1人4万円(所得税3万円、住民税1万円)の定額減税が始まる。政府は賃上げとの相乗効果で景気と政権の浮揚をもくろむが、効果は限定的だとする指摘もある。制度は複雑を極め、実務を担う企業や自治体の負担は重い。円安で物価高が長引き、与党からは「来年も実施を」と期待の声も出る。 1人4万円の定額減税は岸田文雄首相が主導し、昨年11月の経済対策の目玉として盛り込まれた。 減税は国会審議を経た税制改正が必要なため、給付金と比べて国民のもとへ届くのに時間がかかる。当時、検討を指示された自民党内からも「減税では即効性に欠ける」「実感しづらい」という声が上がったが、首相は「税収増を国民に適切に還元する」と減税にこだわった。 背景に、自身にまとわりつく「増税」イメージを取り払いたい首相の思いがのぞく。 昨年6月、政府税制調査会がま…