環境問題に関する他の研究書とは異なる視点を得ることができます。まとめて読むことで、それぞれの本の理解も深まることでしょう。皆さんの本選びの参考になれば幸いです。[選書&紹介文
芸術と嘘 芸術とは嘘をつく技術である、という言説は、たびたび認められる。それは芸術を真実から遠ざけるための批判ともなり得るものではあるが、むしろそこにこそ芸術の真髄を見る見解が、近代フランスに登場する。17世紀の色彩派の画家ロジェ・ド・ピールは、ルーベンスの作品に認められる誇張された色や光の表現が「化粧」(白粉や虚飾を意味するフランス語「fard」)に他ならないと認めながらも、この「化粧」による理想化を施し、鑑賞者を欺くことこそ、絵画の本質であるとした*1。ジャックリーヌ・リシテンシュテインが1987年の論文「表象をメイク・アップする――女性性のリスク」で指摘しているように、絵画や言語の表現を化粧術に喩えるこうした言説は、伝統的には女性嫌悪に根ざすものであった一方で、17世紀以降のフランスで化粧術としての芸術を肯定的に捉える傾向が登場したことは、宮廷文化における化粧の評価や、文学における女
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 ダニエル・J・ソロブ、ウッドロウ・ハーツォグ 著 小向太郎 監訳 『データセキュリティ法の迷走 情報漏洩はなぜなくならないのか?』 →〈「第1章 序論――予告された侵害の記録」「解説」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「第1章」「解説」本文はサンプル画像の下に続いています。 第1章 序論――予告された侵害の記録 探しているものが目の前にあるのに、それに気づかないことがある。ガブリエル・ガルシア=マルケス(Gabriel Garcia Marquez)に『予告された殺人の記録』(Chronicle of a Death
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 小松佳代子 編著 『アートベース・リサーチの可能性 制作・研究・教育をつなぐ』 →〈「はしがき」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「はしがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 はしがき 本書は、二〇一八年に出版した『美術教育の可能性─作品制作と芸術的省察』(小松編著 2018)の姉妹編である。この五年のあいだに、アートベース・リサーチ(Arts-Based Research:以下ABRと略記する)をめぐる状況は大きく展開してきた。詳しくは第一章で述べるが、七〇〇頁を超えるハンドブックが出版されたことにそれは端的
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 清塚邦彦 著 『絵画の哲学 絵とは何か、絵を見る経験とは何なのか』 →〈「序論 予備的な考察」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「序論」本文はサンプル画像の下に続いています。 序論 予備的な考察 絵とは何かという問いについては、改めて探究するまでもなく、ある意味ではすでに誰もが答えを知っている。すなわち、物体の平らな表面に彩色や線描を施すことで、様々な事物の姿を見えるようにしてくれたもの、それが絵であると。とはいえ、この答えは、問いの終着点であるよりも、むしろ新たな出発点なのである。 私たちは絵のもとに様々な事物の姿
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 伊達聖伸・木村護郎クリストフ 編著 『世俗の新展開と「人間」の変貌』(シリーズ・西洋における宗教と世俗の変容3) →〈「[総論]西洋における宗教と世俗の変容─世俗の新展開と「人間」の変貌」第一節(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *『カトリック的伝統の再構成』(シリーズ・西洋における宗教と世俗の変容1)のたちよみは《こちら》。 *サンプル画像はクリックで拡大します。本文はサンプル画像の下に続いています。 一、「ポスト世俗」時代における「無宗教」関連概念の分節化 宗教復興か世俗化の加速か─「ポスト世俗」という世俗の新局面 近代化が進めば進むほど宗教は衰退する
握った手を解く 2歳の娘がある晩、寝る前にこの本を読んでくれと、枕元に持ってきた本は、『アンカット・ファンク 人種とフェミニズムをめぐる対話』だった。文字をまだ読めぬ彼女は、黄色と白と灰色のファンキーな装丁に惹かれたのだろう。俗に言う「ジャケ買い」である。もちろん「人種」も「フェミニズム」も彼女にとっては触れたことがない言葉だ。読んでくれと頼まれたからには、と、長らく「積読」になっていたこの本の序文から音読を始めた。娘は案の定ポール・ギルロイの序文の途中まで読んだところで寝てしまい、その後は黙読に転じた。ギルロイの序文の後に続いていたのは、アフリカ系アメリカ人の思想家でありフェミニストでもあるベル・フックスと、ジャマイカ生まれのイギリスの文化理論家であり、カルチュラル・スタディーズを牽引したスチュアート・ホールの対談であった。 図1 ベル・フックス/スチュアート・ホール『アンカット・ファン
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 宇野重規・加藤 晋 編著 『政治哲学者は何を考えているのか? メソドロジーをめぐる対話』 →〈「はじめに」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「はじめに」本文はサンプル画像の下に続いています。 はじめに 本書のタイトルは『政治哲学者は何を考えているのか?』である。これは私としては、かなり正直につけたものである。いわゆる政治哲学者と呼ばれる人の思考法について、自分自身よく理解しているのかというと、実はそうでもない。わかっているつもりになっているだけかもしれない。ならば、一度、きちんと本物の政治哲学者たちから話を聞いた方が
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 鈴木貴之 著 『人工知能の哲学入門』 →〈「はじめに」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「はじめに」本文はサンプル画像の下に続いています。 はじめに 人工知能:1958 年、1972 年、そして現在 初期の人工知能研究における中心的人物であったハーバート・サイモンとアラン・ニューウェルは、1958 年に、10 年以内に以下のようなことが実現するだろうという予測を立てた(Simon and Newell, 1958, pp. 7-8)。 ・デジタルコンピュータがチェスの世界王者になる。 ・デジタルコンピュータが数学の重
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 高橋靖幸 著 『児童虐待の歴史社会学 戦前期「児童虐待防止法」成立過程にみる子ども観の変遷』 →〈「序章 近代日本における児童虐待問題への視座」第1節(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「序章」本文はサンプル画像の下に続いています。 序章 近代日本における児童虐待問題への視座 第1節 問題の所在 1.戦前期の児童虐待問題 本研究は、戦前期における児童虐待問題を対象に、社会問題の構築という視角から子どもの近代の歴史を明らかにする、子どもの社会史研究である。 日本の児童福祉(子ども家庭福祉)の成立を戦前の歴史との連続性にお
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 池田 喬 著 『ハイデガーと現代現象学 トピックで読む『存在と時間』』 →〈「はしがき」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「はしがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 はしがき 現代ドイツ哲学の代表的哲学者と言われるM・ハイデガー(1889─1976)の主著『存在と時間』(一九二七年)が刊行されてから、もうすぐ百年が経つ。刊行されるや否や、瞬く間に話題になったと言われ、二〇世紀最大の哲学書と繰り返し言われてきたこの書物も、すでに一世紀分の歴史を有するに至った。一般に、ある出来事の歴史は、その出来事が起こった時点
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 ポール・ゴールドスタイン 著 大島義則・酒井麻千子・比良友佳理・山根崇邦 訳 『著作権はどこへいく? 活版印刷からクラウドへ』 →〈「日本語版への序文」「訳者あとがき」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「日本語版序文」「訳者あとがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 日本語版への序文 学術書の書き手にとって、自分の作品が他の言語に翻訳され、新たな読者の目に触れることほど名誉なことはない。これは、本書のように、そのテーマが文学的・芸術的表現制作と世界的流通を取り巻く法的環境の理解に捧げられたものである場合には、尚
フィリッパ・フットは、アメリカ合衆国のグラヴァー・クリーヴランド大統領の孫にあたる。オクスフォードのサマヴィル・コレッジを卒業した彼女は、同コレッジで長く哲学を教え、カリフォルニア大学をはじめとするアメリカの諸大学でも教鞭をとった。 彼女が1958年に公表した論文に、「道徳的議論」がある*1。論文の冒頭で、彼女はリチャード・ヘアの指令主義(prescriptivism)を取り上げている。 アルフレッド(フレディ)・エアが論理実証主義の強い影響下に1936年刊行した『言語・真理・論理』は、意味のある言明は、数学や論理学などのトートロジーか、または経験に即して実証可能な言明──その典型は自然科学──に限られ、形而上学の命題や道徳的言明には意味がない(nonsense)と主張した*2。善悪や正義・不正義に関する言明は、各人の主観的選好の表明にすぎず、「フレー、フレー」と喝采したり「コンチクショウ
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 伊達聖伸・渡辺 優 編著 『カトリック的伝統の再構成』(シリーズ・西洋における宗教と世俗の変容1) →〈「[総論]西洋における宗教と世俗の変容」(冒頭)(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。本文はサンプル画像の下に続いています。 一、カサノヴァ『近代世界の公共宗教』の議論を踏まえつつ超え出ていくために いま、なぜ、カトリシズムを研究するのか――近代知の「他者」と向きあう 「カトリシズムは最大の宗教であり、かつもっとも研究が遅れた宗教の一つである〔…〕。カトリシズムの社会学は、今なお未開発である」(カサノヴァ 二〇二一:五
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 鈴木一人・西脇 修 編著 『経済安全保障と技術優位』 →〈「『経済安全保障と技術優位』によせて」「はしがき」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「はしがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 『経済安全保障と技術優位』によせて 政策研究大学院大学名誉教授 白石 隆 本書『経済安全保障と技術優位』は,2020─22 年,政策研究大学院大学(GRIPS)政策研究院にて,白石隆(政策研究大学院大学名誉教授)と西脇修(政策研究大学院大学政策研究院参与・特任教授)を世話人として実施した「安全保障と科学技術に関する研究会」の研
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 平山 亮・佐藤文香・兼子 歩 編 『男性学基本論文集』 →〈「巻頭言 男性性役割の社会化から、男性性による不平等の正当化へ」「Ⅰ 男性、男性性、そして援助要請の文脈」(抜粋)(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「巻頭言」本文はサンプル画像の下に続いています。 巻頭言 男性性役割の社会化から、男性性による不平等の正当化へ 平山 亮 男性性(masculinity)とは何か。本書のタイトルに含まれる「男性学」にとっても、そして、男性性が研究対象であることが明らかな「男性性研究」にとっても、この概念は、それなくしては何もはじ
構成的筆触と浅浮き彫りの空間 制作中の画家の身体の動きを知る手がかりとなるのが筆触タッチである。具体的な作品として、ここではオルセー美術館にあるセザンヌの《サント・ヴィクトワール山》(図1)を見てみよう。 図1 ポール・セザンヌ《サント・ヴィクトワール山》1890年ごろ、オルセー美術館 セザンヌの後期の作品には、少し長めの筆触タッチを同じ方向に斜めに置き、それらの筆触が集まった部分に面的な印象を生じさせるような特徴が認められる。セザンヌ研究において「構成的筆触」と呼ばれるものである*1。このタッチは、わずかに傾きを持っているかのような印象もまた与えるので、絵画平面上に、切子のような浅い奥行きの虚構空間を生み出す。ただし構成的筆触が形成する各々の色面の輪郭は、多くの場合、はっきりとした輪郭線で規定されているわけではないので、切子といっても、江戸切子のガラスの表面のように図案化された幾何学の規
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 飯田 隆 著 『増補改訂版 言語哲学大全Ⅲ 意味と様相(下)』 →〈「増補改訂版へのまえがき」「後記 二〇二四年(抜粋)」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 ※第Ⅰ巻のたちよみはこちら⇒『増補改訂版 言語哲学大全Ⅰ 論理と言語』 ※第Ⅱ巻のたちよみはこちら⇒『増補改訂版 言語哲学大全Ⅱ 意味と様相(上)』 *サンプル画像はクリックで拡大します。「まえがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 増補改訂版へのまえがき これまでの巻の場合と同じく、初版のテキストへの変更は最小限にとどめた。つまり、句読点とカッコ類の使い方を最近の私の使い方に改めたことと、初版
このたびの能登半島地震で被災された皆様および関係する方々へ心よりお見舞い申し上げます。 現在、被災地で書籍へのアクセスが難しい方々の生活再建のお役に立てればと、著作権者の第一東京弁護士会のご了解をえて、『災害法律相談Q&A』(2023年3月刊行)を期間限定で「PDF公開」いたします[2024年2月29日まで]。ご活用いただければ幸いです。[編集部] ※2024年2月末日をもって公開終了しました。 目次[pdf] 【以下、公開終了しました】 第1章 損害賠償、契約等 第2章 不動産(借地借家含む) 第3章 身分法(総則の失踪宣告等を含む) 第4章 ローン・預金・自己破産 第5章 商事・倒産 第6章 労働 第7章 保険 第8章 行政 第9章 税金・社会保険 第10章 外国人 第一東京弁護士会災害対策委員会 編 『災害法律相談Q&A』 2023年3月刊行、ISBN:978-4-326-40420
盲目の彫刻家 諸芸術を比較する「パラゴーネ」と呼ばれる議論が、美術史には存在する。なかでも、彫刻と絵画の優劣を競うパラゴーネは、触覚と視覚、形態と色彩、物質性と虚構性とのあいだの対立軸をめぐり繰り広げられてきた。そのなかで彫刻に軍配をあげるのにたびたび重要な役割を割り当てられるのが、盲人である。彫刻は目が見えない人にも実際のかたちを正確に伝える芸術であり、平面のなかに別の世界が存在するかのように見せる虚構としての絵画よりも優れている、とするロジックだ。 ルーヴル美術館にはこのロジックに沿って描かれたデッサンが残されている(図1)。杖を持つ男は盲人であり、女性の頭部像に手を触れその美しい姿を確かめている。彫像の台座には一枚の絵が立てかけてあるが、彼はそれに見向きもしない。なぜなら見ることができないからだ。画中画には着衣の男性が二人の浴女と対峙しており、盲人と彫刻の出会いを反復するような場面と
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 金光秀和 著 『技術の倫理への問い 実践から理論的基盤へ』 →〈「序章 技術の倫理という問い」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「序章」本文はサンプル画像の下に続いています。 序章 技術の倫理という問い 1 なぜ技術を問うのか 古来より連綿と続く哲学の営みが、何かしら人間の行いや社会のあり方を考察の対象とするものであるならば、現代を生きるわれわれにとって、「技術」は当然のごとく、問いの対象となるべきものである。というのは、「技術」は人間の誕生以来、その生活の便利さや豊かさの向上に密接に関連し、現代に至るまで常に人間の
今回はややこしい話なので、短めに済ませることにする。刑法230条には、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する」とある。表現の自由との関連で、憲法学でもおなじみの条文である。『広辞苑』によると、「摘示」とは、「かいつまんで示すこと」である。隅から隅まで逐一にというわけではなく、要点を示すということであろう。 続く刑法230条の2は、たとえ公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合であっても、一定の条件の下では、「事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」とする。そうしたときは、人の名誉を毀損する表現であったとしても違法ではなく、不法行為責任や刑事責任を問われることはない*1。 ところで、事実が真実であるとか真実ではないとは、何を意味しているのであろうか。事実であるのに真実ではないこ
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 ピッパ・ノリス 著/山﨑聖子 訳 『懐疑主義の勧め 信頼せよ、されど検証せよ』 →〈「訳者あとがき」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「訳者あとがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 訳者あとがき 本書はIn Praise of Skepticism: Trust but Verify (Oxford University Press, 2022)の全訳である。 比較政治を専門とする著者のピッパ・ノリスは、多数の単著・共著を刊行しており、当代一の政治学者とも称され、日本の政治学者の間でも高名が轟いているが、驚く
大学の夏休み期間を利用したフランスでの在外研究から帰国した後、職場のポストを見ると、同僚の加治屋健司さんから献本いただいた『絵画の解放――カラーフィールド絵画と20世紀アメリカ文化』が投函されていた。この本については別の媒体で書評を記す予定である。 モーリス・ルイスやジュールズ・オリツキーのカラーフィールド絵画は、論じることが不可能であるほどに好きな芸術の一部だ。何も考えずにただじっと作品の前に座して見つめていたいと思う。隣にいる人と「やはりいいね、気持ちがいい」などと呟き合うのもよい。だが作品を目の前にして、「この絵画の良さを教えてほしい」と尋ねられても、「色が空や海のようできれい」であるとかいった印象的なレベルにとどまること以外に、私には決してうまく語ることはできないだろう。 DIC川村記念美術館には、幅5メートルを超えるオリツキーの作品《高み》のみが展示された贅沢な空間がある。歴史的
あとがき、はしがき、はじめに、おわりに、解説などのページをご紹介します。気軽にページをめくる感覚で、ぜひ本の雰囲気を感じてください。目次などの概要は「書誌情報」からもご覧いただけます。 西川 開 著 『知識コモンズとは何か パブリックドメインからコミュニティ・ガバナンスへ』 →〈「はしがき」(pdfファイルへのリンク)〉 →〈目次・書誌情報・オンライン書店へのリンクはこちら〉 *サンプル画像はクリックで拡大します。「はしがき」本文はサンプル画像の下に続いています。 はしがき 情報社会の発達によって人間や機械の生み出す知識や情報,データの量は飛躍的に増大しつつあり,これらを作成・管理・活用するための技術や制度も日々変遷を続けている。こうした状況のもと,社会や組織のなかで知識や情報,データをどのようにガバナンスするかという問題が重要となっている。本書であつかう知識コモンズ(knowledge
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