精力的に外国を訪れ、日本の立場を力強く表明してきた安倍晋三首相の対中牽制(けんせい)外交は成果を出しつつある。日本の一部の新聞や識者は、首相の靖国神社参拝などが韓国や中国で非難されたことを理由に日本がアジアで孤立していると論じてきた。が、それはあまりにも事実とかけ離れた見方だ。 ≪高い評価を受けた首相講演≫ この5月30日、シンガポールで開かれた英国際戦略研究所(IISS)主催の恒例のアジア安全保障会議(正式名「シャングリラ対話」)で安倍首相が行った基調講演は好評を博した(通訳の素晴らしさがこれに大いに貢献した)。首相は、国家間の紛争は武力ではなく法に則(のっと)って解決すべきだと説き、「法の支配」の重要性を強調した。質疑応答で、「日本は平和のために積極的に努力していきたい」と述べたときには、会場から拍手が起こったほどであった。 講演が名指しこそしなかったものの、東シナ海、南シナ海での中国