イスラム国家を標ぼうし、世界を震撼させた過激派組織IS=イスラミックステート。去年、ISの拠点は陥落し、イラクやシリアの支配地域の大半も失われました。 しかしISは本当にこれで終わったのか。取材をするなかでその疑問がくすぶり続けていました。特に、私の心に残っていたのが、数々のISのプロパガンダ映像に登場していた「ISの子どもたち」です。 「無理やりにでも言われたことはすべてやらないといけませんでした。ISに入って生活はすっかり変わってしまいました」。 まだ幼い顔だちの少年。目の前で語る体験の重さとのギャップに、思わずインタビューをする言葉が詰まりました。ISの少年兵だったサイード君(仮名、17歳)と出会ったのは、イラク北部の町ドホークでした。サイード君は、2014年8月にISに拉致され、ことし3月に逃げ出すまで3年半にわたって、ISの下で過ごしました。 その一方で訓練から離れると上下関係は