小学校の同級生のOちゃんの初恋の相手は、本気であの、クイズ王だったという。 そのころTVでは、いわゆる一般の視聴者が出場する大掛かりなクイズ番組が流行りで、大学のクイズ研究会出身者などが複数の番組で活躍し、クイズ王だの名人だの呼ばれて、まるで芸能人のような扱いを受けていたのです。 Oちゃんがお熱だったのは、痩せ型でしゅっとした印象の、若いクイズ王でした。 「私、クイズ王にお手紙を書く! TV局に送れば届けてくれるよね?!」 とOちゃんがある日突然に言い出して、クラスの女子全員を巻き込みレターセットの選定と、文面の吟味が行われたのでした。 さらに、数週間後に放送されたクイズ番組のなか、 「さいきんは若い女性のファンがたくさんいるんですって?」 と司会者に水を向けられたクイズ王が、 「年齢層が低すぎてどうにもこうにも……」 と答えた翌日も、あれってどう考えてもOちゃん(含む)のことじゃんね!