「扇島から救出された子猫は皆栄養状態が悪い。大人なのに体重が2キロもない猫もいる」。動物愛護団体代表「犬猫救済の輪」の結昭子さん(66)=川崎市川崎区=は、猫たちの体調を不安視する。JFEスチールに改善を求めているものの「十分なエサを与えるだけでなく、繁殖期を迎える春までに去勢手術が必要だ。早く手を打たなければいけないのに、対策が追い付いていない」と憤る。 扇島は、川崎市と横浜市にまたがる埋め立て地。広さは約600ヘクタールで、東京ドームが120個以上すっぽり収まる広さだ。大正時代の京浜運河の開削によって発生した土砂が自然に滞積した扇形の島を、日本鋼管(現JFE)が1970年代に埋め立てて拡張した。陸地とつながるのは1本の海底トンネルだけ。全域がJFEの所有で、一般人の立ち入りはできない。