ジャマイカなどカリブの14カ国が、奴隷制度による被害の賠償を、英、仏、オランダの3カ国に求めることを決めた。この分野に詳しい英国の法律事務所の支援を受け、3カ国との交渉次第で国際司法裁判所(ICJ)に持ち込むという闘争方針を描く。2世紀以上もさかのぼる「過去」に対する賠償請求は、国際法廷でほとんど例がないとみられる。過去はどこまで裁きの対象になるのだろうか-。(坂本英彰)「奴隷制に対する直接的な賠償を」 「人道に対する恐るべき負の遺産はなおカリブ諸国に残っている。国々と人々の発展のため、償いが行われなければならない」 9月、ニューヨークで行われた国連総会一般討論演説で、英連邦の小国セントビンセント・グレナディーンのゴンサルベス首相が訴えた。賠償請求運動の先頭に立つゴンサルベス氏はカリブ共同体の会合で、参加各国にも国連演説で賠償問題を盛り込むよう求めていた。英植民地だった同国やフランス植民地