経皮的迷走神経刺激(tcVNS)装置「ガンマコア」の使用を実演する軍人。(PHOTOGRAPH BY LINDSEY K. MCINTIRE) 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、治療が難しいことで知られている。しかし、バイオエレクトロニクス医療分野の進歩により、首の迷走神経に軽い電気パルスを流して脳を刺激することで、症状を緩和できる可能性を示す研究結果が積み重なっている。 迷走神経は複雑に枝分かれしながら脳と体の様々な場所を結んでいて、消化や心拍、呼吸、血管運動のほか、くしゃみや咳(せき)といった一部の反射反応を調整している。首では右側に1本、左側に1本通っている。 しかも、PTSDに使用する迷走神経刺激(VNS)装置は、てんかんの治療で使われる通常の体内埋め込み型装置と違って皮膚の上から使用するため、体への負担がなく、痛みも伴わない。この経皮的VNS(tcVNS)装置を首の横か耳に当