まずは伝記から。レオニード・グロスマンの『ドストエフスキイ』です。 ドストエフスキーの伝記は山ほど出版されてきましたが、種本は数冊なんですね。他の伝記はその種本を参考にして書かれているわけです。 そしてその数少ない種本の一つが、このグロスマンによる伝記です。非常に評価の高い本。埴谷雄高とかもこれを元にして書いています。 ただし作品解釈は独特の偏りがあります。ドストエフスキーを社会派小説的なものとして読んでいくんですね。そこは意識しておいたほうがいいかも。とはいえ、日本人の実存主義的な読みの偏りを緩和してくれる効果は期待できます。 関連:ドストエフスキーの伝記ならグロスマンの『ドストエフスキイ』【書評】 アンリ・トロワイヤ『ドストエフスキー伝』 これも伝記。読み物としての面白さではトロワイヤによるこの伝記が随一だと思います。資料というより文学作品みたいな感じ。 ドストエフスキーの人生そのもの