中国の自動車市場で、通信インフラ機器最大手の中国・華為技術(Huawei、ファーウェイ)の存在感が高まっている。数年前までは電気自動車(EV)シフトに乗じて参入した新興や異業種の一角とみられていたが、自動運転(AD)/先進運転支援システム(ADAS)の技術やスマートフォンで培ったブランド力を武器に主役級に躍り出た。中国の大手自動車メーカーはHuaweiのADASの採用などを視野に、同社との協業に次々と乗り出しており、日本勢も中国における消費者のニーズに対応するため同社に接近しつつある。
同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は報道内容をX(旧ツイッター)上で否定。そのため、現時点で真偽は不明だが、Teslaが開発を中止したとしても全く不思議はない。開発中止が事実だとしたら、その理由は容易に想像がつく。量販型EVは自動車メーカーにとって、もうからない領域のクルマだからである。 Teslaはこれまでプレミアム領域、すなわち高級EVに特化して販売を展開してきた。最も価格が低い「モデル3」でも3万9000米ドル(約590万円)もする。追い風が吹いたのは2020年以降。世界的なカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の動きに合わせた、いわゆる「EVシフト」に乗って業績を急速に高め、一時はトヨタ自動車を超えて15%を上回る営業利益率を実現した。販売台数も2023年に180万台に達している。
トヨタ自動車が新規エンジンを発表した。同社副社長兼最高技術責任者(CTO)の中嶋裕樹氏は「電動車(への搭載)を前提としたエンジンだ」と説明する。なぜ今、エンジンを新規に開発したのか。その狙いを中嶋氏に聞いた。 昨今、自動車業界ではカーボンニュートラル(CN)が大きなテーマになっている。中嶋氏は「いずれはCNに向けて(クルマの駆動源が)電気か水素に大別されるだろう」と予想する。その上で「移行には時間がかかる。国によっても(移行の)早さは異なる。その移行期にエンジンは必要になる」と話す。 トヨタはマルチパスウェイのパワートレーン戦略を掲げる。中嶋氏は「クルマを製造する過程から実際に走り出すまで、全体のライフサイクルにおける二酸化炭素(CO2)排出量を見ると、国によって最適なパワートレーンは異なる」と説明した。 例えば電気自動車(EV)では、製造時と走行時のCO2排出量を考慮する必要がある。特に
一体成形のため、部品点数を1点にできる。これに対し、現行のリアアンダーボディー(左)は鋼板をプレス成形した小物部品を溶接でつなぎ合わせて造っている。そのため、部品点数は86点で、工程数は33もある。(写真:トヨタ自動車) 次世代EVではシンプルでスリムな車体構造に設計した上で、ギガキャストの適用を図る。次世代EVは車体をフロントアンダーボディーとフロア、リアアンダーボディーの3つに分割。このうち、フロントアンダーボディーとリアアンダーボディーをギガキャストで一体成形する考えのようだ(図1)。 これにより、部品点数を大幅に削減する。トヨタ自動車が公表した資料では、フロントアンダーボディーを90点、リアアンダーボディーを85点削減すると記されている。既にメガキャスティングを量産導入しているTeslaは、「モデルY」のフロントアンダーボディーとリアアンダーボディーを一体成形し、部品点数を従来の1
日本製鉄は、鋼板のプレス成形によって部品点数を減らした自動車のリアアンダーボディーを開発し、自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」(2024年5月22~24日、パシフィコ横浜)に出展した。複数の鋼板をホットスタンプ(熱間プレス)で一体成形して造る。ボディーの軽量化と低コスト化に関して、同社は「ギガキャスト(ギガキャスティング)よりも優位性がある」と見る(図1)。 ギガキャストは大物部品を一体成形するアルミダイカスト。電気自動車(EV)のアンダーボディーや2次電池パックを加工する技術として、日本ではトヨタ自動車やリョービ、アイシン、日産自動車、ホンダなどが実用化に向けた開発を進めている。 新しいリアアンダーボディーは、ボディー後方にあるサイドメンバーやフロアパネル、ホイールハウスを一体化した部品。日本製鉄は「リアアンダーモジュール」と呼ぶ。アッパーとロアをそれぞ
トヨタ自動車が全固体電池搭載の電気自動車(EV)を2027~2028年に実用化すると発表したことなどで、全固体電池についてこれまで“眠れる獅子”だった中国が覚醒したもようだ。メーカーや大学、研究機関、そして官庁や金融機関まで計200社・機関超が全固体電池の開発で結束するとしている。 ここ最近、電気自動車(EV)の利用者が増えるにつれて、その課題も目立ち始め、それがEV市場の拡大の勢いをも鈍らせ始めたようだ。課題とは、航続距離の短さ、充電時間の長さおよび充電ステーションなどのインフラ不足、そして特に厳寒時には実質的な容量が大きく減る、つまりは航続距離が大幅に減るといったことだ。 加えて、既存の液体電解質を用いるリチウムイオン電池(LIB)には、充電速度に固有の限界もある。国内でも最近、充電出力の規格が最大180kWに引き上げられ、実際の充電システムでも120kWの充電ステーションが設置され始
HEVは、ホンダにとってまさに“ドル箱”である。世界的なHEVの需要好調を追い風に、同社は2023年度、世界でHEVを約80万台販売した。2024年度は100万台の販売を見込む。2024ビジネスアップデートで三部氏は「現在、北米を中心にHEV事業は好調だ。このままいくと(HEVの販売台数は)180万台まで伸びる可能性がある。ピークは2029年から2030年だろう」と予測した。 これまでホンダは、最大3種類あったハイブリッドシステムをe:HEVのみに絞ることで、コストを効率化してきた。 e:HEVに統一したことで「コンセプトや制御の考え方など基本的な構成を同じにできた。エンジンやモーター、電池などの制御が共通だと、基本的に相似形でハードウエアを設計できる。その分、開発効率が良くなる」とホンダの技術者は説明する。実際に中型セダン「アコード」の2023年型は、2018年の従来型に対して、出力密度
ENEOS Power(東京・千代田)、三菱自動車工業(東京・港)、Nature(神奈川・横浜)の3社は、自宅における電動車の充電時間を遠隔で制御することにより、電気料金の最適化を行う「おうち de ENEマネ」の実証を開始することに合意した。期間は2024年下期から2026年3月末までを予定する。2024年5月17日に発表した。 ENEOSグループおよび三菱自動車の社員を対象に実証の参加者を募る。対象者は、自身が保有する電動車や充電器を使用する。電力の市場価格が安い時間帯に充電することができるよう、自宅での充電時間を遠隔でコントロールする。さらに太陽光発電設備を設置している場合は、太陽光発電の自家消費を最大化するような充電制御も行う。 同実証における3社の役割は次の通り。ENEOS Powerはプロジェクトの全体管理や各家庭への電気の供給。三菱自動車は車両の提供とコネクテッド技術を活用し
全固体電池は2027〜2028年にバッテリーを主力動力源とする電気自動車(BEV)で実用化し、その後の量産を目指すとする。 より具体的には、両社から数十人を募ってタスクフォースとし、年間最大数百トン規模の硫化物系固体電解質を生産するパイロットプラントを出光興産の千葉事業所内に設けて、2027〜2028年を目標に量産技術を実証。同時に材料の安定調達のスキームを構築する。この2027〜2028年には台数は限定的ながら全固体電池搭載のBEVを発売するもようだ(図2)。
米Tesla(テスラ)の株価急落、米Apple(アップル)の電気自動車(EV)撤退、米Ford Motor(フォード)のEV事業赤字、ドイツMercedes-Benz(メルセデスベンツ)グループ(以下、Mercedes-Benz)の完全EV化撤回、販売台数の伸び率でハイブリッド車がEVを逆転……。世界の政府や自動車業界、メディアが喧伝(けんでん)してきた「EVシフト」が明らかに変調を来している。世界は何を間違えたのか。そして、自動車メーカーは生き残りを懸けてどこに向かうべきなのか。Touson自動車戦略研究所代表で自動車・環境技術戦略アナリストの藤村俊夫氏が分析する。その第1回は「EVシフト」失速の訳に迫る。 自動車業界では、2016年くらいから二酸化炭素(CO2)削減の手段として、「EVシフト」が叫ばれるようになった。理由は、中国におけるEV補助金の開始や、ドイツVolkswagen(フ
電気自動車(EV)向け全固体電池の量産へ、トヨタ自動車がタッグを組んだのは出光興産だった。出光は石油中心の会社からの転換を進めている真っ最中。新規事業の芽となる技術をどう見つけ、育てていくか。同社専務執行役員で技術トップの中本肇氏に戦略を聞いた。研究所を統合・再編し、生成AI(人工知能)やマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を積極活用していく方針だ。(聞き手=久米秀尚、伏木幹太郎) トヨタと全固体電池で協業した。 公表してこなかったが、約10年間一緒にやってきた。今回(2027~2028年に全固体電池を搭載するEVを発売すると)発表し、共同で宣言した以上は我々も義務を負った。 全固体電池の技術のポイントは擦り合わせだ。だから、当社だけでは実現できない。トヨタほどの技術を持っている会社を私は見たことはないが、トヨタだけでもできない。(技術を)どれだけオープンにして一緒にやるかが本当に大事
米テスラによる電気自動車向け急速充電規格。北米では米フォード、米ゼネラルモーターズ、日産自動車などが対応する方針を発表した。国内でも充電サービスでの同規格採用が発表されている。 大手電気自動車(EV)メーカーの米テスラは、2022年11月、同社がこれまで採用してきた充電規格「TPC(Tesla Proprietary Connector)」を基にした「NACS(North American Charging Standard)」を、他社にも公開すると発表した。利用実績が高く使い勝手の良い同規格を公開することで、他社にも採用を促し利用環境を整備することでEVの普及促進を目指す。 NACSの公開を受けて米フォードと米ゼネラルモーターズ、日産自動車などが北米向けのEV車種で順次NACSに対応する方針を発表した。対応車種では、北米で広く普及しているテスラの急速充電ネットワークをより簡単に利用できる
中国・北京市の「中国国際展覧センター」で開催される。開幕前日の2024年4月24日午後に撮影した中国国際展覧センターの「順義館」の南側入り口の様子。中国・小米(Xiaomi、シャオミ)が、同社初のEV「SU7」の巨大な広告を出していた。(写真:日経Automotive) 「北京モーターショー2024」(以下、北京ショー)が2024年4月25日、中国・北京市で開幕する。テーマは「Driving to Smart Mobility」(スマートモビリティーの推進)だ。自動運転やソフトウエア定義車両(SDV)など、クルマの知能化に関連した発表に注目が集まる。トヨタ自動車など日本勢も知能化領域で、中国のIT企業との協業を発表する。世界的に電気自動車(EV)市場の成長が鈍化する中、中国・比亜迪(BYD)をはじめとする中国勢の新型プラグインハイブリッド車(PHEV)の発表にも熱い視線が注がれる。
前回の「中国EVの攻勢にさらされるタイ自動車市場の実像」で予告した通り、今回は三菱自動車が2024年2月にタイで発売した新型3列シートミニバン「エクスパンダーHEV」について取り上げていきたい。前回も触れたのだが、エクスパンダーHEVのベースになったエクスパンダーは、2017年にインドネシアで発売され、その後ASEAN(東南アジア諸国連合)、中南米、中東などに販売地域を拡大してきた三菱自動車のグローバル車種である。タイでも、これまでエンジンモデルをインドネシアから輸入して販売してきた。 これに対して2024年2月に発売したエクスパンダーHEV、及びその多目的スポーツ車(SUV)版である「エクスパンダークロスHEV」は、部品の多くをインドネシアから輸入し、またモーターを含むパワートレーンとバッテリーは日本から輸入しているものの、タイの工場で現地生産する車種だ。発売以来、月販1000台以上と好
発売が近づくと、国土交通省の立ち会いの下で認証試験が実施される。認証試験に合格しなければ、クルマを発売することはできない。日産自動車(以下、日産)は軽電気自動車(EV)の発売に向けて認証試験に挑んだ。ところが、思わぬ落とし穴にはまった。(本文は敬称略) 2021年10月末、某所。日産の開発陣は量産前の認証試験のために軽EVを試験場に持ち込んだ。認証試験は量産条件と同じ車体で行う必要があるため、発売予定時期の半年ほど前に実施される。 軽EVは次々と試験項目をクリアしていった。このまま無事通過するだろうと試験場にいた誰もが思っていた。これまでを振り返っても、認証試験でつまずいたクルマの開発は思いつかない。そうこうしているうちに、試験は外部短絡試験に移行した。 外部短絡試験は2次電池(以下、電池)に異常な高電流が流れたときに、ヒューズが切れて安全を確保できるかどうかを検証するものだ。試験内容とし
日産自動車が2028年度の実用化を目指す全固体電池――。その大まかな材料が明らかになった。同社は2024年4月16日、報道陣向けの「パワートレイン・EVコンポーネント生産技術に関する説明会」を開催し、固体電解質には硫化物系、負極にはリチウム(Li)金属、正極にはハイニッケルの三元系(ニッケル、マンガン、コバルトの酸化物を正極活物質の主成分とするもので、略称はNMC)を採用すると説明した(図1)。同社は、こうした電池構成によって、体積エネルギー密度で「従来比約2倍の1000Wh/L」(同社)を目指す。
自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)が、ソフトウエア定義車両(Software Defined Vehicle:SDV)に向けた取り組みを強化している。内燃機関向けの部品や内装製品、空調といったハードウエア中心だった会社を、SDV時代に向けてどう変えていくか。同社最高技術責任者(CTO)のJoachim Fetzer(ヨアヒム・フェッツァー)氏に、SDVによって変貌する自動車業界の現状やマレリの戦略などを聞いた。 (聞き手は久米 秀尚=日経クロステック/日経Automotive) ドイツBosch(ボッシュ)の電気自動車(EV)・ハイブリッド車(HEV)部門の取締役副社長や中国Inovance Automotiveの取締役、スイスBrusa(ブルサ)の最高経営責任者(CEO)兼取締役などを歴任した後、マレリへ入社。電動パワートレーン部門を2年以上率いた後、2021年4月にマレリ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く