私の大好きな詩集、高村幸太郎の『智恵子抄』。 持ち歩いたりお風呂で読んだりして、ダメにしてしまっては、何度も何度も買った本。 『智恵子抄』の中にある「あどけない話」という詩には、こんな一節がある。 智恵子は東京に空が無いといふ。 ほんとの空が見たいといふ。 私は驚いて空を見る。 桜若葉の間(あいだ)に在るのは、 切っても切れない むかしなじみのきれいな空だ。 なぜ千恵子は「東京に空が無い」というかというと、 智恵子は遠くを見ながら言ふ。 阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に 毎日出ている青い空が 智恵子のほんとうの空だといふ。 あどけない空の話である。 なるほど東京の空に山はない。 旅行で他の土地に行ったとき、写真で切り取った空の中に山並みがあると、いつもこの一節を思い出す。 遠くにきたんだなぁ、と強く思う。 *・*・* でも、登山を始めて知ったのです。 東京にも山が、あるのです! 5月5