女性の進出という観点で見れば、2023年の中央競馬は、歴史的な年として記録されるだろう。3月から2人増えて6人となった女性騎手は、50勝と躍進した永島まなみ騎手(栗東)を筆頭に、全員が2桁勝利をあげた。12月には、24年度の新規調教師試験で前川恭子・調教助手(当時栗東・坂口智康厩舎)が合格。24年1月1日付で免許が交付され、中央競馬史上初めての女性調教師が誕生した。 「経営者」出現の意味 前川調教師は千葉県富里市出身。厩舎関係者との縁故はないが、実家の近くが馬産地であったため、幼い頃から馬に親しむ機会があり、筑波大時代は馬術部で活動。美浦の乗馬苑でアルバイトをしたことが、トレセン入りにつながった。牧場勤務を経て03年に競馬学校厩務員過程を履修し、同年10月に栗東・崎山博樹厩舎で厩舎人として一歩を記した。 今回が5回目の受験で、平均的な受験者よりは遅めのスタート。栗東の他厩舎の調教助手との間