宙高く蹴り上げられたボールは不規則に揺れながら落ちた。ロンドン五輪の準決勝フランス戦。宮間あやの「無回転フリーキック」は、GKのキャッチミスを誘い、こぼれたところを大儀見優季が決めた。初の決勝へ大きく前進する先制点は、日本らしい繊細な技術の産物だった。 ぶれ球と呼ばれる無回転キックは、振り脚を速く、ボールの芯を真っすぐ押すように蹴らなければならない。U-20代表の田中陽子も同じ技の使い手だ。数年前、男子の一部ではやり始めた技を、なぜ、なでしこたちはすぐに習得できたのか-。ヒントは日本の習い事文化にあるようだ。 書道や華道、武道などの習い事は形を重んじ、コツコツと練習に励んで技を極める。サッカーも同じ。多くの子どもたちはスクールに行き、基礎を教わる。家に戻ると、一人で壁に向かって蹴り、リフティングに興じることも珍しくない。