食料安全保障が注目される中、日本は米の輸入(MA米)を続けている。水田を減らしてでも輸入する状況といえる。「MA米でいつまで財政負担を続けるのか」という農業ジャーナリストの山田優氏に寄稿してもらった。 30年前から始まったMA米※(ことば)。普段は意識することが少ないが、実は農家や納税者に重い負担をかけている。国際的な約束事だとして制度見直しを拒む日本政府の姿勢は明らかにおかしい。 500億円の垂れ流し 国内倉庫に積み上がるMA米(千葉市内で2017年に筆者撮影) 毎年8月末は、霞が関の官庁がちょっとした興奮に包まれる時期だ。各省庁が翌年度の予算を財務省に提出する期限で、新聞やテレビは「防衛予算要求が〇%増」みたいな報道をして盛り上げる。農水省や関係団体も輸出振興などの目新しい項目で「予算増」などの威勢の良い声が飛び交う。 しかし、華やかな予算獲得合戦の舞台には登場しない影の予算がある。食