G8のような主要国と比べれば東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々のパワーはいかにも弱小だが、とりわけ紛争予防という分野ではG8から学ぶべき教訓がいくつかある。 アジア地域は各地に広がっている民族紛争だけでなく、カシミール、スプラトリー(南沙諸島)、朝鮮半島など多くの不安定要因を抱えているが、いわゆる「紛争予防の文化」がない。G8のような予防政策を持たなければ、紛争の火種が広がって戦争に発展しかねない。 ASEANには、アジア太平洋地域の国々で構成するASEAN地域フォーラム(ARF)がある。6年前に結成されて以来、地域の安全保障問題を話し合う会合を毎年開いてきた。相互の信頼醸成が目的だが、紛争予防と解決策を形成するには道のりは遠い。大国の圧力に疑いの目を向ける国もある。 ASEANはこれまで、事態の悪化を阻止するための装置をつくろうと奮闘してきたが、うまくいっていない。域内の煙害や越境犯