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要旨 2023年の出生数は73万人程度、合計特殊出生率は1.21程度まで低下の見込み。2024年1~3月の出生数(速報値)も前年同月から減っており、24年も減少する可能性が高い。通年の減少率が1~3月と同等であれば24年の出生数は70万人を割れる。 24年の出生数が足元ペースで減少する場合、24年出生数は社人研の将来推計人口(昨年公表)における「出生低位仮定」に近くなる。実質的に政府のメインシナリオとして扱われている「出生中位仮定」からは既に乖離が進んでしまっている。 目下、この将来推計人口を用いて作成される年金財政検証の議論が進んでいる。今夏にも公表される財政検証で主に示される数値は出生中位仮定をベースにしたものになる。結果を一段割り引いてみる必要が高まっているのではないか。 目次 2023年の合計特殊出生率は戦後最低水準まで低下へ 70万人割れに現実味、悲観シナリオに近づく可能性が高く
要旨 2024年の春闘交渉は、定期昇給を含めて5%台の伸び率となり、歴史的賃上げになった。どうしてそれほどの賃上げ率が可能になったのだろうか。その3つの理由は、①経営者に対する圧力、②値上げによる粗利の増加、③バブル入社の世代が60歳を迎えること、などが挙げられる。しかし、この3つの理由は、必ずしも中小企業には当てはまらない。 目次 大幅な賃上げ率の実現 財務面での余力 バブル入社組が60歳に 大幅な賃上げ率の実現 大手企業の賃上げ率は予想外に大きく伸びて、それが日銀のマイナス金利解除の決め手となった。春闘の集中回答日を受けた連合の賃上げ率の集計(3次4月2日集計)では、5.24%(ベースアップ率3.63%)と前年3.58%を大幅に上回った。これは歓迎すべき変化だが、今更ながらどうして昨年まではこれほどの大幅賃上げができず、ここにきてそれが可能になってきたのだろうか。そして、今後、中小企業
要旨 2023年10-12月期時点の政府債務残高/GDPを見ると、コロナショック前の水準まで低下している。そして低下した要因を分解すると、「経済成長率」と「インフレ率」要因の押し下げ幅が、「財政収支要」因の押し上げ幅を大きく上回っており、また経済成長率とインフレ要因のうちの2/3近くがインフレ要因であることがわかる。 政府がPB目標を掲げてきた背景には、政府債務残高/GDPの上昇を抑制することがあるが、足元では日本でもインフレが定着しつつあり、財政の持続可能性にもその分余裕が出てきている。すでに日本経済にインフレが定着しているのであれば、多額の政府債務の負担が実質的に軽減されることで、財政リスクを高めずに将来の成長に向けた財政支出の自由度が高まり、拙速な財政引き締めリスクを軽減できる。 内閣府が2024年1月に公表した「中長期の経済財政に関する試算」のインフレ目標が達成される成長実現ケース
要旨 日経平均は先行き12ヶ月41,000程度で推移するだろう。 USD/JPYは先行き12ヶ月138程度で推移するだろう。 日銀は、10月に追加利上げを実施するだろう。 FEDは6月に利下げを開始、FF金利は年末に4.75%(幅上限)への低下を見込む。 目次 金融市場 経済指標 注目点 金融市場 前日の米国市場は休場。USD/JPYは151前半で一進一退。 経済指標 2月米PCEデフレータは前月比+0.3%、前年比+2.5%。コアPCEデフレータは前月比+0.3%、前年比+2.8%と概ね市場予想に一致。コアデフレータは3ヶ月前比年率で加速傾向にあるが、それでも前年比の伸びは着実に縮小している。 注目点 日銀短観(3月調査)によると業況判断DIは、大企業製造業が+11と前回調査対比2pt低下したものの、市場予想(+10)は小幅に上回った。一部メーカーの工場稼働停止(品質管理- 地震)によっ
要旨 オルタナティブデータを用いて、足元の都道府県別募集賃金の上昇率を確認したところ、九州地方・東北地方の伸びが目立っている。外資の進出や半導体投資の活況が地方の賃金上昇を促しているようだ。一方で、円安や半導体ブームに一服感が生じれば国内賃金にも影響する可能性が高い。2024年度の春闘賃上げ率は歴史的な高さとなりそうだが、そのすべてを中長期のトレンドと見做すのは時期尚早と考える。 目次 賃金は「どこで」上がっているのか? 外資進出・半導体投資の活況が地方の賃金上昇を支えている模様 賃金は「どこで」上がっているのか? 来年度の更なる賃金上昇に向けた期待が高まっている。2023年度の春闘から、国内の賃金上昇率のトレンドには明確に変化がみられるようになってきている一方で、地域別の賃金状況の分析は多くはない。この背景の一つはデータの制約にあると考えられる。政府の賃金統計である厚生労働省公表の毎月勤
満額回答相次ぐ。5%台乗せの可能性も 今日は春闘の集中回答日であり、既に多くの企業において回答が発表されている。 今年の春闘の特徴の一つとして、昨年に比べて早期に賃上げ機運が盛り上がった点が挙げられる。23年春闘では、物価の伸びが急加速するなか、23年入り以降に賃上げムードが一気に盛り上がったが、24年春闘では23年冬の時点で既に賃上げ機運が高まっており、春闘での交渉を待たずして高い賃上げ実施を表明する企業が相次いだ。横並びを重視する日本の企業では、同業他社の賃上げ実施を無視することは難しい。競うように大手企業での賃上げ表明が相次ぎ、賃上げムードは24年に入ってからも一段と強まり続けた。 こうした流れの中で迎えた本日の集中回答日では満額回答が相次ぎ、なかには組合の要求を上回る賃上げを認める企業も現れた。満額回答が目立つことはある程度予想されていたとはいえ、それにしても強い印象を受ける。 な
要旨 日独GDPの逆転が確定した。これは大幅な円安進行とドイツの高インフレによるもので、実質成長率に大きな違いはない。非価格競争力の高さ、中小企業の国際展開、産官学連携など、日本がドイツから学ぶべき点はあるが、単一通貨圏の恩恵や地理的優位性は真似できない。日本としては、変化の胎動もみられるデフレからの脱却を確実なものにすることが望まれる。 日本の2023年の名目国内総生産(GDP)は591.5兆円となり、ドルベースに換算するとドイツに抜かれ、世界第四位に転落した(図表1・2)。2023年の日本の名目GDP成長率は物価上昇の影響もあり、前年の+1.3%→+5.7%に上昇率が加速(実質でも+0.9%→+1.9%に加速)、ドル建てGDPの落ち込み(▲15.0%→▲1.6%)は大幅な円安進行に伴うものだ(図表3)。ドイツは逆にユーロ高がドル建てGDPを押し上げた(図表4)。2020年以降の3年間の
要旨 実質賃金の上昇を目指すには、価格転嫁だけでは不十分だ。生産性上昇による押し上げが必要になる。マクロで考えると、この課題は、日本の成長戦略と重なる。経済学の視点を用いると、要素価格均等化定理で「安い日本」を是正するカウンターパワーをつくる。 目次 実質賃金のハードル 平均賃金ランキング 生産性問題は低成長問題 交易を通じた賃金上昇 実質賃金のハードル 2024年は、賃上げが企業の大きなテーマである。どうすれば、物価上昇率を上回って高い賃上げ率を達成できるのか。筆者がみる限り、その実現への道筋に関して、社会的な共通見解がある訳ではないように思える。そこで、本稿では、賃上げについて深掘りしてみることにした。 まず、価格転嫁だけでは十分ではないことを確認しておこう。企業にとって、物価が上がっているから、インフレの利益で経常利益は増えやすくなっている。原価上昇率を販売価格に上乗せするのが価格転
要旨 海外において経済政策の新た理論として台頭しているのが「財政赤字の適温理論」であり、財政には政府債務と財政赤字の望ましい組み合わせを示す「適温領域」が存在することを示す。 2019年時点の日本は、財政赤字を減らすとむしろ債務が増加する状況にあり、財政赤字を増やすことで政府債務が減少する状況が、財政赤字/GDPが3%弱に達するまで続く。その後は反転して財政赤字拡大とともに政府債務も増加するようになり、政府債務残高/GDPが223%になる時点で財政赤字/GDPは3.5%で最大域に達し、その点よりも債務を増やすと持続可能な財政赤字は減少し、最終的に財政赤字をゼロにしなければならない金利>名目成長率の状況に到達する政府債務残高/GDPは446%になる。 国債は日本国内に居住する民間部門の資産になるため、納税者が償還財源を負担すべき債務として国債が将来世代に引き継がれるということは、民間が保有す
目次 1.人助けに関する調査で日本はまたもや最下位に 2.本当は席を譲ってほしいし荷物を持ってほしい 3.必要な手助けはおこなわれているのか 4.最下位を脱出し「おもてなし」あふれる国へ 1.人助けに関する調査で日本はまたもや最下位に 過去1か月間に「助けを必要としている見知らぬ人を助けた」かどうかに関する調査が、イギリスの団体によって世界各国で毎年実施されている。この調査については以前にも取り上げ、日本は2009~2018年の平均でも、2020年単年でも、全世界の中で最下位だったという結果を紹介した(注1)。その後の2021年の調査でも、日本は最下位から2番目にとどまっている(図表1)。 先ごろ公表された最新版の調査報告(2022年に調査、2023年に公表)によると、日本は142か国の中でまたもや最下位(21%)であり、全世界の平均(60%)を大幅に下回っている。日本は見知らぬ人を助ける
要旨 日経平均は先行き12ヶ月36,000程度で推移するだろう。 USD/JPYは先行き12ヶ月138程度で推移するだろう。 日銀は2024年前半にマイナス金利を撤廃するだろう。 FEDはFF金利を5.50%(幅上限)で据え置くだろう。利下げは2024年後半を見込む。 目次 金融市場 注目点 金融市場 前日の米国株は下落。S&P500は▲0.4%、NASDAQは▲0.6%で引け。VIXは13.0へと上昇。 米金利はツイスト・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.161%(▲3.8bp)へと低下。 実質金利は1.951%(▲2.7bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲49.1bpへとマイナス幅拡大。 為替(G10通貨)はUSDが中位程度。USD/JPYは147前半で一進一退。コモディティはWTI原油が69.4㌦(▲2.9㌦)へと低下。銅は8286.0㌦(▲48.5㌦)へと低下
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