※数値は書籍刊行当時のものとなります。 日銀は「糾弾」を恐れている 【大橋ひろこ(以下、大橋)】日銀は、「賃金上昇を伴う」インフレ目標達成が重要だとして継続的な賃金上昇が確認できるのを待っているのですが……。 【エミン・ユルマズ(以下、エミン)】それもあるでしょうし、たぶん日本のセントラルバンカーにはバブル崩壊の“トラウマ”が宿っているのでしょう。政策決定メンバー全員が引き締めを嫌がる傾向が見て取れます。だから、「せっかく景気が良くなってきたのに、あなたたちのせいで、何もかもが台無しになりました」と糾弾されることを、徹底的に恐れているわけです。 【大橋】その前例は2000年の速水優・日銀総裁ですね。同じ轍てつを踏まないようにしようとしています。しかし、あのときはインフレではなかったのに利上げしてしまった。いまとは状況が異なります。 YCCに否定的な金融関係者は多かった 【大橋】エミンさんは