地球規模で気温や海水温が上昇する現象、それが「地球温暖化」である。それにより、北極圏や南極大陸の氷河や氷床が縮小するとされる。仮に南極の氷床がすべて溶けたとすると、海面は70mほども上昇するとの試算がある。現在、6億人を超える世界の人口が標高5m以下の土地に住んでおり、海面上昇は人間社会に深刻な影響を及ぼすことになるだろう。 東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授は、南極の過去の氷床変動や中低緯度の海洋環境変動について研究している。この分野では世界のトップランナーとして知られているが、その研究を支えるのは、横山教授が導入した最新鋭の環境分析装置群だ。 地球温暖化が今後も進んだ場合、南極やグリーンランドの氷床はどれだけ溶けるのだろうか。それにより、海面はいったい何m上昇するのか。こうした将来予測には、地球の過去の気温や気候の変動と、氷床の変化との関係性を把握することが不可欠だ。だがそもそも、過