定有堂書店「読む会」の展開:街の読書運動の可能性<報告> 鳥取県立図書館・中尾有希子(なかおゆきこ) 2023年6月25日、鳥取県立図書館において、郷土文化講演会+定有堂「読む会」フォーラム『定有堂書店「読む会」の展開―街の読書運動の可能性―』を開催した。きっかけは、全国の本好きや書店員の聖地として知られた「定有堂書店」(鳥取市・1980年開店)が今年4月18日に閉店するという衝撃的な出来事であった。 本フォーラムでは、定有堂書店で街の中にある本好きな人が集う読書会として1988年から毎月開催されてきた「読む会」を取り上げ、民間での読書運動や図書館の取り組みを知り、読書運動の重要性を考える機会とした。本稿ではその概要を報告する。 第1部では、「読む会」の選書担当である岩田直樹氏(公立鳥取環境大学特任教授、元高校教諭)が「定有堂書店「読む会」と教育哲学の発見」と題して講演した。 まず初めに、