泉南アスベスト国家賠償請求訴訟で大阪地裁が言い渡した判決の要旨は次の通り。 【国が石綿被害の実態と対策の必要性を認識した時期】 石綿に関係する医学的な知見は1959年に石綿肺について、72年には肺がんと中皮腫についておおむね集積された。国はそれぞれの時期に、防止策をとる必要性を認識していたと言うべきだ。 【60年時点で国が石綿肺防止のための省令を制定しなかったことの違法性について】 労働大臣は石綿肺の医学的知見が59年におおむね集積され、重大な被害が発生していることを認識しているのだから、被害の防止策を総合的にとる必要性も認識していたということができる。 旧じん肺法が成立した60年までに、発生源対策と飛散対策を含む防止策をつくることを強く求められていたということができ、健康被害が慢性疾患で重篤化する特質があることを考えると、防止策は喫緊の重要課題だった。 一方、使用者(工場側)