「この本には自分のことが書いてある!」 読んだ瞬間にそう感じられる作品は、まず間違いなく傑作だと思う。地方都市が舞台の連作短編を収録した本書にそんな感想を抱く人は相当数いると思う。とりわけ著者と同世代(ロスジェネ)で、かつ地方出身者には刺さりまくるはずだ。かつての同級生との微妙な距離感とか、地方の生活の選択肢の少なさとかリアルだ。自由って選択できることなんだな、と思う。 物語の多くは、地方で暮らす女の子の思春期やその後の話だ。思春期はキラキラしてるし、地方から見た東京だってキラキラしてる。どちらもやがては失われてしまう。でも人生はその後も続く。 最初の短編「私たちがすごかった栄光の話」は東京での自己実現がかなわず地元に戻ってきた女性ライターの話だ。この主人公を巡るあれこれも共感を呼ぶところは多いのだけれど、印象的なのは似たような境遇の同僚カメラマン須賀さんの終盤における振る舞いだ。「地元サ