明治から昭和にかけて人気を博した日本画家・伊藤晴雨(1882~1961年)の肉筆画10点が、東京都文京区立根津小学校(四家(しけ)薫校長)に保管されていることが分かった。地域史を研究する早川義郎さん(86)、由紀子さん(79)夫妻が存在を指摘し、学校側が倉庫を調べて見つけた。多くは区にゆかりのある祭りや名所、物語の場面などが描かれている。実物を確認した文京ふるさと歴史館専門員の加藤芳典さん(44)は「保存状態がよく、今はなくなった昔の文京を知る貴重な資料」と評価している。(加古陽治、写真も) いとう・せいう 東京・下町の彫金師の家に生まれる。12歳で象牙彫刻師のもとに奉公に出されたが、年季が明けると絵で身を立てることを決意。芝居小屋の看板描きから始め、新聞の挿絵画家となった。劇評や時代考証の分野でも活躍し、歌舞伎役者や落語家と交流。縛られた女性を描く「責め絵」や幽霊画を得意とし、「キャバレ