劇作家、演出家、俳優、映画監督など数々の顔を持つ松尾スズキ。「大人計画」を旗揚げし、松尾スズキを名乗り始めてから今年で30年になる。松尾のもとで宮藤官九郎、阿部サダヲ、星野源ら多くの才能が育った。だが「俺が発掘したっていう意識はない」と言う。売れっ子が輩出し続ける背景には何があるのか。仕事帰りによく立ち寄るという、四谷の裏通りのスナックで、創作への思いを聞いた。 (ライター・兵庫慎司/Yahoo!ニュース 特集編集部/文藝春秋) 多忙なスケジュールの合間を縫って、松尾が力を注いでいるのが小説だ。浮気がばれた男が巻き込まれる騒動を描いた『もう「はい」としか言えない』を2018年6月に刊行したほか、『小説現代』8月号には、同シリーズの新作となる『108』を書き下ろしている。 「小説は今、書いていてすごく充実感があるんですよね。今年になって、また人の小説を読むようになったのも大きいかもしれない。