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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/reizei (27)

  • 共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点

    共同親権の導入には、DV被害を断ち切れなくなるという懸念が出ている FineGraphics/photo-ac <血縁関係のない子どもに対しても愛情を注ぐこと、国際結婚が破綻しても日の子どもを他国に「取られない」ことへの配慮が必要> いわゆる共同親権を認める民法改正案が国会で審議されています。この問題に関しては、私は進めることには賛成の立場です。アメリカで生活する中で、両親が離婚した場合に共同親権の下で、双方の親との良好な関係を保ってきた事例を多く見てきたからです。アメリカの場合、制度は機能していると推定する合意が形成されているのは事実ですし、アメリカ以外の国を含めた先行事例を検討した上で、日でも今回の法改正が進められているのも事実だと思います。 共同親権を導入することで、DV親が親権を得て子どもがさらなる被害に遭う懸念、共同親権を行使するための接触があったために父母間のDV加害・被害

    共同親権法制を実施するうえでの2つの留意点
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    zaikabou 2024/05/16
  • 同盟国とは思えない、日本人へのアメリカの入国管理のひどい対応

    トランプ政権以降、アメリカの入国管理は厳格になっている(画像はイメージ写真) anouchka/iStock. <近年、アメリカに入国しようとする日人が「別室送り」になって取り調べを受けるケースが多数報告されるようになった> 日アメリカの間では、1988年にビザ免除が開始されて以来、人の往来はスムーズになりました。当初は、何も準備は必要なく、入国時にフォームに記入して、入管でスタンプをもらえば良かったのです。その後、21世紀に入ってESTAという「事前承認を得る」プログラムというのが始まります。これはテロ容疑者などブラックリストに乗っている乗客をチェックするためのものであり、一旦登録が受理されれば特に問題はありませんでした。 いずれにしても、日のパスポートは世界で一番「滑りがいい」と長い間言われていたなかで、日からアメリカへの渡航の際に「引っかかる」ケースというのは、多くのはあり

    同盟国とは思えない、日本人へのアメリカの入国管理のひどい対応
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    zaikabou 2023/09/14
  • クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由

    <原爆開発をテーマにしたこの作品を、被爆国日は当事者として評価する権利がある> 現在、世界で最も注目されている映画監督の1人、クリストファー・ノーラン監督(『ダークナイト』『インターステラー』)の最新作『オッペンハイマー』がアメリカで公開されました。7月21~23日という、最初の週末の興行収入は8250万ドル(約117億円)と、科学者の伝記映画としては例外的なヒットとなっています。 内容は、アメリカ陸軍による原子爆弾開発計画「マンハッタン・プロジェクト」のリーダーを務めた物理学者ロバート・オッペンハイマーの半生を描くものですが、単に原爆開発のストーリーだけでなく、非常に複雑な構成が取られています。主人公の半生に加えて、後に「赤狩り」の犠牲者として追及を受けた尋問の様子、さらに彼を陥れた黒幕に対する議会の審議という3つの時間軸がモザイクのように散りばめられ、それぞれが緊張感のある対話劇にな

    クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を日本で今すぐ公開するべき理由
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    zaikabou 2023/07/26
    『広島G7でバイデン大統領が原爆資料館を訪問した際に「悲惨な展示は見なかった」』『現在のアメリカでは、広島の悲惨な映像を公開すること、あるいは首脳が見ることは一種のタブー』
  • 『はじめてのおつかい』がアメリカで巻き起こした大論争 NEWSWEEK

    <保護責任が厳しく問われるアメリカでは、子どもを一人でお使いに出すことは「非常識極まりない」はずだが......> 日のNTV系列が放送している長寿番組『はじめてのおつかい』の中から、諸条件に合致したエピソードの放映権がNetflixに売却され、この4月1日から「Old Enough」(「(単独行動をするには)十分に大きい」)というタイトルで世界各国で視聴されるようになりました。一番幼い場合は3歳児未満という幼児が、親に頼まれて「一人でお使い」に行くというリアリティー・ショーですが、アメリカでは大変な話題になっています。 アメリカでは、州によって若干の違いはありますが、基的に13歳未満の子供に対しては保護者の監視が義務付けられています。ですから幼児に一人で街路を歩かせていることが判明した場合には、その幼児は即座に保護され、保護者は逮捕されるばかりか、そのような「危険な状態を見て見ぬふり

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    zaikabou 2022/04/21
  • 従軍慰安婦問題、いわゆる「河野談話」の訂正は可能か?

    安倍政権がいわゆる従軍慰安婦問題に関して、「軍の強制連行があった」とする「河野談話」を見直すかもしれないという報道に関しては、韓国だけでなくアメリカの政界やジャーナリズムによる関心も高まっています。 この問題に関する事実関係に関しては、私は池田信夫氏が様々な史料を参照しながら丹念に調査を続けて来た結論、つまり「軍による強制連行はなかった」という立場を取ります。 では、問題になっている河野談話を訂正すればいいと考えるのかというと、こちらはそうは簡単ではないと考えます。この点に関しては、日の政界や世論には根的な誤解があり、注意深い議論をしないと、日の国益を大きく損なう危険があるからです。 誤解というのは、「軍による強制連行はなかった」という訂正に成功したとしても、全く「日の名誉回復にはならない」ということです。一言で言えば「強制連行はしなかったが、管理売春目的の人身売買は行なっていた」

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    zaikabou 2020/05/26
    『現在の世界的な人権の感覚からすれば、「本人の意に反して家族の借金を背負って売春業者に身売りされ、業者の財産権保護の立場から身柄を事実上拘束されている女性」というのは「性奴隷」以外の何物でもない』
  • 高級ホテル50軒構想、問題なのは運営ノウハウの外資頼み

    でも独自の哲学とノウハウを持った企業が出てきている(画像は北海道の自然の中に建設された星野リゾート トマム) Cheng Feng Chiang-iStock. <大切なのは、日の観光産業トータルで「5つ星クラス」の運営、つまり企画とサービス提供のノウハウをしっかり確立すること> 一部の報道によれば日政府は「高級ホテル50軒」を新設するために公費支援を行うようです。 菅官房長官は12月7日、訪日外国人の受け入れ拡大に向けて「各地に世界レベルのホテルを50カ所程度新設することを目指す」と述べ、具体的には外国人富裕層向けの「スイートルームを多く備えたホテルが日では不足」しているので「ホテル整備に財政投融資を活用し、日政策投資銀行による資金援助などを行う」考えを示しました。 このニュースを受けて、一部にはバブル期に見事に失敗した「内需拡大のためのリゾート振興」と比較し、50軒もの高級

    高級ホテル50軒構想、問題なのは運営ノウハウの外資頼み
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    zaikabou 2019/12/11
    経済規模や観光客の動向的には「高級ホテル50軒」自体は違和感無いけど、政府が音頭取って作らせる問題なのか、とは思う
  • 銃規制の代わりに透明バックパックを強制された高校生たちの怒り

    <2月に銃乱射が発生したフロリダの高校で、透明ビニール製のバックパックが義務化され、銃規制運動の先頭に立ってきた生徒のたちのさらなる怒りを呼んでいる> フロリダ州フォートローダーデールから内陸に入ったパークランドという町の公立高校で銃乱射事件が発生し17人が死亡したのは2月14日、バレンタインデーのことでした。 事件の舞台となったのは、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校という、フェミニストで環境問題の運動家でもあった女性の名前を冠した学校です。そうした命名の経緯が示すように、南部とは言ってもこの地域はリベラルな風土の土地柄で、学校自体のレベルもかなり高い学校です。 事件後、この高校の生徒たちは銃規制推進運動の先頭に立ちました。特に首都ワシントンDCで3月24日に開かれた「私たちの命のための行進」は、大規模なものとなり、連帯する形でニューヨークなど米全土の主要都市でもデモが行われました

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    zaikabou 2018/04/04
    民主党が共和党から地方で議席を奪うには銃規制派は邪魔であると
  • なぜ日本には「左派勢力の旗手」が出現しないのか?

    今週のアイオワ党員集会では、自称「民主社会主義者」のサンダースがヒラリーに肉薄した Rick Wilking-REUTERS 各州の予備選が始まったアメリカの大統領選では、民主党のバーニー・サンダース候補に若者の支持が集まっています。今月1日のアイオワ党員集会では、盤石と言われたヒラリー・クリントン陣営に1%未満の差まで詰め寄る一方で、今月9日に予定されているニューハンプシャーの予備選では自身の選挙区バーモントの隣ということもあって、大差での1位が見込まれています。 このサンダースですが、60年代から「反戦・反格差」を主張として掲げており、自分は「民主的な社会主義者」という立場を一貫して通しています。さらに大統領選で「政治による革命を目指す」としています。政策としては「空前の大増税を行って富裕層の富を吐き出させ」、「スウェーデンや日のような政府一元化の健康保険制度」を導入、さらには「公立

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    zaikabou 2016/02/05
  • 予備選では、なぜ極端な候補が先行するのか

    民主党予備選ではヒラリー・クリントン候補の支持率がジリジリ下がってきています。「メール・スキャンダル」が長期化する中で、「何か隠している」とか「信用できない」といったイメージが拡散しているからです。 その一方で、支持率を上げているのがバーニー・サンダース候補です。「自称社会主義者」であり、「無所属議員ながら民主党と統一会派を組んでいる」という変わり種の政治家なのですが、来年の年明け早々に党員集会のあるアイオワ州での支持率は、ヒラリー候補42%、サンダース候補24%とかなり接近して来ています。 さらに、同じように来年早々に予備選のあるニューハンプシャー州では、何とサンダース候補42%、ヒラリー候補34%と支持率が逆転しています(いずれも複数調査の平均値)。 では、このバーニー・サンダース候補とは、どんな政治家なのでしょうか? そして、その政策はどんなものなのでしょうか? この人は、1941年

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    zaikabou 2015/09/10
  • 中国「抗日戦勝記念式典」のねじれた正当性

    それにしても、中国が主催してロシアが賛同する形で実施される9月3日の「抗日戦勝記念式典」は、その正統性が二重三重にねじれた結果、奇妙な行事になってきています。 まず9月3日に式典を行うということは、まがりなりにも9月2日の「ミズーリ号上での日の降伏文書調印」が由来であって、第2次大戦の戦勝国として戦敗国である日に対する「戦勝」を祝うという主旨のようです。 ですが、まず第2次大戦の中国戦線で日を相手に戦ったのは中華民国であって、中華人民共和国ではありません。中華人民共和国は第2次大戦の交戦国ではないし、ミズーリ号上の降伏文書の署名当事国でもないのです。この点に関しては、中国も問題を感じているのか、直前になって抗日戦争で戦功のあった国民党軍兵士を顕彰すると言い出しています。 またロシア連邦共和国も同様です。降伏文書の署名国はソビエト社会主義共和国連邦であり、ロシア連邦共和国とは国のかたち

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    zaikabou 2015/09/02
    『9月2日には東京湾上で日米主導の「降伏文書70周年」を記念する行事を行うべきでした。』『そうした「踏み込んだ追悼と恭順」を示すことで、反対に外交の主導権を握るという積極策を取り得なかった』
  • 「日本酒」は国内産に限るという規制は果たして可能か?

    報道によれば、国税庁は国産の米や水を原料に日国内で製造された清酒だけを「日酒」として販売できるよう「酒類業組合法」を改正する、そのように今月与党の会議で提案したそうです。 目的としては「日酒のブランド力を高め、輸出を後押しする」というのですが、「世界貿易機関(WTO)協定に基づき、産地名を商品名に使用する『地理的表示制度』を適用する」というのですから格的です。 この「地理的表示制度」の例としては「シャンパン」があります。昔は、世界中で「シャンパン」という名称を使っていたわけですが、この「地理的表示」が適用されるようになってからは、フランスのシャンパーニュ地方で作られた発泡ワインだけが、「シャンパン」と名乗れることになりました。この「地理的表示」を「日酒」あるいは「ジャパニーズ・サケ」にも適用しようというのですから、これは相当な覚悟と言えます。 ですが、この「日酒は日製だけ」と

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    zaikabou 2015/06/18
  • 日本の「テロ対策」8つの疑問

    イスラムテロ組織「ISIL」の日人人質殺害事件を受けて、日のテロ対策のあり方が議論されていますが、安倍政権の反応、それに対する批判ともにちぐはぐな印象を拭えません。一連の議論で浮かんだ疑問を整理してみました。 (1)アメリカ人女性ボランティアの殺害が確認されたことを受けて、安倍首相は「深い悲しみに包まれている」と述べ、アメリカに「連帯を表明」しています。一方で日人人質の殺害に対して政権や与党からは、「痛恨の極み」、「強い怒り」という事件への感想が先行し、死者に対して「蛮勇」だという非難も浴びせられました。今回の悲劇に際しては、何よりも自国の死者や遺族への最高の礼節を示すのが「為政者の常識」だと思うのですが、そうした考え方は古いのでしょうか? (2)その背景には「自己責任で危険を冒した」人間のために「国策」が左右されるのは「迷惑だ」という発想があるように見えます。ですが、仮に「迷惑」で

    日本の「テロ対策」8つの疑問
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    zaikabou 2015/02/13
  • 適切だったJR西日本の「早期運休判断」

    台風19号の上陸に備えて、JR西日が早急に運休を決定したことに対して賛否両論があるようです。具体的には13日の午後から順次運転数を減らし、午後4時以降は京阪神の全線で運休をしたのですが、この方針を「13日のお出かけは控えてください」と「前日の12日に予告」して呼びかけた、確かにこれは日ではあまり前例のない対応でした。 この問題を評価するには、具体的な過去の経緯を考えておいたほうが良いと思います。5点掲げておきます。 1つ目は、国鉄民営化直前の1986年12月に、山陰線にある有名な余部鉄橋(兵庫県美方郡香美町)で発生した事故の問題です。この事故ですが、鉄橋を通過中の客車が最大風速33メートル(m/s)の突風にあおられ、機関車以外の客車の全車両が台車の一部を残して転落するという惨事となりました。 転落した客車は橋梁の下にあった工場と民家を直撃し、亡くなった車掌を含めて6名の死者を出すと

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    zaikabou 2014/10/17
  • 朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解

    いわゆる「従軍慰安婦」問題をめぐる証言記事に関して朝日新聞が誤りを認め、取り消したことに関連して、あらためてこの「従軍慰安婦」の議論が盛んになっています。その議論の多くは「誤報」、つまり「狭義の強制」があったと報道されたことで、「国際社会の誤解」を招いた朝日新聞には責任があるという考え方です。 例えば安倍首相は9月14日のNHKの番組で、朝日新聞が「世界に向かってしっかりと取り消していくことが求められている」と述べたそうですし、加藤勝信官房副長官も17日の記者会見で、「誤報に基づく影響の解消に努力してほしい」と述べています。 また朝日新聞の訂正直後に実施された、読売新聞の世論調査によれば、『朝日新聞の過去の記事が、国際社会における日の評価に「悪い影響を与えた」と思う人が71%に達した』そうです。 しかし、こうした「国際社会に誤解されている」という議論は、それ自体が「誤解」であると考えるべ

    朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解
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    zaikabou 2014/09/18
    『国際社会は…「慰安婦問題に関する事実関係の訂正をしたい」という日本の意向が「全く理解できない」』そう、まったくこれ。クマラスワミさんとかも、ただただ不可解、という認識だと思う
  • 「排外発言」とは正反対だった「舞の海氏の講演」(前回エントリのお詫びと訂正)

    昨日(27日)アップした大相撲に関するエントリで、舞の海秀平氏が講演で「外国人力士排斥発言」を行ったという報道を受けてコメントしましたが、その後、アラスカ在住の好角家の方から指摘があり、その講演の内容全体を動画サイトで閲覧することができました。 結論から言えば、舞の海氏の発言は報じられていたのとは180度異なり、むしろモンゴル出身力士をはじめとした外国人力士へのリスペクトに溢れたものでした。まずもって、お詫びと共に訂正をさせていただきます。 この講演から明らかなのは、舞の海氏もまた相撲文化の素晴らしい継承者であるということであり、その素晴らしい弁舌も含めて、名講演と言っても過言ではないと思います。 この講演で舞の海氏の指摘したのは、以下のような点です。 「相撲の発祥地はモンゴル。東進して韓国経由で日に伝わった。西進したものは現在トルコなどにも伝えられている。 「日歴史上初めて相撲が登

    「排外発言」とは正反対だった「舞の海氏の講演」(前回エントリのお詫びと訂正)
    zaikabou
    zaikabou 2014/05/28
    とても誠実な訂正記事なんだけど、『アラスカ在住の好角家の方』、という字面がインパクト強すぎて…
  • 「金髪・付け鼻」はどうして差別になるのか?

    ANA(全日空輸)は今月中旬から放映が始まった同社のテレビCFに対し、人種差別的だとの苦情が寄せられていることを理由に放映を打ち切ったようです。問題とされたのは、3月から羽田空港発着のANA国際線が増便されることをアピールするキャンペーンのCFで、ANAのパイロットに扮した俳優の西島秀俊さんとお笑いタレントのバカリズムさんが、今回の「大増便」に伴って同社のイメージアップをしようと英語で会話している内容です。 就航地を紹介して「増便の喜び」で盛り上がったところで、バカリズムさんが「じゃあ、ハグしよう」というと、西島さんは「何とも日的なリアクションだね」とこれを否定。そこで "Let's change the image of Japanese people!" と西島さんが言うと、バカリズムさんが "Sure." と応じるのだが、このときバカリズムさんの見た目は、金髪のカツラと高さを強調

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    zaikabou 2014/01/30
  • 「安倍靖国参拝」、アメリカの許容範囲はどこまでか?

    昨年末に安倍首相が行った「靖国参拝」に関しては、駐日アメリカ大使館並びにアメリカの国務省省から「失望」というコメントが出ています。この点については「これで日米関係が悪化する」とか「米中接近のきっかけになる」というレベルのものではないし、まして、この事件を受けて、アメリカの一般の世論における対日感情が悪化するということはないと思われます。 アメリカは年始以来、異常な気象状況が続いています。特に「ポーラー・ヴォーテックス(極渦、北極からの低気圧)」が吹き込んだ寒波のために、西海岸とフロリダ半島の先以外の北米大陸は記録的な低温となりました。私の住むニュージャージー州でも7日の火曜日は、快晴であるにも関わらず最高気温が華氏11度(摂氏マイナス12度)という厳しい寒さになりました。 ですから、ニュース報道としては「それどころではなかった」のです。ですが、そうした異常な状況がなくても、「安倍参拝問題

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    zaikabou 2014/01/09
  • 世紀の大傑作『かぐや姫の物語』にあえて苦言を一言

    ちょうど封切りの初日に間に合ったのは幸いでした。短い一時帰国の最後の晩、新宿のシネコンで観賞後に羽田発の深夜便で西海岸乗り継ぎで戻ってくるというのは強行軍に聞こえますが、その間、映画の余韻がずっと続いていたことで疲労も感じなかったぐらいです。 傑作だと思います。いや大傑作でしょう。 これはアニメーションというカテゴリに全く新しい次元を開いただけでなく、原作の『竹取物語』が千年を越える生命を保っているように、この作品も長い時間を越えて残っていく価値がある、それぐらいの作品と思います。 何よりも、日画や水墨画を思わせる「開かれた、そして動的なエネルギーのある線」の表現が、動画になることで、ここまでの表現力を獲得したということが画期的です。アニメは、ここに至って「輪郭線と塗りつぶし」という文法から解き放たれたのですが、そのことの意味がこれほどまでに説得力を持つというのは驚愕でした。 日画の影

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    zaikabou 2013/11/28
  • アメリカはどうしてシリア攻撃に踏み切ろうとしているのか?

    先週21日に「アサド政権は自国の反政府勢力に対して化学兵器を使用した」というニュースが報じられたのを受けて「シリアへの介入論」が高まっています。今日(8月29日)から翌30日にかけて、アメリカが攻撃を開始するという説も相当に濃厚になっているようです。 アメリカは、アフガンとイラクの戦争で大苦戦を強いられると共に、国が大きく傾くほどの経済的なダメージを受けました。これを受けて、国民の間には強い厭戦気分があります。また、9・11以降続いていた、自国の安全のためには手段を選ばずという能的な心理も消えています。 何よりも現在のアメリカは2008年9月の「リーマン・ショック」以来の不況をようやく脱しつつある中で、「軍事費を聖域とはせず」という方針で国家財政の健全化に取り組んでいる最中でもあります。 そうした時代の流れの中で、アメリカの世論は今回の「シリア攻撃」を支持はしていません。一部の調査によれ

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    zaikabou 2013/08/29
  • 映画『風立ちぬ』のヒロインが「菜穂子」である理由

    宮崎駿氏の最新作『風立ちぬ』を見ました(以降は、ストーリー上の「ネタバレ」に触れている箇所もありますので、気になる方は映画を先にご覧になることをお勧めします)。 まず、零式戦闘機(通称「零戦」)の設計者である堀越二郎については、飛行機への思い一筋に生きた姿がアニメ一筋に生きた宮崎氏自身の生き方と重なって説得力がありました。戦争の問題については、控えめな表現ですが「国を滅ぼしてしまった」「(零戦は)一機も帰って来なかった」という台詞が全てを語っているように思います。 色々な議論が可能と思います。ですが、亡国に至った戦争は否定するが、資源の物量を技術力で補って究極の抑止力を目指した零戦開発の努力までは否定しないという宮崎氏の立場について、私は納得させられたということは申し上げておこうと思います。 ところで、この作品ですが、その堀越二郎の「零戦開発奮闘記」というストーリーに、堀辰雄の小説『風立ち

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    zaikabou 2013/08/21