… 「ジェンダー格差」 [著]牧野百恵/「フェミニスト経済学」 [著]長田華子、金井郁、古沢希代子 なぜ、男女の違いが格差につながるのか。経済学で男女格差の不透明さを理解しようとする書籍の出版が相次いでいる。 ここで「経済学」を強調するのには理由がある。いわゆる統計的差別を合理的と解釈したのは(労働)経済学。脳や身体の構造、性格の違いで男女格差を説明したのも(行動)経済学。現実に差別があるならば、差別したい人が損をしてまでも差別するからだと考えたのも経済学だ。結局、男女差別の合理的解釈を示してきたのは経済学なのであって、逆に言えば、経済学で男女差別を合理的に説明できなくなったとき、男女差別を正当化する論理の多くは根拠を失う。 『ジェンダー格差』は、開発経済学を専門とする著者が、最近の論文を集めて紹介した新書だ。進学や結婚出産など、重要なタイミングで発生する男女格差の原因を追究したものを取り