北京にあるアメリカ大使館。4月下旬、私たちは、習近平国家主席との会談を終えたブリンケン国務長官の記者会見に臨んでいた。その最中、1つの聞き慣れない単語が聞こえてきた。 「中国はロシアへの“ニトロセルロース”などの物資の最大の供給国だ」 “ニトロセルロース”とはいったい何なのか。ロシアでその物資は何に使われているのか。そんな疑問から取材を進めていくと、意外な中国とロシアの関係の実態が見えてきた。 (中国総局記者 須田正紀) 私たちはまず、ニトロセルロースそのものについて調べることにした。 百科事典や専門サイトを見てみると、綿の種にある産毛状の繊維を硝酸で処理するなどして作られる物質で「硝化綿」とも呼ばれていることがわかった。塗料やインクなど民生用として使われる一方、着火すると激しく燃焼し、火薬やロケット弾の推進剤などにも使われるため、弾薬の材料となるという。 軍民両用で活用できる、いわゆる「