独自に思想を先鋭化した右翼のテロリストが、当時の社会党委員長の浅沼稲次郎氏を刺殺したのは1960年10月12日のことでした。 言論を暴力で封じ込めるテロは現在も昔も許されることではなく、社会は大きな衝撃を受けました。 さらに驚いたのは、犯行に及んだ少年がわずか17歳だったこと。そして、取り調べで一通り話し終えると、自ら命を絶ったことでした。 父親に届いた「虫の知らせ」 その日の深夜、男性がポータブル・ラジオのスイッチを入れたのはまったくの偶然だった。 いつもならぐっすり寝ているはずのその時間、ふと目を覚ました彼が伸びをするように腕を伸ばした先に、そのラジオがあったのだ。 ラジオは臨時ニュースを報じていた。 「……17歳の少年が……少年鑑別所で2日午後……自殺を図り……死亡しました。……臨時特報をお伝えしました」 途切れ途切れに聞こえたアナウンサーの声。 17歳? うちの息子と同じ年齢だ。ま