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長谷部千彩に関するnico-atのブックマーク (305)

  • 2023年10月 – 水牛のように

    結婚式が始まった。蜘蛛を頭に乗せたまま。誰も気づかなかったのか、気付かないふりをしていただけなのか彼女にもよくわからなかった。古い、壊れたバオイリンを弾きながら、歯がない年取ったジプシーの男は、彼女を家から引っ張り出して不思議な儀礼に参加させた。その日は冬のはずだったのに、なぜか暑い鉄の塊を握るような感覚で、生まれて初めてとても濃い化粧されていたにも関わらず、汗でダラダラと白いパウダーが流れていた。それでも彼女の肌は幽霊のような白さだったので目立つこともなく、「村で一番美人な花嫁」という噂が広がって、次々と門の前に黒い服を着ている村の婦人たちが集まってきた。 ジプシーの音楽家が突然しわがれた声で花嫁と両親の別れの歌を歌い始めた頃、集まった婦人たちは大声で泣き始めた。そのとき、彼女は忘れていた蜘蛛のことを思い出した。手で触ってみるとまだ頭に乗っていたが、それは死んでいた。いや、死んだかどうか

    nico-at
    nico-at 2024/05/03
    "「暗い夜道を歩くと痴漢に会うことがあるから控えましょう」というポスター""「それでも暗い夜道を歩いている女がいるなら、それは痴漢をしてもいいということだ」と認識する""そういうのも「認知の歪み」のあらわれ"
  • 言葉と本が行ったり来たり 八巻美恵 第19回 | memorandom.tokyo

    長谷部千彩さま ときどき、年上の男子と年下の男子と私の三人で事をすることがあります。年上は80代、年下は60代です。二人はいつもミネラルウォーターで、わたしだけがワインやお酒を飲むのです。なんとなくいつもヘンで楽しい集まりです。あるとき、二人に「歳をとってよかったと思うことはありますか?」と訊ねてみました。誰かの誕生日だったのかもしれません。年上の彼は「ない」と力強くひとこと、年下の彼は「ないと思うなあ」と少しためらいがちでしたが、歳をとることについてはよい印象はないようでした。女の人に同じ質問をしたら、ひとつやふたつは歳をとってらくになったことの例をあげてくれます。若いときの抑圧が男の人よりずっと強いからでしょう。 『歳月がくれるもの』(文春文庫 2022年)は田辺聖子の聞き書きのエッセイです。インタビューは2011年から2012年におこなわれたということなので、お聖さんは83歳から8

    言葉と本が行ったり来たり 八巻美恵 第19回 | memorandom.tokyo
    nico-at
    nico-at 2024/05/03
    "たとえば、いろんな事情で女の子がひとりでこどもを育てることになったら、すぐに貧困に陥ってしまうのがいまの世の中です。""それは弱い者や少数者に皺寄せが行くような国のシステムのせいだと思います。"
  • 言葉と本が行ったり来たり(20)『八ヶ岳南麓から』 – 水牛のように

    八巻美恵さま 八巻さんが紹介して下さった『歳月がくれるもの』、早速、図書館で借りてきました。歩きながら目次を見ようとパラッと開いたページにあった一文が目に飛び込んできて、その瞬間、ほろほろっと涙がこぼれました。 田辺聖子さんの小説は一冊しか読んだことがありません。関西弁に馴染めないのです。私には異文化という感じ。でも、私が心から信頼している友達のひとりは関西生まれ / 関西育ちの女性で、悩み事があるときにはいつも彼女に会いに行きますし、私の好みは片岡義男先生のようなスタイリッシュな文体だけど、一方で田辺聖子さんの言葉に縮こまった背中をさすってもらったような気分になったのですから、馴染めないと言いつつ、当は、関西弁の持つ柔らかさ、その柔らかさに触れる甘やかな時間を、私はよく知っているのかもしれません。 さて、最近は、というと、フェミニズムに関するを続けて何冊か読みました。この分野について

    nico-at
    nico-at 2024/05/03
    "女性たちが自分の人生を楽しんで、その姿を見せていく、それだって誰かの小さな力にきっとなるはず。"
  • 言葉と本が行ったり来たり 八巻美恵 第21回 | memorandom.tokyo

    長谷部千彩さま この間は久しぶりに会って、あれこれおしゃべりできて楽しかったですね。 あのあと、友人に頼まれて、彼女の代わりにこれから借りる部屋の内見をすることになりました。手続き上必要なことらしいのですが、人が東京を離れていて。代わりにいくのは何の問題もなかったけれど、問題はわたしの身分証明書のこと。代理人は写真付きの身分証明書が必要だといわれて、持っていないわたしはアウト。急遽顔写真付き身分証明書を持っている人に頼んで、いっしょに手続きに行ったのでした。 顔写真付きの身分証明書には何があるかしら。長谷部さんと違って、わたしは自動車の運転をしないので、運転免許証は持っていません。会社員ではないから社員証はありません。パスポートはとっくに期限切れ。マイナンバーカードは得体のしれない政治家たちが得体の知れない理由によって推進しているので、どうしても取得する気にはなれないままです。持っていれ

    言葉と本が行ったり来たり 八巻美恵 第21回 | memorandom.tokyo
    nico-at
    nico-at 2024/05/03
    "マイナンバーカード""私の個人的な情報には疾しいことはないけれど、持ちたくないと思うのは、こういうものを推進してくる国のシステムや世界のありかたにギモンを感じる"
  • 言葉と本が行ったり来たり(22)『わたしに無害なひと』 – 水牛のように

    八巻美恵さま 八巻さんのお手紙を受け取ったのは、ちょうど海岸沿いのハンバーガーショップでアイスティーを頼んでいるときでした。車を持つ暮らしに戻ってからは、休みの日は何冊かのをバッグに入れて都心を後にする―それが私の楽しみです。 ちなみにその日、私が読んでいたのは『わたしに無害なひと』(亜紀書房 2020年)。出版された頃にいただいて、途中まで読んだものの放置していたチェ・ウニョンさんの短編集です(最近は、こういう半端になっているを読み切るという「片づけ」をしています)。 八巻さんも読まれたかもしれませんが、『わたしに無害なひと』に収められている作品は、若さゆえの哀しみを描いたものが多く、読んでいるとせつなくなってしまいます。 でも、自分のことを振り返っても、いや、たぶん誰しもそうだと思うのですが、10代、20代前半ぐらいまでって、大人が考えるほどキラキラもしていなくて、むしろ、むき出し

    nico-at
    nico-at 2024/05/03
    "大事なことに比べ、大事じゃないことのあまりの多さよ!リーヴ・ストロームクヴィスト風につけ加えるなら、「ついでにいうけど、大抵のおじさんの話はそんな大事じゃなかった!ハハハ」"
  • 私が好きなあなたの匂い

  • アニメメモ・2021 長谷部千彩 | memorandom.tokyo

    2021年はあまりアニメを観ることができなかった――って、去年と全く同じ書き出しですね。昨年にも増して慌ただしい一年だったもので・・・。 年々、アニメを観る数が減っていて、その代わり、映画に割く時間が増えています。数えてみたら、昨年観た映画はちょうど130。その前の年に比べ、約40増えている。ということは、やっぱりアニメが後回しになっているんですね。そんな状態なので、書き出してはみたものの、今年はオタクというレベルには程遠い、さえないアニメメモとなりました。 ただ、2021年は指が動く新作が少なかったというのも事実。あくまで私の中で、ですが。シーズンの始めに新作情報をチェックするけど、結局、旧作をリピート鑑賞している。うーん、残念。 ――と言いつつ、当にそれは残念なことなのかな?とも思うのです。だって、一日に割ける鑑賞時間は限られているし、当に好きな作品は何度も観直したくな

    アニメメモ・2021 長谷部千彩 | memorandom.tokyo
    nico-at
    nico-at 2022/01/20
    "アニメ作品の実写化ってどうなんですかね""ジェイムズ・アイヴォリーが、文芸作品を制作する際、注意することは?という質問に、原作を読んだときと同質の感動を与えること、というような答えを返していた"
  • 映画メモ・2021 | memorandom.tokyo

    都内の名画座に足繁く通うようになって9年目になるけれども、毎年、年末になると「今年は見逃したものが多い」とか「もっと観ることができたはずなのに」などと後悔ばかりしているのはどういうわけか。 何年か前は、たとえアルバムを作るような仕事が入っているときでも、なんとか時間をやりくりしてまだ観たことのない作品には駆けつけていた。シネマヴェーラの【新東宝映画特集】とか。それが最近はちょっと忙しくなってしまうとすぐに観るのをあきらめている。シネマヴェーラ渋谷、晩秋の大型特集【私たちの好きなロマンポルノ】など、観ればどれも面白いのに、いったい何が忙しかったのか、見逃し作品ばかりになってしまった。とにかく、歳をとるとあきらめがよくなるのがおそろしい。でも仕方がない。歳なんだから。 ● 名画座に掛かっている作品さえ見逃してばかりなのだから、新作映画などほとんどまったく観ていない。なのに今年も『映画メモ』など

    映画メモ・2021 | memorandom.tokyo
  • 万華鏡物語(10)夜と朝、その間 – 水牛のように

    ステイホームが呼びかけられてからというもの、「ライフスタイルの見直し」が大ブームだ。どの雑誌も軒並み特集はそれで、タイトルはおろか、内容まで似通っている。早起きして、珈琲をドリップして、植物に水を遣り、物の少ない片付いた部屋でMacBookに向かう。適度に運動をし、栄養のバランスを取った事を心がける。もちろん自炊で。世の中、多様性を謳うわりに、やること考えることはみな同じ。 まるで正しい夏休みの過ごし方みたいだな、と思う。それも小学生の。 外出自粛は確かに求められたけれど、部屋の中でどう過ごすかなんて自由なはず。そして、通勤から解放されたひとびとにおいては自分でデザインできる時間が確実に増えたはず。なのに、なぜこうまで目指すところが一緒なのだろう。 時間を無駄にしてはいけないとか、日々を実りあるものにしなければいけないとか、そういった強迫観念にでもとらわれているのだろうか。勤勉というのは

    nico-at
    nico-at 2021/04/10
    "ほんとにね、みんな無駄なく有意義に時間を使うことは正しいと信じ切っているものね。頼まれなくても自ら良き労働者になっていこうとするよね、私たちは。"
  • 万華鏡物語(9)春が来るのに – 水牛のように

    喫茶店にいる。窓際の席でコーヒーを飲みながら、この原稿を書いている。ガラス窓の向こうの空は明るい。気温は低いが、来週から三月だ。 この文章がひとの目に触れる頃、この店は閉店している。十年以上通い続けたけれど、営業日は残すところあと三日。コロナ禍とは無関係。テナント契約の問題だ。 ジャズが流れていること。テーブルが四角く広いこと。天板が厚く、書きものをするのにちょうどいい高さだということ。店内の真ん中に一の通路。その両側に、ボックスシートの車両のように向き合ったベンチスタイルの椅子が並ぶ。後ろの席との仕切りも兼ねた椅子の背凭れは高く、他の客が視界に入らないため、自分たちの話に集中できるのが何よりありがたかった。 仕事の打ち合わせはもちろん、私用でひとに会うのにも、私が指定するのはもっぱらこの店。ひとりでを読むためにも訪れたし、ここで原稿を書くことも多かった。週に四回、訪れることもあったの

    nico-at
    nico-at 2021/03/02
    "落ち着いて考え事ができ、落ち着いて本を読み、落ち着いて文章が書ける喫茶店を見つけるのは、なかなか難しい。神経質な私には。"
  • アニメメモ・2020 長谷部千彩 | memorandom.tokyo

    2020年はあまりアニメを観ることができなかった。 コロナ禍で在宅時間が増え、それに伴い時間の余裕が増えたというひともいると思うけど、私の場合は、もともと部屋で原稿を書く仕事だし、幸い仕事は減らなかったし――というか、移動にあてていた時間が仕事をする時間に置き換わって、実質的には作業量が増えたような気がする。そういうひと、いませんか? 他にも、を読む時間が増えたとか、メトロポリタンオペラが日替わり無料配信をしていたのでそれを観ていたとか、楽しみが分散したというのもアニメに割く時間が減った理由かもしれない。マンガもたくさん読んでいた。ちなみに鑑賞した映画数は93。2019年は90だから、そこはあまり変わらなかった。 2020年に観たアニメ作品のほとんどは旧作。新作は少なめ。興味を引くものがあまりなくて。作品が、同じとまでは言わないけれど、全体的に寄っているというか、似ている気がする

    アニメメモ・2020 長谷部千彩 | memorandom.tokyo
    nico-at
    nico-at 2021/02/01
    "好きになったものを勉強につなげるという展開方法を身につけさせたい""仕事と個人的な興味とをリンクさせることができると、働くのが少し楽しくなるじゃないですか"
  • 万華鏡物語(8)もろびとこぞりて – 水牛のように

    その店は壁が一面ガラス張りで、窓に向けて設えられたカウンターに並んで座ると夜の街を見下ろせた。ライトを点けたタクシーやバスが、駅前のロータリーをゆっくり回って大通りへと出て行く。小籠包。黒キクラゲの黒酢和え。青菜炒め。スペアリブ。ピリ辛のワンタン麺。私たちが一緒に事をするのは一年ぶり。それでも久しぶりという気がしないのはインターネットのお陰。ヨーロッパと東京、遠く離れた場所で暮らしているのに、LINEで頻繁にやりとりをしているため、私には、彼女が大阪あたりからふらりと上京した友人のように感じられるのだった。 私が暮らす街は外出自粛要請に留まったけれど、彼女が暮らす街ではロックダウンという措置が数回取られた。中でも春のロックダウンは厳しく、運動と買い物のための外出時間が一日にわずかに与えられ、それ以外は家にいなければならなかったという。 もちろんその時期も私たちはビデオ通話で連絡を取り合っ

    nico-at
    nico-at 2021/01/01
    "「大変」は、本当に大変なひとのための言葉。「大変」は、きっと彼らにとって大事な言葉。だから、大変ではなかった私はその言葉を使わない。2020年、私はそう決めたのだ。"
  • memorandom 6周年 | memorandom.tokyo

    memorandom 6周年 | memorandom.tokyo
    nico-at
    nico-at 2020/12/15
    "「事態が収束したら」と合い言葉のように口にするけれど、それなりに居心地を良くして、私たちはこの世界に住み続けることになるのかもしれません。""無事ですか。うまくやれていますか。"
  • 万華鏡物語(7)心地よい生活 – 水牛のように

    ページをめくる。え? ページをめくる。あれ? さらにページをめくる。めくる。めくる。 私は軽い衝撃を受ける。この雑誌だけだろうか。それとも他の雑誌もこうなのか。 ヘアサロンでは、持参したを読むことにしている。今日もエッセイ集を一冊読破するつもりだった。だから、鏡の前に置かれたファッション雑誌に手を伸ばしたのは、ほんの気まぐれだ。 登場する人々はみな、コロナ禍で暮らしを見直したと語っている。新たに取り入れた習慣とやらを披露する。 早起き。植物への水遣り。健康的な事。午前中に部屋の掃除。ドリップ式で淹れる珈琲。週に一回花を買う。公園への散歩。寝る前の読書。 新たに、と意気込む割には、たいした習慣ではないなと思った。それにまるで小学生の夏休みみたいだ。登校する必要がないのに、早朝に起こされ、ラジオ体操に行かされた記憶が蘇る。いま考えれば、休みの間ぐらい、ゆっくり起きてのんびり朝でも良かった

    nico-at
    nico-at 2020/12/03
    "いまの時代はどうやら「物がない状態=心地いい」ということになっているらしい。確かに物がなければすっきりして見えるけれど。楽しくない。""何もない部屋を雑誌で見せられる意味って何だろうと思った。"
  • 漫画家・安野モヨコの30年を振り返る「安野モヨコ展 ANNORMAL」 | Numero TOKYO

    漫画家・安野モヨコのデビュー30周年を記念して、その創作の軌跡をたどる展覧会が東京・世田谷文学館で開催中。文筆家の長谷部千彩がレポートする。(『ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)』2020年10月号掲載) 女たちは無限の動きを持っている 安野モヨコはいま、どんな存在の作家なのだろう。この規模の展覧会が開かれるのだから、既に巨匠の域にいるのかもしれない。けれど、私のように『ハッピー・マニア』からリアルタイムで作品を追ってきた同世代の読者は、彼女を聡明な女友達のように感じているのではないか。と同時に、ここまで冷徹に物事を見る目を持っていたら、見えすぎるがゆえのつらさがあるのではと案じてもいた。だから2008年、休筆を知った時は、待っているからゆっくりしてね、と思ったが、その気持ちこそが女友達に対するそれではなかったか。 彼女の美意識、繊細にして力強い言葉、画力とユーモアのセンスにつ

    漫画家・安野モヨコの30年を振り返る「安野モヨコ展 ANNORMAL」 | Numero TOKYO
  • 万華鏡物語(5)二〇二〇年、八月の手触り – 水牛のように

    この半年、バカみたいにを買っていた。当に手当たり次第。数えてみたら七十冊を超えていた。そのすべてをネットショップで買った。でも、読み終えたのは、ほんの数冊。自由になる時間があまり取れなかった。 新型コロナウィルスの感染が広がり、外出自粛が呼びかけられ、仕事を減らしたひとたちが大勢いるのに、私の仕事の量は変わらなかった。いや、正しくは、いつもより多かった。幸いなことに。 一息ついたのは七月の終わり。気がつくと、机の脇には床から膝の高さまで積み上げられたの柱が何も立っていた。 私は一冊ずつ、トレーシングペーパーでにカバーをかけた。グラシン紙は滑りが良すぎるので、カバーにはトレーシングペーパーを使っている。カバーのかけ方は、昔、私のオフィスで働いていた女の子から教わった。私のもとに来る前、彼女は書店に勤めていたのだ。 数時間後には、白い霜を巻いたようなの小山ができた。私はその小山を改

    nico-at
    nico-at 2020/09/05
    "満たされないささやかな欲望を、私は本を買うことに置き換えて、半年間、積み上げていたのだ。"
  • RANDOM DIARY:COVID-19 長谷部千彩 | memorandom.tokyo

    コロナウィルスが存在する世界で暮らす一週間。 未曾有の危機と毎年訪れる夏の休暇。 家族の卓とネットショッピング。 空色の朝顔。東京は気温37度。 終戦記念日。 夏休みに入り、小学生の姪が泊まりに来ているが、数日前、母と妹も私の部屋にやって来た。今年は、新型コロナウィルスの問題で避暑地で過ごすことが叶わない。それで私の部屋に集まってのお盆休みとなったのだ。とは言え、特別のんびり過ごしているわけでもない。姪は毎日、宿題と夏休みの自由研究。私も机に向かい仕事を続けている。7月まで忙しかったので、8月に入って通常の仕事量に戻り、気分的に余裕はできたけれども。 夜、NHKでドラマ『太陽の子』を家族で観る。柳楽優弥、有村架純、三浦春馬が主演。他に出演は田中裕子、國村隼など。第二次世界大戦末期、軍からの密命により原子力爆弾の開発研究を進める若い物理学研究者の苦悩を描いた物語。 最初のほうですき焼きを囲

    RANDOM DIARY:COVID-19 長谷部千彩 | memorandom.tokyo
    nico-at
    nico-at 2020/09/03
    "おろしたてのような服を着て、時代を語られてもなんだかちぐはぐで、まるで学芸会""体型や顔の造りが昔と今では違うのは仕方がないとしても、もう少しディテールを緻密につくり込めば興覚めすることも減ると思う"
  • 万華鏡物語(4)流転 – 水牛のように

    七月後半、私はとある撮影に立ち会い、都内をロケバスで移動する日々を過ごした。そのうち一日は、千葉県外房までの遠出となった。コロナウィルス感染症発生以降、外出を控えるよう努めていた私にとって八ヶ月ぶりの東京脱出であった。 機材を抱えたスタッフとともに切り立つ崖をのぼり、海を眺めると、その日は曇天。空と海を分かつはずの一線は、ぼんやりとかすんでいた。去年ブエノス・アイレスで見た海とも、一昨年に見たドブロブニクの海とも違う、水の色はノルマンディーの海を思い起こさせた。マスクをずらし、潮の香りを嗅ぐと、私は急にフランスが恋しくなり、旅立つことの叶わぬこの事態をひどく恨めしく思った。いつになれば私たちは、気まぐれに列車に乗ったり、飛行機に乗ったりできるのだろう。 撮影の最終日、次の移動までの待ち時間、数名でテーブルを囲んで休憩していると、それまで寡黙だった撮影アシスタントが、思い切ったように口を開い

    nico-at
    nico-at 2020/08/01
    "私が彼女に示せることは、「就職活動をしなくても、なんとか生きている大人がここにひとりいる」ということだけだ。""もしも良い結果が得られなかったときは、私のことを思い出してくれるといいな"
  • 雲のゆくえ 91:くちづけのかたち|長谷部千彩 - BLOG|HONEYEE.COM(ハニカム)

    長谷部千彩 文筆家 / Web Magazine《memorandom》主宰 著書 『メモランダム』(河出書房新社)、『私が好きなあなたの匂い』(河出書房新社) 他 hasebechisai.com memorandom.tokyo 午後、久しぶりに銀座へ出かけた。八丁目にある資生堂パーラー銀座店。このビルの壁面には小さなショーウィンドウが八つある。そこに火曜日から私が参加した作品が展示されている。それを観に行ったのだ。 アートディレクションは黒谷優美さん。イラストレイションはといだあずささんが手がけている。 といださんの絵と私の文章で構成されたその作品は円盤の形。後ろの盤が回転して、小窓からイラストと文字が覗く。ウィンドウに円盤はひとつずつ、違う女性をヒロインにしていて、絵と言葉が彼女たちのさまざまなシーンを描き出す。ヒロインたちの世代はいろいろ。おばあさんもいるし、十代の女の子もいる

    雲のゆくえ 91:くちづけのかたち|長谷部千彩 - BLOG|HONEYEE.COM(ハニカム)
    nico-at
    nico-at 2020/05/29
    "資生堂パーラー銀座本店。このビルの壁面には小さなショーウィンドウが八つある。そこに火曜日から私が参加した作品が展示されている""アートディレクションは黒谷優美さん。イラストレイションはといだあずささん"
  • HONEYEE.COM

    nico-at
    nico-at 2020/05/19
    "脚本は、台詞はもちろん、ドレスやメイク、ブーケ、ケーキ、バンケットルームの装花まで、登場する人たちの個性を細かく細かくイメージして書いた""オークラ東京の中の素敵と感じた場所や意匠も散りばめられている"