泥臭くレトロなタッチで描く『ブラック・ジャック創作秘話』(原作・宮﨑克)など、エモいノンフィクションマンガで知られる吉本浩二。そこそこ売れっ子であるはずの彼のこづかいは月わずか2万1000円だという。以前は3万円だったのだが、2人目の子どもができて「3割カット」されたらしい。第一線で活躍する40代半ばのマンガ家が、193円のお菓子を買うべきか全身を震わせて悩んでいる描写はあまりにも強烈だった。小学生か! 「モーニング」(講談社)で月イチ連載中の『定額制夫のこづかい万歳 月額2万千円の金欠ライフ』は、最初に作者自身のこづかい事情が描かれ、第3話以降は同じく2万円前後の「低額こづかい」でやりくりしている実在の中年男性たちが次々と登場する異色のノンフィクションだ。恐ろしいことに自宅で昼食を取る作者以外は、ほぼ全員がこの金額に昼食代も含まれている。83年製のホンダGB250クラブマンを愛する佐野さ
物語を突き動かすキアロスクーロ 平庫ワカの『マイ・ブロークン・マリコ』が話題になっている。口コミで日を追うごとにその評価を高めていった本作は、「COMIC BRIDGE online」でのWeb連載が更新されるたびにトレンド入りし、先ごろ発売された単行本(全1巻)も即重版が決定したらしい。快挙だ。とはいえ、失礼ながら本作は大部数発行の老舗雑誌に連載されたわけでもなければ、これまた失礼ながら、人気の売れっ子漫画家が描いた待望の新作、というわけでもない。それでも、つまり、評価の定まらない未知の新人の作品でも内容さえよければ売れる、というのは快挙であると同時に、エンターテインメントの世界の正しいあり方(送り手にとっても受け手にとっても)を指し示しているともいえよう。似たようなケースとして、たとえば映画の世界での『カメラを止めるな!』の大ヒットが記憶に新しいところだが、漫画の世界もまだまだ捨てたも
文 / CDB 平庫ワカのWebコミック「マイ・ブロークン・マリコ」の反響は、その第1回が掲載された日からすさまじい速さでネット上を駆け抜けた。Web上では毎日のように、身辺エッセイから政治オピニオンまで大量の無料マンガが供給される。洪水の氾濫のような情報の中で少しでも目を引くために、「XXでXXがXXした話」というタイトルで結末を明かすような手法も定番化している。「マイ・ブロークン・マリコ」はそうではなかった。私の壊れたマリコ、という謎めいたタイトル。どうしようもない女友達が自殺した、誰にもどうすることもできなかった、という第1話の内容。逮捕すべき犯人は存在しない。解くべきトリックや推理もない。でもただそれだけで、この物語はまるで強烈な磁石のように多くの人を引き寄せた。第1話から数千人にリツイートされ、12月17日に発表された第4話まですべてが公開と同時にトレンド入りするという爆発的なリ
前回までのあらすじ 知人の編集さんから、いとうみきお先生の最新単行本の見本誌が出たと聞いたのですが、私としては「なるほど〜犬紳士さんには献本しておいた?」程度しか伝えることはなかったといいます……。— 四海鏡 a.k.a. ホンナタカヒロ (@shikaikilyou) 2018年6月14日 …………なぜ? と思ったら本当に献本が来た。 …………なぜ? 理由はよくわからないけど、頂いた以上はさりげなくステマの一つや二つをするのが世の習いなのでしょう。 美しき国日本の伝統、忖度! ところで、あてくし今度お寿司を食べたいのですけれど…………。 このマンガがすごい! comics 月曜日のライバル メガヒットマンガ激闘記 1 (このマンガがすごい!Comics) 作者: いとうみきお出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2018/06/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る
タイトルまんま「初エッチするまであと1時間」のカップルを描いた、シチュエーション恋愛オムニバス。ニヤニヤが止まらないまま進んでいくと、初々しさにほっこりしたり、健気さにほろりときたり、切なさに撃ち抜かれたり。 あくまでも、エッチするまでの1時間なので、性行為そのものは描いてない。「あと50分」「あと31分」といったカウントダウン的なナレーションが入るが、「スタート!」以降は「ご想像にお任せします」状態となる。だから表紙に「成人向け」マークは入っていないのだが……のだが、これが読むほうにとってはとってもドキドキもの。 なぜなら理由は2つある。 一つは、典型的な「やれる」パターンの場合。「両親が旅行の彼女の家に招かれました」など、リビドー全開のシチュエーション。にもかかわらず、二転三転する様がワクワクを加速させる。もう一つは、どう考えても「やれない」パターン。こじらせ処女、腐らせ童貞、生命の危
こんなの無料で読ませてもらっていいのかな? たぶん、もう出版社から書籍化オファーが何件も届いていると思う。 タイトルだけを見ると『木根さんの1人でキネマ』のような映画ファンについてのマンガのようだがそうではない。 驚くべきことに、映画の都・ニャリウッドを舞台にした堂々たる映画制作にまつわるマンガなのだ。 キャラクターをプロファイリング 登場人物は、それほど多くはない。 ジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット(通称ポンポさん)は少女のようなルックスだが、映画作りに必要は才能をすべて持ち合わせている敏腕映画プロデューサー。 ポンポさんの祖父がジョエル・ダヴィドヴィッチ・ペーターゼン。すでに引退した大プロデューサーで、強力なコネクションを持つ。
ぼくの故郷は愛知だ。喫茶店が実に多い。多かった。 つれあいは、ヨメとして実家に行くたびに、喫茶店の多さに驚愕していた。何しろ、ぼくのいた小学校区にコンビニができたのは、ぼくが故郷を出て社会人になり、相当時間が経過してからであったけど、田んぼにぐるりと囲まれたぼくの集落に喫茶店ができたのはぼくが小学生の時だった。集落の外れ、田んぼの中に出現した。そのあとも隣の集落にさらにできていた。 統計的にどうなのか知らないけど、実感として多いな、と思う。*1 喫茶店はどのように使われていたかというと、中小企業の社長をしていたぼくの親父が、昼間に打ち合わせる時などによく使っていた。また、自宅に遠方からの客を泊まらせるのだが、朝は家でご飯を食べさせることもあったが、喫茶店に行ってモーニングを食わせていた。 名古屋の喫茶店は、コーヒーに豆がついてくることやモーニングが変わっていることで有名だ。 名古屋のモーニ
トップニュース万人が振り返る美貌を持つ女子高生はコミュ症だった!? 友達100人を目指してコミュ症美少女が奮闘するコメディーマンガ 『古見さんは、コミュ症です。』(オダトモヒト/小学館) 『古見さんは、コミュ症です。』(オダトモヒト/小学館)は、『週刊少年サンデー』で連載されているコメディーマンガだ。主人公は、万人が振り返る美貌を持つ高校生の古見硝子(こみしょうこ)。しかし、この古見さんには絶望的な欠点がある。古見さんは…コミュ症なのだ! コミュ症―とは。人付き合いを苦手とする症状。またはその症状を持つ人をさす。留意すべきは―苦手とするだけで、係わりを持ちたくないとは思っていない事だ。 もし古見さんがコミュ症でなければ、万人が振り返る美貌を使って、ありとあらゆるテクニックで男たちを陥れ、悪女の華が開く人生もあっただろう。だが、人の世を生きるには辛すぎる欠点を持ってしまった古見さんは、彼氏1
『淋しいのはアンタだけじゃない』(吉本浩二)ロングレビュー! 「聴覚」をめぐる取材の果て――たどりついた“佐村河内守”という男 ビッグコミックスペリオールロングレビュー吉本浩二淋しいのはアンタだけじゃない 2016/07/20 話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも! 今回紹介するのは『淋しいのはアンタだけじゃない』 『淋しいのはアンタだけじゃない』著者の吉本浩二先生から、コメントをいただきました! 著者:吉本浩二 現在進行形のドキュメンタリーマンガですので、作者の僕自身も緊張しながら描いております。 この作品を通じて、知ってるつもりで全然知らなかった『聴覚障害』について多くの方に知っていただけたら、そして、新しい感覚のマンガとして楽しんでいただけたら、たいへんうれしいです。 『淋しいのはアンタだけじゃない』第1
『腸よ鼻よ』10指腸 2018年09月22日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...
少年マンガらしからぬショッキングな描写が頻出することに割と驚く(まあ、今どきの少年マンガにショッキングな描写は少なくはないものの、それらと比べても、だ)。米原秀幸の『DRAGON SEEKERS』は、1巻を見る限り、登場人物と設定の多くを『ROCK&GEM』と同一にしているが、続編というのではなく、おおもとのアイディアを共有し、そこにアレンジを加えてきた別のヴァージョンといえる。続編だと思っていると、ズレの大きさに戸惑うのである。そうしたズレは、おそらく作者の意図したものであって、作品の世界に相対する視線や認識の違いに根ざしているのかもしれない。 西部劇を模したかのような架空の大陸、黒ずくめの衣装で列車強盗を繰り返す三人組の男たち、そして、彼らをサポートする少女は一体何者なのか。素性は明らかにされてはいない。これが作品のコアであろう。凄腕のガンマンであるロック・バースト、精密なスナイパーの
かつてのプロレス界は「全日本プロレス」と「新日本プロレス」の2大団体が業界を統治し、両者の間には高くて厚い壁がそびえ立っていた。 だからこそ、ファンの想像力は育まれる。 授業中、ノートの端に“夢のカード”を書き込むのは、ちびっ子ファンの必須科目。皆が早熟なプロモーターとなり、脳内で興行を開催したものだ。うるさ型ファンへの第一歩である。 そしてこの夢想を、ある意味成し遂げてしまったファンがいる。それは、永遠の名作『キン肉マン』作者のゆでたまご(嶋田隆司&中井義則)。 2人が、何をどう成し遂げたのか? 例えば、同作と現実のプロレス界には、我々が思う以上にリンクする部分があるらしい。 その辺、彼らによる新書『ゆでたまごのリアル超人伝説』に、しっかりと記されています。 そこら辺りを確認する前に、ゆでたまご自身が『キン肉マン』を“プロレス漫画”……と言うより一つの「興行」として捉えている事実を再認識
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