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2024年はモノレールが歴史上、初めて登場してから200年目に当たるという。記録に残る中で世界初とされるのは、1824年、イギリス人のH・パーマーが、木材レールと馬力を用いた貨物運搬用のモノレールをロンドンの造船所に敷設したものである。 モノレールの技術が大きく発展したのは、自動車の増加による渋滞緩和という文脈においてであり、海外で研究された技術が1960年代前半、日本に次々と輸入された。 その中の1つに、アメリカの航空機製造大手、ロッキード社が考案し、川崎航空機(現・川崎重工業)などが出資する日本ロッキード・モノレール社が実用化した「ロッキード式モノレール」があった。ロッキード式は、小田急電鉄の向ヶ丘遊園へのアクセス路線および姫路市交通局の2路線に採用されたが、いずれもすでに廃止されている。 今回は、向ヶ丘遊園モノレールに着目し、導入の背景や、実際にどのような運用が行われていたのかなどに
もし、フランスのモンサンミッシェルに日本人観光客が立ち入りを禁止されたらどう思うだろうか?あるいは、ルーブル美術館がモナリザに黒い幕を張って、観光客が集まるのを阻止したらどう思うだろうか? 富士河口湖町が5月下旬に行ったことは、まさにこれである。ローソンのコンビニと富士山を組み合わせた「インスタ映え」スポットに外国人観光客が集まることにいらだった富士河口湖町長は、「オーバーツーリズム」を理由に、そのスポットを黒いネットで覆うという行為を行った。 隠すよりほかにできることがある それ以来、富士河口湖町長は外国人恐怖症と小心者という評判が広まっただけだ。外国人観光客は、ネットの穴から写真を撮ったり、近隣の他のスポットに移動して同じような状況を再現したりして、いまだにひっきりなしにやってきている。 富士河口湖町は、こんなことをして新しい客を罰しようとするよりも、新しい需要を前にして良識ある人間な
2019年度にはキー局合計で8461億円あった放送収入がコロナ禍で乱高下したのち、2022年度には7999億円に下がった。そして2023年度は7623億円へとさらに落ちてしまった。減少率はマイナス4.7%、その前がマイナス4.8%だったので同じ傾向が続いている。中でもフジテレビは前年比マイナス8.1%で最も大きく下がっている。 ゴールデンタイムのPUT(総個人視聴率)もコロナ禍で乱高下し、2022年度は32.3%と前年度から3.5%も下がったが、2023年度は31.1%と1.2%ダウン。前年度ほどではないが、依然下がり続けている。コロナ期に人々が配信サービスを使うようになったためだ。 前の決算で放送業界は「今後下がっていく」ことを覚悟したが、今回の決算ではいよいよ下降傾向が決定づけられた形だ。放送というテレビ局の屋台骨だった事業が完全にピークを過ぎ去り、あとは下がっていくだけだと見えてしま
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ChatGPTなどの生成AI技術は、組織の内部業務の効率化に寄与するだけではなく、組織が外部に向かって行う業務に、新しいフロンティアを切り開く。また、研究開発で重要な役割を果たす。これらを実現するために、経営者の理解と積極的な関与が不可欠だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第114回。 日本ではバックオフィス業務の効率化が中心 ChatGPTが公開されてから1年以上の期間が経過した。単なる物珍しさの段階を卒業し、実際の活動での応用を推進する段階に入っている。 日本の企業や官庁などの利用状況を見ると、バックオフィス業務の効率化が考えられていることが多い。例えば、東京都は、昨年8月、職員向けに「文章生成AIの利活用に関するガイドライン」を策定・公開した。 ここでは、ChatGPTの利用上のルールを定めるとともに、効果
「セクシー田中さん」の件をきっかけに、映像化における原作の脚色に注目が集まっている。そんな中、劇作家で演出家の鴻上尚史氏が、「原作者と脚本家の問題にしてはいけない」と発信した。 鴻上氏は、X(旧ツイッター)を通じ、「映像化において作品を改変しないで欲しいと要望する人と、製作側に一任する人に分かれるが、それは原作者個人の判断であり、問題は『変えないで欲しい』という原作者の意向を出版社がちゃんと伝えたのか、そしてそれをテレビ局がちゃんと受け入れたのか」であるとも主張。 もしそれが違っていた時に対応するのも、「原作者ではなく、原作者側に立つ出版社。それに対応するのも、脚本家の前にテレビ局、つまりプロデューサーだ」とも書く。 筆者はその意見にまったく同感だ。脚本家はプロデューサー、この場合はテレビ局に雇われているのであり、彼らの意向に従って仕事をするに過ぎない。原作に忠実にするのか、改変するのかに
アサヒビール(以下、アサヒ)が「今後発売する缶酎ハイの新商品のアルコール度数を8%未満に抑える方針」と、共同通信等の取材に答えたことで、再びアルコール度数が8%以上の缶チューハイ、いわゆる「ストロング系」に注目が集まっている。 29日公開の前編(「アサヒが撤退「ストロング系」はなぜ広がったのか」)ではこれまでのストロング系の歴史を振り返りながら、同社の「健全で持続可能な飲酒文化を目指し、高アルコール商品の展開を控えることにした」というコメントは「負け惜しみでは?」ということを指摘したが、後編ではストロング系にハマった筆者が「酒に飲まれていくまで」の過程を紹介していきたい。 ストロング系を飲むのが楽しみだった日々 かつての筆者は毎晩仕事帰りにコンビニに寄るのが楽しみだった。というのも、毎月のように新たなストロング系のブランドが各社から出ていたからである。 サントリーの「-196℃ ストロング
「遊べる本屋」、ヴィレッジヴァンガード。「ヴィレヴァン」として全国に店舗を広げる同店だが、知らないうちにそこそこマズいことになっていたらしい。 というのも、2023年11月中間決算によると、営業損失が7億4900万円で、前年同期の1億7600万円の損失から赤字が拡大しているからだ。既存店の数はここ数年で減り続けており、それによる単純な減収、そして人件費や物価高の影響も響いている。 売上高ベースで見ると、2016年5月期が最高収益で、467億5800万円。ただし、そのときも営業赤字は2億円ほど出ている。2007年に買収した中南米雑貨の「チチカカ」が、その経営の足を大きく引っ張っていたようだ。 2017年にはチチカカを売却し、ヴィレヴァンのみでの営業を続けているが、その後も黒字化と赤字転落を繰り返し、経営の足取りはふらついている。 ヴィレヴァンのジレンマ ライターの不破聡は、こうした迷走の背景
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インターネット接続テレビの普及が加速している。インテージの2023年のアンケート調査によると、全国の42%の人々がテレビをインターネットに接続して使用している。 過去の記事では、インターネット経由での動画配信の普及とテレビ受像機の利用形態(「データが証明『YouTubeに食われる放送局』の実態」)や民放の広告ビジネスに与える影響(「データで判明『TV揺るがすサブスクの脅威』の本質」)を考察した。 本稿では、コロナ禍に急成長した有料動画配信サービスに浮かび上がってきた課題や、インターネットにつながるテレビの可能性を、実際の視聴データを基に考える。 テレビ放送を視聴する時間は半分未満に まず、スマートテレビにおけるテレビ放送と動画配信の最新状況を確認しよう。マーケティング利用の許可を得て収集されたインテージのスマートテレビ視聴データ「Media Gauge(メディアゲージ)」の中で、動画配信も
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先週末、サム・アルトマンは、11月17日に取締役会からCEOを解任されたOpenAIに、征服者としての英雄として戻ってくるかに見えた。 それは、すでに衝撃的な展開に満ちていた中で、また新たな衝撃的な展開をもたらすことになっただろう。アルトマンには大きな影響力があった。OpenAIの従業員はアルトマンの解雇以来同氏を支持し、OpenAIの投資家たちは同氏を復帰させるよう取締役会に働きかけていた。 数十億ドル、ひょっとするとAI業界全体の行く末が、取締役会の決断の行方にかかっており、多くの人が取締役会が圧力に屈し、決定を覆すと予想していた。 OpenAIの悲劇は終わっていない だが、取締役会はそれどころかアルトマンの復帰を拒否し、19日の深夜に従業員に宛てたメモの中で、アルトマンを解任することは、「取締役会の責任を遂行し、この組織の使命を推進する能力を維持するために必要である」と断言した。取締
――提訴の狙いについて教えて下さい。 原告である漁業者や市民は福島第一原発の事故で大変な被害を被った。そのうえに今回の「ALPS処理汚染水」の海洋放出によって、「二重の被害」を受けることになる。しかも今回の被害は国や東電の故意によるもので、新たな加害行為だ。訴状では「二重の加害による権利侵害は絶対に容認できないとの怒りを持って提訴する」と書いた。 国は、ALPS処理汚染水を薄めて基準値以下にすれば海に流してもいいと主張しているが、間違った考え方だ。そもそも危険性のあるものは環境から隔離しておくことが安全対策の基本だ。そうした間違った行為を何としてでもやめさせたいと考えて、差し止め訴訟に踏み切った。 第2次提訴で原告の数は大幅増へ ――提訴までのいきさつは。 私は東電の刑事裁判や株主代表訴訟、福島県飯舘村の集団ADRなどを通じ、福島の方々とたくさんの縁がある。政府が方針を決定した2年ほど前か
レイチェル・キューリンは自らを、信頼性が高く燃費のよいハイブリッド車を支持する何百万人というトヨタのロイヤルユーザーの1人と考えていた。ところが彼女は最近、自身が乗っていたトヨタ「プリウス」をシボレー「ボルト」に買い替えた。トヨタの電気自動車(EV)展開が遅すぎたためだ。 「トヨタファンの選択肢はどこにあるの?」。アリゾナ州メサに住むキューリンは「本当に悲しい」と言った。 一時は環境意識の高い自動車オーナーにとってナンバーワンのブランドだったトヨタは、消費者の嗜好の変化と気候変動の主要因である化石燃料の使用削減を推し進める各国政府の動きについていくことができていない。 巨大市場の米中でシェア低下が進行 トヨタと日本の自動車業界は今、1980年代に世界的な巨人となって以来、最大のビジネス課題に直面している。その対応によっては、トヨタと日本の自動車業界が世界トップの座にとどまれるか、あるいは「
コーエン:今の状況は後からでないと完全には理解できないでしょう。1968年5月や、その前後には、工業社会は限界に来ていると考えられていました。その認識は正しかった。しかし、工業社会から抜け出しさえすれば、その後には永遠の平和が待っているとの予測は外れました。当時の人々は、消費社会は存続しないと考えていたのです。 経済のルールに支配された世界 ケインズが1930年代に示唆していたように、働く必要がどんどんなくなり、別の世界に変わっていくと信じていました。 実際、ベビーブーマーは、日本でも、フランスでも、アメリカでも60年代に大きな声をあげていました。自分たちの使命はポスト物質主義の世界を構築することだと考えていました。当時の人々はそう信じていましたが、それは実現しませんでした。 実際には今でも、経済の問題は変わらず存在しています。そして、今日、ポスト物質主義の世界に入るために求められているの
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