今週は東アジアの興味深い一角に来ている。人口は1700万人で平均年齢は32歳強、ドローン生産量は世界最多レベル、年間300万台の電気自動車(EV)など「新エネルギー車」を供給する、今や世界のハードウエア・サプライセンターとなりつつある地域。ここがどこか、お分かりだろうか。 実はこの原稿、中国南部広東省の深セン市で書いている。深センといえば香港の北に位置し、1978年以来、かつての中国最高実力者・鄧小平の号令の下、経済特区として国有企業抜きの市場経済で大成功した地域。久しぶりの中国出張でぜひとも訪れたかった世界最大の都市圏「珠江デルタ」の一角だ。筆者が深センにこだわった理由はこうだ。 ■資本主義の実践 森羅万象が政治的意味を持つ中国で、深センはおそらく最も純粋な形の自由資本主義経済が躍動する街だ。北京のような政治的忖度は不要、上海のような優越意識もないこの街は、24時間365日、商売のことば