マルケスが繋いだ縁 気に入った本は何度も繰り返し読みます。今回は読み返した回数で順位を付けました。 『百年の孤独』はイタリアに留学していた20歳の頃、よく行っていた文芸サークルで、アルゼンチン人の詩人に教えてもらった本です。 この本は3回ほど読んではじめて、複雑な人物相関が頭に入ってくる。最近は読者に至れり尽くせりの親切なエンターテインメントが多いですが、マルケス作品はその対極にあります。右脳をフルに使って、自分の想像力の旺盛さを楽しむような本ですね。 南米が舞台になっているのでエキゾチックではあるのですが、基軸になっているのは人間の家族や組織、言わば群衆や国家、そして孤独など、普遍的な人のあり方です。 深いのに、コミカルな表現が鏤められているのも素晴らしい。戦争も人間の醜い本質も、マルケスは独特のユーモアを駆使して、俯瞰して描くんです。この表現姿勢を私はとても尊敬しています。 この本には