取材中にチャーミングな笑顔を見せる、当時93歳の佐藤ハルエさん=2018年8月17日、郡上市高鷲町ひるがのの自宅で
ハマスによる越境攻撃への報復として、イスラエル南部の境界付近からガザ地区を砲撃するイスラエル兵(11月6日) AP/AFLO <失われたアメリカの情報・判断力への信頼、民主主義国連合の亀裂。居直った中国とロシアがグローバルサウスを取り込み、世界の多極化を狙う> 今回のガザ戦争、その余波はどこまで広がるのだろう? 私見だが、悪しき地政学的展開が起きても、たいていは逆の好ましい力が働いて均衡を取り戻し、世界地図で見れば点のような場所で起きた出来事の余波が遠くまで広がることはない。危機や戦争が起きても、たいていは頭を冷やしたほうが勝つから、その影響は限定される。 だが例外はあり、今回のガザ戦争はそうした不幸な例外の1つかもしれない。 もちろん、第3次大戦の瀬戸際だと言うつもりはない。これが中東全域を巻き込む紛争に拡大するとも思っていない。 その可能性は排除できないものの、今のところ、レバノンのイ
「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止を決めた場合、その決定を支持するか」とロシア国民に尋ねたところ、70%が「決定を支持する」と回答したことが、露独立系機関「レバダ・センター」の10月の世論調査で分かった。プーチン政権は従来、「国民の大多数がウクライナでの軍事作戦を支持している」と主張してきたが、今回の調査結果は露国民内での厭戦(えんせん)機運の高まりを示唆した。 レバダ・センターは10月19~25日、18歳以上の露国民約1600人を対象に世論調査を実施。結果を31日に公表した。 それによると、冒頭の質問に対し、37%が「完全に支持する」と回答。「おおむね支持する」とした33%を合わせると計70%が戦争停止を支持した。一方、「あまり支持しない」は9%、「全く支持しない」は12%で、9%は「回答困難」とした。 レバダ・センターは同時に「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止と、併
イスラエル・ガザ国境での抗議活動で、有刺鉄線を外そうとするパレスチナ人の障害者男性(2018年10月19日撮影)。(ロイター) 15年前の今月に始まったイスラエルのガザ地区封鎖が今なお続いているばかりか一層厳しくなっているとは、誰が想像し得ただろうか?それこそが今や約230万人の人口を擁するこの小さな帯状の地域に起こっていることなのだ。 ガザ地区に住む約80万人のパレスチナの子どもたちは、封鎖のこと以外は何も知らない。彼らはこの人工的に作られた地獄の外に出たことがない。彼らは電車を見たことがない。飛行機はイスラエルの軍用機しか目にしたことがない。電気は限られている。水は動物にさえ適さない。彼らは生まれながらにして死刑囚のような扱いを受けている。 では、世界最大の野外刑務所と言われるガザ地区での生活は、この15年間でどう変わったのだろうか。規模は大きくなっていないが収容者数は増えている。実際
ウクライナ国防省情報総局は9日「ウクライナの信用を傷つけるためロシアが戦場で鹵獲した欧米製兵器をハマスに引き渡した。ロシアは今後『ウクライナが西側諸国から受け取った武器をテロリストに売りつけている』と偽情報を広めるだろう」と警告した。 参考:Россияне передали ХАМАС трофейное оружие для дискредитации Украины – разведка 今のところハマスが「西側製兵器」を使用しているという報告はないウクライナ国防省情報総局は9日「ロシアが戦場で鹵獲した欧米製兵器をハマスに引き渡した。これはウクライナの信用を傷つけて西側諸国による武器支援に影響を与えるための計画で、ロシアは今後『ウクライナが西側諸国から受け取った武器をテロリストに売りつけている』と偽情報を広めるだろう。さらに偽情報の信ぴょう性を高めるため『ロシアに逃亡した裏切り者(ウ
ハッシュタグBarbenheimerはもともと、アメリカで同日公開となった『バービー』と『オッペンハイマー』を一緒に楽しもうというだけの純粋な動機によるものだ。しかしながら騒動化したことで、ハッシュタグそのもの、ひいては二つの作品そのものに批判的な見方が強まることとなった。Deadlineの記事では、「『オッペンハイマー』の日本公開日は未定のままだが、現地でユニバーサル作品を配給する東宝東和(編注:原文ではTohoとされているが誤り)にとって、この題材はセンシティブで複雑なものとなるだろう」と結ばれている。また、米ワーナーにコメントを求めたが、返答が得られなかったともある。 記事のコメント欄では、日本人と名乗るユーザーも混じって、本件に対する憤りや、原爆投下の影響についてが綴られた投稿が相次いでいる。ユーザー名“From Nagasaki”は「予告編を観てから『バービー』の公開を待ち侘びて
ひろゆき(西村博之)氏が「0日に」とやゆして有名になったゲート前の掲示板は名護市辺野古の住民、金城武政さん(65)が作った物だ。母を米兵に殺害された。生活のため、新基地建設事業の警備員になった時期もある。本土の基地押し付けに人生を翻(ほん)弄(ろう)され、それでも現場で反対の声を上げ続ける金城さん自身、そして多くの人々の思いが、掲示板には込められている。(編集委員・阿部岳) インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者のひろゆき氏は3日、米軍キャンプ・シュワブゲート前を訪れた。2014年7月の座り込み抗議開始から「3011日」を刻んだ掲示板の横で写真を撮り、「0日にした方がよくない?」とSNSに投稿した。 「普通はそんな心情にならないと思うんだけど」と、金城さんは不思議そうだ。「この日数は、基地押し付けと抵抗がこれだけ続いていることを示している。本土の人が見れば、放置してきた恥ずかしさが出て
ウクライナ議会は7日、北方領土は、ロシアによって占領された日本の領土だと確認する決議を採択し、ウクライナとしては、領土の一部をロシアに一方的に併合された立場から、日本とも連携してロシアへの圧力を強めたいねらいがあるとみられます。 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、日本は欧米各国とともにロシアに対する制裁を行っていますが、ロシアはこうした対応に反発する形で日本との平和条約交渉を一方的に中断する意向を表明しています。 こうした中、ウクライナ議会は7日、北方領土はロシアによって占領された日本の領土であると確認する決議を採択しました。 決議では「日本の北方領土に対する立場を支持する。国際社会は、北方領土が日本に帰属するという法的地位を定めるため、すべての可能な手段を講じるべきだ」としています。 そのうえで、国連やヨーロッパ議会などの国際機関も北方領土が日本の領土であると定めるための一貫し
本稿は、今次のウクライナ戦争が古典的な戦争概念と大きく離れた非在来型の闘争……「新しい戦争」と言えるのかどうかを検討するものである。結論から言えば、ウクライナ戦争には非在来的要素が多々含まれるものの、戦場における大規模な暴力行使が闘争の趨勢を決するという点で、この戦争は古典的な戦争と見ることができる。 この点を明らかにするため、本稿では、①テクノロジー、②非軍事手段、③戦争様態の3つの側面からこの戦争のありようを検討した。そのうえで、この戦争はなぜ古典的なのか、日本の安全保障が汲み取るべき教訓は何か、といった点についても論じた。 テクノロジーが変える戦場:UAVを一例として ウクライナ戦争には、2020年代初頭時点において想定しうる軍事テクノロジーがほとんど投入されている、と言ってよいだろう。 代表例は無人航空機(UAV)、いわゆるドローンである。中でも小型の戦術UAVはロシア・ウクライナ
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相。ロシア外務省提供(2022年4月14日撮影)。(c)AFP PHOTO / Russian Foreign Ministry 【4月26日 AFP】ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は25日、ウクライナとの紛争が「第3次世界大戦」に発展する恐れがあるとして、停戦交渉に臨むウクライナ側の姿勢を非難した。 【特集】写真で振り返るウクライナ侵攻(4月17~23日) ラブロフ氏は国内メディアに対し、第3次大戦につながるリスクが「深刻化」していると指摘。「リスクを過小評価してはならない」と語った。 ウクライナとの交渉は継続するとしながらも、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は交渉する「ふり」をしているだけとし、「矛盾点はいくらでも見つけられる」と述べた。 ゼレンスキー氏は西側諸国に重火器の提供を要請して
<ウクライナとロシアの対立の原因は、文化や宗教をめぐって起こったキエフ大公国にまでさかのぼるあまりにも古い軋轢にある> 東方正教会を国教としたキエフ大公のウラジーミル1世 UNIVERSAL HISTORY ARCHIVE-UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY IMAGES ウクライナの危機については、経済や安全保障の観点からさまざまな解説がなされている。だが、それだけでは事の本質が見えてこない。ロシアとウクライナの紛争に関しては、文化的、歴史的、宗教的な背景を知ることが重要だ。 【写真】マイナス40度でミニスカ女子大生の脚はこうなった それは「ロシア」とは、「ロシア人」とは何なのかという問いにさかのぼる作業。そして古い「神話」をめぐって、その正しさはわが方にあると、どちらが主張できるのかという点に集約される。 昨年7月12日、ロシア政府の公式ウェブサイトに、ウラジーミ
16世紀:ポーランド「なんや荒野に『コサック』っていう連中が住み着いてオスマン帝国を襲撃して略奪しとるわ…怖…」 →ポーランド「自治を認めたるからワイらのためにオスマン帝国と戦ってくれや」 →コサック「やったりますわ」 1648年:フメリニツキー「ポーランドの貴族どもが横暴やからコサックのみんなを集めて独立するで!」 →「ヘーチマン国家」誕生(現在のウクライナの中部あたり) 1654年:フメリニツキー「同盟しとったクリミア国に裏切られたから、ポーランドに対抗するにはロシアの保護下に入るしか無いわ…」 →ロシア「共通の先祖から分かれた兄弟がまた元通りひとつになれたんやね(にっこり)」 →ロシアとウクライナの共通の源流にキエフ大公国があり、ロシア的には「生き別れの弟が兄を慕ってやってきた」みたいに受け取ったらしい 1656年:フメリニツキー「スウェーデンに対抗するためにポーランドとロシアが同盟
ロシアがウクライナに侵攻して1週間余り。旧ソビエト時代から長年、ロシア取材をし、プーチン大統領にも詳しい石川一洋解説委員に、プーチン大統領の思惑と今後の見通しを分析してもらいました。 1 誤算? 2 見えない仲裁役 というキーワードが浮かび上がってきました。 そもそも、今回の侵攻は予想できましたか? あるかもしれないと思いつつ、いやそんなことはありえないとしてきたのが正直なところです。衝撃を受けています。 私は1月27日の時論公論で「大ロシア主義に基づく考え方でプーチン大統領が動く場合、本格侵攻するおそれは残念ながら排除されない」と述べました。 そして「ロシアとつながりの深い東部でもロシア軍は激しい抵抗を受け、欧米も厳しい経済制裁を取るでしょう。侵攻はロシアの国際的な孤立を深め、アフガニスタンのような長期的な泥沼の戦争になる可能性もあるのです」とも指摘しました。 ただ私はそれだからこそプー
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月8日、イギリス議会でオンラインで演説を行いました。 第2次世界大戦時の1940年に当時のチャーチル首相が行った演説をなぞらえ、イギリスだけでなく世界各国から注目されました。 ゼレンスキー大統領は何を語ったのか。 演説全文は次のとおりです。 議長、首相、政府、議会の皆様。 私はイギリスのすべての人々に訴えます。 偉大な歴史を持つ国の人々へ。 私は同じく偉大な国の市民、大統領として訴えます。 大きな夢と闘争を持って。 われわれの13日間について話したい。 われわれが始めたわけでも望んだわけでもないのに、いまも続いている13日間の激しい戦争について。 なぜなら、われわれのウクライナを失いたくないからです。 ナチスが、あなた方の偉大な国、イギリスに対する戦いを始める準備をしていたときに、あなた方が国を失いたくなかったのと同じように。 1日目の午前4時、ミサイルが
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