特集1 ベンゾ系薬剤のことを知りたい(178号) ○戻る 著者:吉村健佑 (千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センターセンター長・特任教授) ▼ベンゾ系薬剤とは何か? なかなか聴きなれない言葉ですが、その説明から始めましょう。 人間の脳細胞には「ベンゾジアゼピン(BZ)受容体」というものがあり、その受容体を刺激する物質をまとめて 「ベンゾジアゼピン受容体作動薬(ここでは以下ベンゾ系薬剤とする)」と呼んでいます。 「刺激する」といっても気分が高ぶるわけではなく、ベンゾジアゼピン受容体を刺激すると、人間は全身の筋肉の力が抜けやすくなりリラックスします。 そして眠気が訪れます。 その効果の出方はちょうどアルコールを飲んで酔ったときによく似ています。 この効果を使って、日本でベンゾ系薬剤は「睡眠薬」や「抗不安薬(不安を抑える薬)」等として使われており、数は数十種類にのぼります(表1)。 ただし