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レイングッズ
note.com/sbsnbun
はじめに 私の目の前にコンソメの箱があった。夜8時のスーパーで私はコンソメをじっと眺めていた。398円。値札にはそう書いてあった。手に取りたくても取ることができなかった。大根と鳥の胸肉をカゴに入れてレジに行こうとするのだが行く気になれない。 家にある調味料はめんつゆのみだった。醤油の味に飽きていた。何日間も同じ味を味わっていると舌がおかしくなる。洋風の料理が食べたい。コンソメスープが飲みたい。大根と鳥の胸肉と一緒に煮たらさぞかし美味しいだろう。 でも、大根と鶏肉を合わせた値段よりも高い調味料を買うことは非常に勇気がいる。誰かに背中を押してもらわないと買えない気がする。これくらい買っても大丈夫だよ。調味料だから長持ちするよ。そう言ってもらえたら買えるのに。でも、そんな言葉をかけてくれる人もいないし、なんの躊躇もなくコンソメをレジに持っていくお金もない。 私はとても貧しくて、ひもじかった。貧し
お仕事の近況、お仕事依頼のお問い合わせ(2023年4月) プロフィール 小林エリコ:1977年生まれ。短大卒業後、エロ漫画雑誌の編集に携わるも自殺を図り退職、のちに精神障害者手帳を取得。生活保護も経験した。現在は通院を続けながら、NPO法人で事務員として働いたのち、東京大学経済学部・大学院経済学研究科にて特任専門職員として勤務。ミニコミ「精神病新聞」の発行終了後は、フリーペーパー「エリコ新聞」の刊行を続けている。 精神障害、生活保護、機能不全家族、非正規雇用、いじめ、性被害、などのさまざまな生きづらさを経験し、それらを活かした文
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