鳴り物入りで始まった国内最大の官民ファンド、産業革新投資機構(JIC)が経済産業省と対立し、社長や民間出身取締役全員が辞任するという異常事態になりました。報酬や運用方針について経産省官房長と文書を交わしたにもかかわらず、高額報酬への批判が高まると一転して報酬案を白紙撤回し、運営に国の関与を強めようとしたことが混乱の原因とされています。 世耕経産相は「事務的な不手際」があったとして事務次官を厳重注意処分にしましたが、社外取締役の弁護士は「すでに有効に成立した契約の効力について、このような主張をするのは、法治国家の政府機関として法律的に納得を得られるものではない」と述べており、JICの取締役会が官房長の文書を「契約」と見なしていたことは明らかです。そのことに触れられたくないからことさらに「事務的」を強調し、事務次官と大臣の給与を自主返納することにしたのでしょう。 安倍政権の成長戦略の一環として