抽象度が高い外来語は様々な定義が可能であり、その定義は人によって色々である。同じ言葉を使っていても定義が異なるならば当然、議論は噛み合わない。 思いついた外来語を順不同でいくつか挙げてみよう。コンセプト、パラダイム、フレームワーク、ビジョン、ストラテジー、ミッション、マネジメント、テクノロジー、イノベーション、いくらでも書けそうだ。 こうした中で最も曖昧な言葉は「ソフトウエア」ではないか。コンピューターの上で動かすプログラム(コードとも言う)を指す言葉だが、それ以外の物事にもこの言葉は使われている。 「ハードウエアとソフトウエアの関係は相対的である。(中略)したがってソフトウエアに言及する際には定義を明示したほうがよい」。 これは3月9日に公開した拙文『1969年、丸ノ内に「ソフトウエアの工業地帯」があった』の一節である。 「関係は相対的」の例をいくつか挙げてみよう。ハードウエアをコンピュ