『不適切にもほどがある！』でクドカンが唯一「はっきりと批判的に」描いたもの（福田 フクスケ）

『不適切にもほどがある！』でクドカンが唯一「はっきりと批判的に」描いたもの（福田 フクスケ）

さらに、大石静との共同脚本が話題になったNetflixオリジナルドラマ『離婚しようよ』（2023年）において...概要を表示 さらに、大石静との共同脚本が話題になったNetflixオリジナルドラマ『離婚しようよ』（2023年）においても、世襲議員一家の家父長制のきつさや、地方選挙の封建的な手法を滑稽なものとして描きながらも、物語はそこにメスを入れることなく、登場人物たちが選挙戦の熱狂に魅入られたまま終わってしまった印象がある。 このように、近年のクドカン作品はどれも、血縁やイエ制度、家父長制をグロテスクなものとして描きながらも、最終的にはそれを否定しきれずに“感動”や“エモ”へと回収してしまうものが目立つ。 あらゆる価値規範が相対化され形骸化してしまった現代、宮藤にとって信ずるに足る「内なる規範」は、もはや血縁がもたらす絆と人情の中にしかない、ということなのかもしれない。 しかし、フィクションが血縁家族を過度に理想化したり、家父長制を追認したりするあやうさについては、ここで改めて指摘するまでもないだろう。「血を分