産経新聞は7月21日付大阪版夕刊1面トップで、「最後の陸相が遺した気概 阿南惟幾 聖断に従い本土決戦を回避」と見出しをつけた戦後70年企画記事を掲載し、「終戦の日を前に、最後の陸相、阿南惟幾大将が再評価されている」などと記した。しかし、阿南惟幾大将は終戦前の陸軍大臣としては最後だが、陸軍省は1945年11月30日まで存続しており、最後の陸相は下村定大将だった。したがって、阿南惟幾を最後の陸相と報じたのは歴史的事実として正確ではない。(追記:日本報道検証機構は産経新聞社に質問したが、8月22日現在、回答はなく、訂正もされていない。) 阿南は、昭和天皇による「大東亜戦争終結の詔書」が放送される直前の1945年8月15日早朝、自決したとされる。その後、鈴木貫太郎内閣は総辞職し、8月17日に組閣した東久邇宮稔彦王が一時陸相を兼務したが、8月23日に下村が陸相に任命された。下村陸相は続く幣原喜重郎内