美的感覚って、否定できないよね。 大学の教授に、いつも言われていたことがある。「ねこやまくん、人の美的感覚は否定してはいけないよ」と。 先日、電信柱に小指をぶつけて悶絶していた時。ふと昔を思い出した。 小学校の時、生駒君という友人がいた。彼は俗にいう、オタク気質の変わった奴だった。 年中半袖で、年中同じ髪型をしていた。ただ、その愛らしい性格ゆえに友達も多かった。 皆、親しみを込めていこまっちゃんと呼び、彼もまんざらではない顔だった。今思えば、名前より長くなるあだ名だ。 そんな彼は、二つの特徴があった。 ・絵が抜群に上手かった ・テストの点が抜群に悪かった 彼の近くにいると、飽きることがない。なぜなら彼の書く絵は、まるで動き出しそうな現実感を持っていたし、彼は確実にクラス最低点を獲得するのだから。 ただ、良い方は悪いが、彼は低知能ではなかったと思う。 彼の受け答えは、非常にはっきりしていた。