第1節 簡単な関数の例 まずは次のような関数を考えてみましょう. 定義域に注意して下さい.この関数は |z| < 1 でしか定義されていません.この関数を実数全体に拡張したい場合どうすればよいでしょうか? この場合は,単に定義域を【実数全体】に書き換えてしまえばいいだけで,何も難しいところはないように思われます.こうして実数全体に定義された関数を,F の上にニョロマーク ~ をつけて と書くことにします.この関数こそ,一部でしか定義されていなかった F(z) の,いわば【本体】であると言えます. 以上の話は,定義域を書き換えるだけの話であり,関数の拡張に関する議論の重要性をあまり感じるものにはなっていません. 第2節 関数の式がおかしい? では,次の関数はどうでしょうか? この関数は,数式中に現れる等比級数部分の収束を保証するために, | z | < 1 の範囲でしか定義されていないもので